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番外編

ユーリのお仕事

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◇◇◇ユーリ視点◇◇◇


 ワタシは今、スカイディアと言う都市を散歩しています……違いますね。これは他のゴーレムがこの都市の清掃をちゃんとしてるのかを監視しているのです。

 最初ワタシは、自分がアオノ様に創られた最初のゴーレムだと思っていました。
 そんなワタシの前に現れたのがスカイディアのお掃除ボールゴーレムです。

 最初はアオノ様に内密であの丸いスカした浮遊ボール達を廃棄処分すべきかとも考えましたが……物は考えよう。ワタシ1人ではブルーメント城とスカイディア全ての掃除は不可能。

 この浮遊ボール達にはスカイディアの掃除を任せ、ワタシはアオノ様の身の回りの世話やブルーメント城の清掃に務める、それが正しい仕事ですね。

「───本当に、綺麗な都市ですね」

 スカイディアの街並みはアオノ様曰く、西洋的ながも白い石造りの大都市です。

 人は誰も住んでいません、ワタシとしては多くのアオノ様を敬う者達が住み活気を持つのも悪くない気がするのです。

 しかしアオノ様は滅多にここに他者を招きません、それはきっとアオノ様は多くの者と広く、浅く繋がるよりも限られた者達と狭くとも深く付き合っていける関係を好んでいるからでしょう。

 仕えるご主人様の趣味嗜好を理解するのがメイドでありゴーレムでもあるユーリの役目ですね。

 スカイディアを巡りながら清掃に見落としがないかを見て回ります。しかし前世とはいえ流石はアオノ様です、ゴーレム達は今のところ見落としはありません。

 ユーリの心の中にはアオノ様が創ったゴーレムに対して様々な感情があります。

 1つはやはりアオノ様の魔法で生み出された存在、そこに設計ミスなんてあるわけがありません。

 2つ目としてワタシよりも能力とかその他諸々がショボくあって欲しいと願うのも素直な気持ちです。まるで人間の様な感情がユーリを苦しめます。

 しかしこれもまたアオノ様から与えられた物、ならばユーリは受け止めるだけです。

 きっと多くを学ぶにはこの感情は大切なのでしょう、アオノ様の考えの全てを理解する事はユーリには出来ません。

「──ふうっ今日もスカイディアに異常はありませんね、それではブルーメント城に向かいますか」

 ブルーメント城ではお掃除メイドとして働きます。
 ホウキとちり取りを持って様々な場所をお掃除ですね、中庭もお城の廊下も綺麗にします。

 更にはドラゴンの翼を生やしてお城の屋根や高所の窓ガラスの掃除、それに屋根にも飛んでいきゴミを掃除します。

 しかしここでもヤツらが現れます。そうっ浮遊ボール達です。

「またワタシよりも先に!この浮遊ボール達め!」

「───────!!」
「───!」
「─────!」
「───!!」

 コロコロフヨフヨと集まってきました、目障りですね……。

 浮遊ボール達が集まり無言の抵抗を示してきます、まさか此奴らにも自我が?アオノ様、コイツらに心は不要なのでは?っと思ったりするワタシです。

「──くっ仕方ありませんね。では高所や屋根と言う持ち場は貴方達が長いことしてきた場所です、譲りましょう」

「「「「─────!!」」」」

 浮遊ボール達はワタシの言葉に満足したのかお掃除に戻りました。おのれ、いつかワタシもアオノ様にメイド部隊を用意してもらったら……。

 密かな野心がユーリの心に宿りました。

 その日はお掃除も無事に終わりました、アオノ様は部屋にこもる日がたまに続く事があります。
 この胸に輝くブローチを作っていたと話された日がそうでしたね。

 これはユーリの宝物です、巨乳エルフのイオリアや眼鏡巨乳のリエリが貰った物よりも魔石が大きいのですよ。フフン。

 そしてアオノ様が部屋にこもって何かに集中するなら、それを邪魔しないのかメイドの務めです。
 お掃除が終わったので何かする事があれば聞きたかったのですが仕方ありません。

「これからは剣の手入れでもしますか」

 ユーリは戦闘の時に剣を使って戦います。

 魔力が宿った魔法剣を召喚して突撃したり、武器として使ったりしています。
 剣の技術も戦闘能力もゴーレムとして戦闘を前提に生み出されたワタシは最初から持っています。

 この魔法剣を召喚する魔法もアオノ様から与えられた能力の筈なのですが、アオノ様に心当たりがない様な顔をしていました。

 その辺りは完全に謎ですね。まあ便利な能力なので構いませんが、しかしその召喚する剣、これは別に無から無限に生み出される訳ではありません。

 恐らくこのブルーメント城の金庫にあった無数の武器の類、そこから剣を召喚しているとではと睨んでいます。そこの掃除は浮遊ボール達が譲らなかったので詳しくは分かりませんが。

 アオノ様もこの城の地下にある金庫やら他の謎施設に対する説明は今だありません、まあ必要ないからしないだけなのでしょうが。

 このスカイディアは異空間に創られた天空都市です、もしも金庫に武器の類があるなら何に備えての準備だったのかとか謎が深まりますが……。

「う~~ん、その辺りもやはり完全に謎ですね」

 まあワタシは剣に汚れがないかを確認したりして、次回の活躍の場を期待するのみです。
 また手柄を立てたら新しいプレゼントがあるかもとか思ってはいませんよ?。

 無論貰える物は貰うのがワタシの主義ではありますけども……。

 近頃巨乳エルフはスカイディアの郊外に出て何やら調べ物をしています。何をしてるのか気にはなりますが、アオノ様が黙認してるので口出しはしません。

 あのエルフはとにかく知らない事を知るのが好きなだけのヤツです。ほっとくと何をしでかすか分からない一面はありますが、何かやらかしてもアオノ様ならなんの問題もないでしょう。

 無論何かしでかしたらこのユーリがお仕置きをしますがね。客として招待してるからといって調子に乗ればこの白銀の剣が閃きますよ?。

 そんな事を考えながらブルーメント城のワタシに割り当てられた一室にて剣の手入れをしながら、今日も日がな一日が過ぎていくのです。










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