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第1部『旅の魔法使いと水神の巫女』
ネクシア~復活の器~
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イオリアやザンクスやエサクなら共に戦いを守る事も構わない。
けどこのイケメンまでとなると手が回らなくなる可能性が高い、ただでさえ彼の攻撃はあの自称魔王には効かないと事前のマジックサイトのやり取りで分かっているなら尚更だ。
「しっしかし!」
「しかしも案山子もありません。私達はこれからとても危険な存在と対峙する事になるでしょう、貴方では足手まといだ」
「!?」
だってこのカインが強いのってその装備してる剣とか盾とか鎧に付与されてる魔法が強いだけなんだ。
そしてその魔法は私でも無効化出来る、あの自称魔王もそれくらいは出来るだろう。
なら自力で魔法も使えそうにない彼はイオリアやザンクスよりもやられる可能性が高すぎるのだ。
そんなヤツまで決戦に連れて行く訳がないだろう。
イオリアとは天と地程に対応が違う事は承知している。けど自称魔王はどう考えてもヤバイ相手だ、死なれたらやはり目覚めが悪くなるのでここは遠慮してもらいたい。
結果カインは無言で棒立ち、私は他の皆を連れて青い渦へと飛んだ。
◇◇◇◇◇◇
そして青い渦、要は転移ゲートを越えた先。
私達はドーム状のとてつもなく広い広間にいた、そこは壁も床も真っ白い大理石のような物で作られた場所だった。
そしてその中央に………青い球体が浮かんでいた。
アレは、水だ。とても大きな水球である、しかしその塊から放たれる魔力とプレッシャーはアレがただならぬ存在だと私には告げる。
「皆さん、あの水の塊が恐らく魔王です。決して油断しないように!」
私の声に全員が頷く、ちなみにエサクには引き続き姿を消してもらっている。万が一ネクシアを救出出来るチャンスとかあった時の為の助っ人枠である。
他の面々も私の言葉を聞いて警戒をあらわにしているな、よし。
「アオノさんの言うとおり、アレが魔王ムゲラリガスよ。あの隠そうとしても隠しきれない邪悪な魔力がその証拠ね」
「なんて魔力なの、あんなのがこの世に存在するだなんて……」
「ユーリの剣で葬ってやるのです」
「俺の戦斧も忘れないでくれよ!」
こちらの士気は上々、私達は水球の前に下りた。
するとまたあの声が聞こえる。
『──貴様らは、何者だ?まるでこのオレの事を知っているような、その落ち着き払った態度!胸糞が悪いんだよ!アアッ!?』
胸糞が悪いって、なんでそんな言い回しをコイツは…………まさかコイツ。
いやっそれは後だ。私は一歩前に出て口を開く。
「貴方の予想は当たっています、私達はどうやらとある神から貴方を倒すように依頼を受けてここに来ましたからね」
「アッアオノさん!?それは……!」
イオリアが思わず口を挟もうとしたが、リエリが制して止めた。
私は言葉を続ける。
「まあっ私はただの旅の魔法使いなんですが……あっ私は青野と言いますよろしく」
『───よろしくだと?お前らは目の前にいるのがどんな存在なのか、理解していないのか?』
私達から見える位置に、水球の中から人の姿が現れた。あの群青色の綺麗な髪は……ネクシア?。
いやっおかしいぞ、彼女は少女くらいの年齢だったはずだ。しかしあの女性は十代後半から二十歳前といったところだ。
ネクシアの姉?いやっこの異空間に私達より先に人が来ているなんて。
「────まさか」
『ふふふっ気づいたか?そうっこの女はさっき手に入れたネクシア本人だ』
水球から現れた美女が口を開く、その声は間違いなくネクシア本人の物だった。
「ネクシアさんの身体を乗っ取ったと?」
『そうだ、この空間から出るには巫女とこの大海の杖が必要だったからな。その両方を確実に手に入れる為に、随分と長い時間をかけた。最初は外に思念を飛ばすのすら苦労したものだ……』
「……………」
『ああっ見た目が成長してるのは、オレがロリコンじゃないからさ。好みの姿に変えたんだよ』
本当にコイツは人間を、いやっ自分以外の他の命をオモチャにか………ゴミとしか見ていないのだろう。
マジ不愉快の権現だなこの自称魔王は。
『そしてもう一つ!言っておくが、今のオレは魔王じゃないぞ?神すら取り込んだオレは……更に偉大な神だ、分かるな?』
「───悪神やなんかでしょう?ああっそれとも、たたり神よりもタチが悪く御利益も期待出来そうにない矮小な神ですか?」
