9 / 110
第一章 不人気ダンジョンと後輩
第9話
しおりを挟む
スマホでネットサーフィンをしながら時間を潰していると俺の番号が呼ばれた、受付に向かうとあのジト目の女職員がいる。
俺はいくらになったのか気になったので尋ねた、まずはお金だ。
「すいません、あれ全部でどれくらいでしたか?」
「金額はこちらです」
職員の女はトレーを見せるあのコンビニとかで小銭とか置くトレーだな、その上にはなんと万札が何十枚と積まれていた。
内心めっちゃビビった。
心の中の俺は目を見開いて顎をあんぐりと開けている、しかし俺も一応は社会人である。
顔は無表情かつ勤めて冷静さを装った。
かなり全力で無表情、落ち着け、俺も探索者の端くれだ。
あれだけの量の魔石やら高ランクモンスターのドロップアイテムが入ってる以上それなりの儲けが出るのは分かっていたんだ。
その上で目の前に大金が現れるとビックリするのは貧乏性ゆえだな。
職員の女がいくらになったのかを口にする。
「全部で63万と8600円となります」
「なるほど……分かりました」
何がなるほどなのかと自分で自分に突っ込みたくなった、えげつな! こんな馬鹿みたいな金額過去の探索じゃ一度も稼いだことねえぞ。
過去の俺なら1ヶ月間コツコツ稼いだとして10万かそこらだったはずだ、それがたった一度ダンジョンで散歩してキングスライムも消し飛ばしただけで63万って。
本当に探索者ってやつはステータスさえ高ればボロ儲け出来る商売だな。
ちなみに探索者関係の仕事で得た報酬というのは基本的に税金というものがかからない。
何故なら探索者というのはどう言い繕っても命がけの仕事である、それでもなって続けたいという人間はやはり限られる。
そんだけの仕事をした上でやればやるだけ損をするだろう的な風評被害とかで探索者が減ればとんでもない社会問題になる。
年収の壁みたいな法律を作って探索者がやってられないとなれば有能な探索者は大抵が金持ちということもあり簡単に国外へ出て行くのだ。
そして有能な探索者たちの国外流出というのはそれだけで巨大な国益の損失、経済の停滞を招きかねない事件となる。
つまらない欲目を出して探索者たちに見限られれば、マジで国が傾くとある程度イイ大学を出たエラい人間たちは考えたらしい。
学歴が高卒止まりにはピンと来ない話だが、多分そうなのだろう。
あと高ランクの探索者たちは日本国内だけでなく海外でも有名で結構なコネを持っている人間が多くいる。
単純な話、そういう先駆者たちが勝ち取った実績の一つが探索者たちの税金等の廃止なんだそうだ。
無論あくまでダンジョン関係に限られる話なので少しは融通されてますってレベルだけどな、ともかくダンジョンで得た収入で税金が課されるということはないのでこの63万円はそのまま俺の懐に入るのだ。
黙って大金を見る俺に女職員が言う。
「それと今後は電子マネーかあるいは銀行への振込等なども可能ですがどうしますか?」
今どきの若者向けの対応だな、むしろここが九州の田舎じゃなかったら最初からそうされていたんだろう。
「……いえっ現金でお願いします」
ここら辺は正直言って古臭い考えというか田舎の人間だからかもしれないが俺は未だに電子マネーというのは苦手だ。
というか銀行に直接振り込むというのもなんか嫌なのである。
自分で振り込む手間はかかるが、とりあえずその現金を自分の手元に手にしておきたい。
なんでかと言われても聞かれても理由はない、なんか自分が働いていた金額だからさ、まずは一回手にしておきたいってだけなんだよ。
大した理由なんかない、そして現金を受け取った俺は内心小躍りしていた。
もはや愛想のかけらもない女職員の態度なんて全く気にならない。
お金を受け取り、探索者ギルドを出ようかと考えていた。
すると女の職員が訪ねてきた。
「もしかしたらですか、あなたはどこかの別のとこで活動していた高ランクの探索者なんですか?」
「いいえ、探索者のライセンスカードは持ってますがほとんど引退していたようなもんです」
「キングスライムを倒せるのに探索者を引退してたんですか?」
「…まあそこら辺はいろいろこっちにも事情があるんです」
「そうですか、分かりました」
日本人の美徳として事情があるといえばよほどの馬鹿や空気に読めないやつじゃない限り、それ以上踏み込んで来るやつはまずいない。
こっちとしても赤の他人にベラベラと『神殺し(偽)』の称号について説明するつもりはないと考えてるので助かった。
「とりあえずまたダンジョンに行って魔石が集まったら、ここに来るかもしれません」
「分かりました、ではまたお待ちしております」
「失礼します」
会って数分の職員に適当な相性笑いを浮かべ俺は探索者ギルドを後にする、最初はジト目だったけどギルドを出る時はその険のある表情はどこか和らげな感じになっていた。
内心何か怒らせたりしたのか不安だったので一安心したよ。
俺はいくらになったのか気になったので尋ねた、まずはお金だ。
「すいません、あれ全部でどれくらいでしたか?」
「金額はこちらです」
職員の女はトレーを見せるあのコンビニとかで小銭とか置くトレーだな、その上にはなんと万札が何十枚と積まれていた。
内心めっちゃビビった。
心の中の俺は目を見開いて顎をあんぐりと開けている、しかし俺も一応は社会人である。
顔は無表情かつ勤めて冷静さを装った。
