俺は神殺し!…(偽)~ダンジョンでパパッと稼いで地上ではのんびりスローライフ~

どらいあい

文字の大きさ
上 下
19 / 110
第二章 謎スライムとツインテール

第19話

しおりを挟む
 まさかダンジョンで時間を潰そうと思ったら矢先に探索者が来やがるとは、俺のステータスにある幸運EXは仕事をサボってるのか?

 どうしてこの不人気ダンジョンに今更俺以外の探索者が来るんだよ。

「くっ! 割のいいバイトだと思ってきてみれば、まさか変質者が住処にしてるとは驚きよ。どこのホームレスか知らないけどダンジョンの中だけには入るんじゃないってのよ!」

 女探索者の割のいいバイトという言葉を聞いて、凡人探索者であった頃の記憶を一つ思い出した。

 この世界はダンジョンがバカみたいに多い、日本だけでも未確認も含めれば二十万、確認されてるだけでも十万以上は様々なダンジョンが存在する。

 そしてダンジョンの中には基本的にモンスターがモリモリいる訳だ。
 ダンジョンが出現した近所の人間から言わせれば恐怖の対象以外の何物でもない。

 当然、当事者様だったら警察だったりに話をして何かしら苦情を言う人間はいるだろうさ。
 その結果、国としてもダンジョンからモンスターが出てこないとは言っても対応せざるえないのだ。

 そもそもダンジョンからモンスターが出てこないというのは今までにそんな例がないだけであって何で出てこないのか、その理由などは正確には分からない。

 単純にこれまで危険がなかったから大丈夫だろうで済ませられる話ではない。

 ダンジョンからモンスターが出て来れば、まず人類にそれに対抗する手段というものがないからだ。
 故にどんなにショボい不人気なダンジョンであろうとも、一度出現した以上は国としては対応せざるを得ない。

 かと言ってそんな万を超える数のダンジョンに警察だとか自衛隊だとかの人間を向かわせて対応するなんてことは現実的じゃない。
 公務員というのは雇って育てるのに時間もお金もかかる存在なのだからな。

 そんな人材を下手すれば人間がぽっくりと簡単に死ぬようなダンジョンに行かせること自体ありえないと言う話なんだよ。

 ならばどうするか。
 決まってるじゃないか。

 二束三文でダンジョンに行きたがる人間を用意して、そいつらにその時だけそれなりの手間賃を払ってバイトとしてダンジョンに行かせるのだ。

 この日本で探索者という存在が多少なりとも税だのなんだので優遇されるのにはこのあたりの事情も関係してくる。

 さすがに公務員にダンジョン突撃させるに比べれば多少優遇された量産型アルバイターをダンジョンに行かせる方がはるかにマシだからな。

 以上が大人の事情でした。
 こういう不人気のダンジョンが溢れるようになった結果、そんなダンジョンを見回るというアルバイトが探索者ギルドでは常時受けられる依頼の一つとして存在するようになったのである。

 それがまさか……俺がこのダンジョンにいるタイミングでバッティングするとはな。
 本当にこの世に神も仏もいないな、或いは実在していてるからこその神殺しへの宣戦布告的な事をしてるのか?

 ならば絶対に許さんぞ、神も仏もぶっ殺してやる、そして社会は腐っているな!

 そんな感じに俺は内心色々なものにケチをつけていた。
 そして現在の俺はと言うと、ダンジョンの中を逃げ回っている。

 当たり前だ、向こうは武器を持ってる探索者でこっちは素手だからな。
 いやっ倒すのは問題ないけどさ、倒したらこっちは完全に犯罪者である。

 現在が軽犯罪なら人間をボコればは重犯罪者側に片足突っ込む所業だからな、とてもじゃないがそんなのになる気は起こらない。

「この全裸の変態がー! やたらと足が速くて気持ち悪いわね、さっさと捕まりなさい!」

「そっちは随分と足が遅いですな! そんな今どきファッションでダンジョンとか舐めプしてっからですか? せめてサンダルよりブーツか運動靴をオススメしまっせ~~」

「……上等ね、絶対に警察に引き渡してやるわ! その前に一発ぶん殴ってやる!」

 なんと言うか、口の悪い女探索者ですな。
 茶髪の長いツインテールと茶色い瞳を持つ年齢は10代後半くらいか、高校卒業してるかどうかくらいの年齢だろう。

 どんな生き方をすればあんなケンカ腰の娘さんが育つのか親の顔が見てみたいですな。
 俺は自分の事は棚に上げ、現代社会の腐り具合を憂いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...