『………………死ね』
そして私達と自称魔王との戦いの火蓋は切って落とされた。
けどこのイケメンまでとなると手が回らなくなる可能性が高い、ただでさえ彼の攻撃はあの自称魔王には効かないと事前のマジックサイトのやり取りで分かっているなら尚更だ。
「しっしかし!」
「しかしも案山子もありません。私達はこれからとても危険な存在と対峙する事になるでしょう、貴方では足手まといだ」
「!?」
だってこのカインが強いのってその装備してる剣とか盾とか鎧に付与されてる魔法が強いだけなんだ。
そしてその魔法は私でも無効化出来る、あの自称魔王もそれくらいは出来るだろう。
なら自力で魔法も使えそうにない彼はイオリアやザンクスよりもやられる可能性が高すぎるのだ。
そんなヤツまで決戦に連れて行く訳がないだろう。
イオリアとは天と地程に対応が違う事は承知している。けど自称魔王はどう考えてもヤバイ相手だ、死なれたらやはり目覚めが悪くなるのでここは遠慮してもらいたい。
結果カインは無言で棒立ち、私は他の皆を連れて青い渦へと飛んだ。
◇◇◇◇◇◇
そして青い渦、要は転移ゲートを越えた先。
私達はドーム状のとてつもなく広い広間にいた、そこは壁も床も真っ白い大理石のような物で作られた場所だった。
そしてその中央に………青い球体が浮かんでいた。
アレは、水だ。とても大きな水球である、しかしその塊から放たれる魔力とプレッシャーはアレがただならぬ存在だと私には告げる。
「皆さん、あの水の塊が恐らく魔王です。決して油断しないように!」
私の声に全員が頷く、ちなみにエサクには引き続き姿を消してもらっている。万が一ネクシアを救出出来るチャンスとかあった時の為の助っ人枠である。
他の面々も私の言葉を聞いて警戒をあらわにしているな、よし。
「アオノさんの言うとおり、アレが魔王ムゲラリガスよ。あの隠そうとしても隠しきれない邪悪な魔力がその証拠ね」
「なんて魔力なの、あんなのがこの世に存在するだなんて……」
「ユーリの剣で葬ってやるのです」
「俺の戦斧も忘れないでくれよ!」
こちらの士気は上々、私達は水球の前に下りた。
するとまたあの声が聞こえる。
『──貴様らは、何者だ?まるでこのオレの事を知っているような、その落ち着き払った態度!胸糞が悪いんだよ!アアッ!?』
胸糞が悪いって、なんでそんな言い回しをコイツは…………まさかコイツ。
いやっそれは後だ。私は一歩前に出て口を開く。
「貴方の予想は当たっています、私達はどうやらとある神から貴方を倒すように依頼を受けてここに来ましたからね」
「アッアオノさん!?それは……!」
イオリアが思わず口を挟もうとしたが、リエリが制して止めた。
私は言葉を続ける。
「まあっ私はただの旅の魔法使いなんですが……あっ私は青野と言いますよろしく」
『───よろしくだと?お前らは目の前にいるのがどんな存在なのか、理解していないのか?』
私達から見える位置に、水球の中から人の姿が現れた。あの群青色の綺麗な髪は……ネクシア?。
いやっおかしいぞ、彼女は少女くらいの年齢だったはずだ。しかしあの女性は十代後半から二十歳前といったところだ。
ネクシアの姉?いやっこの異空間に私達より先に人が来ているなんて。
「────まさか」
『ふふふっ気づいたか?そうっこの女はさっき手に入れたネクシア本人だ』
水球から現れた美女が口を開く、その声は間違いなくネクシア本人の物だった。
「ネクシアさんの身体を乗っ取ったと?」
『そうだ、この空間から出るには巫女とこの大海の杖が必要だったからな。その両方を確実に手に入れる為に、随分と長い時間をかけた。最初は外に思念を飛ばすのすら苦労したものだ……』
「……………」
『ああっ見た目が成長してるのは、オレがロリコンじゃないからさ。好みの姿に変えたんだよ』
本当にコイツは人間を、いやっ自分以外の他の命をオモチャにか………ゴミとしか見ていないのだろう。
マジ不愉快の権現だなこの自称魔王は。
『そしてもう一つ!言っておくが、今のオレは魔王じゃないぞ?神すら取り込んだオレは……更に偉大な神だ、分かるな?』
「───悪神やなんかでしょう?ああっそれとも、たたり神よりもタチが悪く御利益も期待出来そうにない矮小な神ですか?」
『………………死ね』
そして私達と自称魔王との戦いの火蓋は切って落とされた。
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