かなり全力で無表情、落ち着け、俺も探索者の端くれだ。
あれだけの量の魔石やら高ランクモンスターのドロップアイテムが入ってる以上それなりの儲けが出るのは分かっていたんだ。
その上で目の前に大金が現れるとビックリするのは貧乏性ゆえだな。
職員の女がいくらになったのかを口にする。
「全部で63万と8600円となります」
「なるほど……分かりました」
何がなるほどなのかと自分で自分に突っ込みたくなった、えげつな! こんな馬鹿みたいな金額過去の探索じゃ一度も稼いだことねえぞ。
過去の俺なら1ヶ月間コツコツ稼いだとして10万かそこらだったはずだ、それがたった一度ダンジョンで散歩してキングスライムも消し飛ばしただけで63万って。
本当に探索者ってやつはステータスさえ高ればボロ儲け出来る商売だな。
ちなみに探索者関係の仕事で得た報酬というのは基本的に税金というものがかからない。
何故なら探索者というのはどう言い繕っても命がけの仕事である、それでもなって続けたいという人間はやはり限られる。
そんだけの仕事をした上でやればやるだけ損をするだろう的な風評被害とかで探索者が減ればとんでもない社会問題になる。
年収の壁みたいな法律を作って探索者がやってられないとなれば有能な探索者は大抵が金持ちということもあり簡単に国外へ出て行くのだ。
そして有能な探索者たちの国外流出というのはそれだけで巨大な国益の損失、経済の停滞を招きかねない事件となる。
つまらない欲目を出して探索者たちに見限られれば、マジで国が傾くとある程度イイ大学を出たエラい人間たちは考えたらしい。
学歴が高卒止まりにはピンと来ない話だが、多分そうなのだろう。
あと高ランクの探索者たちは日本国内だけでなく海外でも有名で結構なコネを持っている人間が多くいる。
単純な話、そういう先駆者たちが勝ち取った実績の一つが探索者たちの税金等の廃止なんだそうだ。
無論あくまでダンジョン関係に限られる話なので少しは融通されてますってレベルだけどな、ともかくダンジョンで得た収入で税金が課されるということはないのでこの63万円はそのまま俺の懐に入るのだ。
黙って大金を見る俺に女職員が言う。
「それと今後は電子マネーかあるいは銀行への振込等なども可能ですがどうしますか?」
今どきの若者向けの対応だな、むしろここが九州の田舎じゃなかったら最初からそうされていたんだろう。
「……いえっ現金でお願いします」
ここら辺は正直言って古臭い考えというか田舎の人間だからかもしれないが俺は未だに電子マネーというのは苦手だ。
というか銀行に直接振り込むというのもなんか嫌なのである。
自分で振り込む手間はかかるが、とりあえずその現金を自分の手元に手にしておきたい。
なんでかと言われても聞かれても理由はない、なんか自分が働いていた金額だからさ、まずは一回手にしておきたいってだけなんだよ。
大した理由なんかない、そして現金を受け取った俺は内心小躍りしていた。
もはや愛想のかけらもない女職員の態度なんて全く気にならない。
お金を受け取り、探索者ギルドを出ようかと考えていた。
すると女の職員が訪ねてきた。
「もしかしたらですか、あなたはどこかの別のとこで活動していた高ランクの探索者なんですか?」
「いいえ、探索者のライセンスカードは持ってますがほとんど引退していたようなもんです」
「キングスライムを倒せるのに探索者を引退してたんですか?」
「…まあそこら辺はいろいろこっちにも事情があるんです」
「そうですか、分かりました」
日本人の美徳として事情があるといえばよほどの馬鹿や空気に読めないやつじゃない限り、それ以上踏み込んで来るやつはまずいない。
こっちとしても赤の他人にベラベラと『神殺し(偽)』の称号について説明するつもりはないと考えてるので助かった。
「とりあえずまたダンジョンに行って魔石が集まったら、ここに来るかもしれません」
「分かりました、ではまたお待ちしております」
「失礼します」
会って数分の職員に適当な相性笑いを浮かべ俺は探索者ギルドを後にする、最初はジト目だったけどギルドを出る時はその険のある表情はどこか和らげな感じになっていた。
内心何か怒らせたりしたのか不安だったので一安心したよ。
22
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】世界一無知のリュールジスは秘密が多い
三ツ三
ファンタジー
突如地底深くより出現した結晶異物体。
無差別に人々を襲い続ける存在。
「アンダーズ」
人類はアンダーズの圧倒的な戦力により大陸の半分以上を受け渡すことを余儀なくされた。
物言わぬ結晶体に人類が今もなお抵抗出来ているのは人間の体内にある「魔力」を利用することで稼働する。
対アンダーズ砕鋼器具「ブレイカー」
腰部に装着することで内に秘められている「魔力」を具現化する事が可能となった人類の切り札。
「魔力」を持ち「ブレイカー」を扱う事が出来る限られた者達。
「リベリィ」
彼等がアンダーズを倒す事が出来る唯一の希望であった。
そんな世界で「リュールジス」は一人旅を続けていた。
「探し物・・・」
混沌とした各地を身一つで歩き続けたが、一通の手紙が足を止めさせ彼の旅を終わらせたのだった。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる