上 下
27 / 61
第1部『旅の魔法使いと水神の巫女』

ダンジョンの真実

しおりを挟む
◇◇◇◇◇◇


 私達はダンジョンに向かっている。転移でアルゴ島に戻って来た時点でコネルから離れた場所に移動しているのでザンクスは姿を消してないしユーリも杖にはなっていない。

 進む道は踏み固められただけの舗装も何もない道だ。道中モンスターの類は何も現れなかった。

 そしてダンジョンに到着した、見た感じは………閉鎖されている鉱山の入り口にも見えるな。

 人気が全くなくて寂れている、本当にここがダンジョンなのかと、もう一つのダンジョンの盛況ぶりを知るだけに驚いてしまうね。

「リエリ、ここは完全にダンジョンは休業中なのでは?」

「ダンジョンに休業なんてないわ」

 え~~本当に?誰もおらんよ?っと内心は思いながもダンジョンの入り口に向かう、中を覗くがザンクスが言っていた通りに大小の岩が崩れて中になんて入れそうになかった。

「見ての通りだぜアオノ、このダンジョンは中に誰も入れなくなってるんだよ」

「そうですね、しかしリエリが意味もなくここに私達を導く訳がない筈。1度中に入ってみますね」

「おっおい、アオノ!」

 ザンクスが止めようと名前を呼ぶが無視して中に入る。確かにこれは人の力じゃ無理だよな?魔法でどかして中に入るか?。

「────これは」

 そこで魔法使いである私は気づいた。この岩、魔法で創り出された物だな。
 つまり誰かが故意にこのダンジョンの入り口を閉ざしたって訳である。

 成る程ね。つまりリエリが言いたかった事とはそう言う事なんだな。

 このダンジョン、間違いなくなんかあるわ。

「ザンクスさん、ユーリ。恐らくこのダンジョンの入り口は魔法により故意に閉ざされた可能性があります」

「なっ本当かよ!?」

「そんな事まで見抜くとは、流石アオノ様です」

「私も魔法使いの端くれですから。魔法で生み出された物は一目で分かります」

 私は2人に向き直り質問する。

「──そして私の魔法ならこの岩を無視してダンジョンに侵入する事が可能です。しかしユーリとザンクスさんの意見も聞きたい、どうしますか?」

「アオノ様の意思に従うのがユーリです、どんな指示にも従います」

「俺もだ、そもそも俺は生前は冒険者だぜ?目の前に怪しいダンジョンがあって行かないなんて選択肢はねぇっ!」

 2人の意思は分かった、するとリエリが私の隣にスッと来てヒソヒソと話す。

「あら?私には意見を聞いてくれないの?」

「いえっそう言う訳では……」

「意見?……以前のストレングスドラゴンとやらと戦う時には結界の外で高みの見物をしていたくせに厚かましいですよ!」

 ユーリがキッパリと言う、その辺り私も気になっていた。リエリはお助けキャラなのかナビゲーションだけのキャラなのか、ハッキリして欲しいのだ。

 いざって時に頼りしていると無理で~すってなると困るしね、と言うかあのマッスルドラゴンの時に困ったしね。

 倒せる相手だから良かったけど、勝てない相手だったら多分リエリを恨んで死んでたと思う元アラサーだ。そしてリエリがユーリに答える。

「もちろん必要なら助けに入るつもりよ?けどアオノさんや貴女達ならストレングスドラゴン程度、私の助けは不要だと思ったのだけど?」

「貴女はアオノ様に力を貸すような物言いをしておきながら実際の戦闘ではあんな真似をした、その事自体が問題なんです。力を貸すなら貸す、貸す気がないのならそうハッキリしろと言っています」

「…………」

 リエリがこちらを見てくる。流石にユーリの言葉が正しいかな、ここは取り敢えず言うことは言っておくか。

「リエリの意見ももちろん聞きます、しかしユーリの意見に私も同意です。少なくとも今後はあんな風な真似をするのであればスフィリアの思惑通りに動くかはお約束は出来ませんよ?」

「ッ!………」

 リエリには悪いけどやはりモンスターと戦うって怖い。だからこそああ言う勝手が過ぎる真似をされるのは困る、そしてユーリはそんな真似をしない、ならどちらの意見意思に重きを置くかは言うまでもないだろう。

 私も何かと都合が良いだけの男なんて立場はゴメンであるからして。

「───ふうっ完全にやぶ蛇ね。わかったわ、謝ります。今後はあんな真似は絶対にしないしちゃんと力も貸すわ」

「その言葉を信じましょう、どうですかユーリ?」

「アオノ様がそう言うのなら……」

「それではこの話はここまで、ダンジョンに侵入しましょう」

 私は魔法を発動する、使う魔法はテレポートである。これなら岩なんて何の関係もありませんねって話である。

 そして転移して入り口を素通りして中に侵入成功する、中は完全に建築物の内部って感じで石柱に支えられた石造りの天井や壁である。

 私達4人が探索を開示する。早速気づいたのは、ダンジョンにはゴミ1つなくまるで毎日誰かに掃除でもされているように綺麗だと思った。

 通路を進む。幅五メートル位の大きめの通路で曲がり角に差し掛かった、曲がったタイミングでモンスターと鉢合わせっとかよくあるよな~~。

「─────ん?」

「へ?」

 ばったり鉢合わせしたのは神官服を着込んだ若者だった。何でここにあの信仰団体のモブキャラが?。
















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中

佐藤うわ。
ファンタジー
 ファンタジー架空戦記建国もの+ほのぼの日常魔法ラブコメです!!  ひょんな事から主人公は硬くなったり雷が出るだけの単純な能力を貰い銀髪三白眼少年になって異世界転生させられるが、ちょっとだけ変態の少し痛い性格になってしまう……  無限の魔力があるが魔法が使えなくなり家出した小国の王女で超絶美少女雪乃フルエレの危機を救い、一目惚れされ良いゴーレムと勘違いされ、砂緒という名前を貰って仲間になり特に目的も無いので彼女と旅をしたり魔法ロボットで戦ったりする内に自分好みの国を建国します!  砂緒はひたすら彼女を助け必死に守っていく健気な物語ですが時々浮気もします…… お気に入り支援お願いします!! 小説家になろうで重複投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

『転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
【祝!93,000累計pt ローマは1日にして成らず・千里の道も一歩から】 歴史好き、という以外にこれと言って取り柄のない、どこにでもいるサラリーマンの沢森武は、休暇中の地元で事故にあい戦国時代に転生してしまう。しかし、まったくのマイナー武将で、もちろん某歴史ゲームには登場しない。おそらく地元民で歴史好きですら??かもしれない、地方の国人領主のそのまた配下の長男として。ひょっとしてすでに詰んでる?ぶっちゃけ有名どころなら歴史的資料も多くて・・・よくあるタイムスリップ・転生ものでもなんとか役に立ちそうなもんだが、知らない。まじで知らない。超マイナー武将に転生した元アラフィフおっさんの生き残りをかけた第二の人生が始まる。 カクヨム様・小説家になろう様・アルファポリス様にて掲載中 ちなみにオフィシャルは https://www.kyouinobushige.online/ 途中から作ったので間が300話くらい開いているいびつなサイト;;w

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

処理中です...