俺は神殺し!…(偽)~ダンジョンでパパッと稼いで地上ではのんびりスローライフ~

どらいあい

文字の大きさ
上 下
14 / 110
第二章 謎スライムとツインテール

第14話

しおりを挟む
 青いスライムがポヨンポヨンと俺に向かってくる。

 そして俺に全力の体当たりをかますがステータス差があるので自分がダメージを受けて消滅していくのだ。

 俺はただ立ってそれを見ている。
 スライム達が全滅すればさらにダンジョンの奥へ進みまたスライムたちに自らを攻撃させる。
 それだけだ。

 これだけで月の給料の何ヶ月間分の魔石になるのだから探索者ってのはボロい商売である。
 俺はどうしてあんな会社やコンビニで何年間も働いてたんだろうか。

 たまに本気で分からなくなる時がある。
 バカみたいだ、失った時間は取り戻せないから考えても仕方ないけどさ。

「おっまた来たな、お~いこっちだこっち」

 でもしょうがない。
 世の中ってのは物を知らない人間が損をさせられるように出来てるのだ。
 考えても腹が立つだけなので気を取り直して俺はスライムたちの自滅によるお小遣い稼ぎに精を出す。

 最もいくら精を出しても俺はただつっ立っているだけなんだがな。

 そろそろ帰るか、また帰りにキングスライムが出てきたら間違いなくこの不人気ダンジョンでのキングスライムの出現条件は中で結構な数のスライムを倒す、なんだけどな。

 そう思いながら 俺はまたあのドーム状の空間へと向かう帰路についた。
 そして戻る途中、今回は遠目からでも分かるあのでっかく青いプヨプヨはいなかった。

「……出現状況が違ったのか? まあそんな条件なんて直ぐに分かるわけないよな」

 それとも1体だけのユニークモンスターだったか、いやっアレは普通のキングスライムだったからな、特異個体とかじゃなかったはずだからその線はないか。

「……………!」

 な~んか、変な感じがするな。

 俺は足を止めた。
 何もいないはずの空間に理由もないのに違和感を覚えたからだ。
 いや、はっきり言って嫌な予感っていう方が正しい。

 神殺しの称号(偽だけどな)を持つ俺がこんな感覚に襲われるなんてな……この感覚は気のせいなんかじゃない。

 いるな。
 俺がこんな称号を手に入れる前、平均以下の探索者だった時はダンジョンではモンスター相手だと稀に格上と戦うことがあった。

  まあ正確には戦うんじゃなくて全力で逃げたんだけどな。
 そういうどうしても勝てない危険な連中が突然目の前に現れる時がある、弱い時はそんなモンスターとエンカウトする少し前にこんな空気を何度か感じた。

 その時の俺なら間違いなくキングスライムにも同じ空気を感じていた筈なのだが、『神殺し(偽)』の称号を得た今ならこの前来た時もそんなものは感じなかった。
 しかし今はこれでもかと感じている。

 つまるところ、小遣い稼ぎなんて気分でダンジョンで来たからなのか。なんかしら地雷でも踏んづけちまったか?

 通路を抜けドーム状の空間に入ったその瞬間、俺の後ろの通路のところに魔法陣が浮かんだ。
 それは他の通路の出入り口にも現れる。

「これは中に入った対象を閉じ込める為の結界って所か?」

 ダンジョンがクソみたいに危険だとされる理由の一つにダンジョンの中では稀にこう言う逃げ場を無くす結界が発生する。

 その理由は定かではないらしいが危険度ランクSという、とある漫画で言うところの特級クラスのバケモンが出てきた時だ。
 ドーム状の中央に真っ白な光を纏った魔法陣が現れる。

 その中央から現れたのは……ピンク色の身体を持ち、虹色に燃える炎の翼と光る天使の輪っかを持つ……。

 プルルンプルルンプルルルン!

 そうっスライムが現れたのだ!

「いやっ結局スライムかよ!」

 このダンジョン、本当にスライムばっか出るな…。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...