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第11話 食べ歩き

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 って訳でコルトバーレで食べ歩きをしながらの観光を開始したい。取り敢えずはそう言う事が出来る屋台が軒を連ねる一画がないかと探した。

 観光を売りにしてるなら絶対あるだろうと思っていたら直ぐに見つかった。
 早速二人に何か食べたいか聞く。

「ミレイ、ムラサキ、屋台で何か買って食べなから観光をしよう」
「歩きながら物を食べるの? 少しはしたないのではなくて?」

「それでは僕と宮城殿は食べ歩きをするのでミレイは食べなければ良いのですよ」
「ハアッ!? そっそれは嫌よ、なんか仲間外れにされてるみたいじゃない!」

 二人は結構仲が良いな、俺は取り敢えず一番近くの屋台にさっさと移動する。
 クレープっぽいのを売ってるお店だ。
「すいませ~ん、これ下さい」

「あっ! 宮城殿が一人だけ買っています!」
「ミヤギ! 貴方はレディファーストって言葉を知らないのかしら!?」

 そんなん知らんよ、異世界グルメの方が大事なのだ。その後取り敢えず三人ともクレープを買った。
 俺が知るやたらと中に何か入ってるやつじゃない、甘いクリームとチョコソースだけのシンプルなクレープ。

 しかしこれくらいがおっさんにはちょうど良いんよ、なんか子供の頃に出歩いた夏祭りとか思い出しちゃったな。
 あそこでゲットした金魚やミドリガメ、翌年には皆あの世に行かせてしまっていた子供の時を思い出した……ごめんねキンキンとカメ助。

 まあそれは置いといて。俺は他の屋台も見て回る、流石にタコ焼きとかタイ焼きはなかったが焼きそばっぽいヤツとか焼き鳥的なのならあった、アレも後で絶対食おう。

「ミレイはこの国の王女なんだろう? ならコルトバーレの歓呼名所とか知らないのか? あのとんでもなくデカイ塔には絶対に行くとして、他にも何かあるなら教えてくれよ」

「わたくしも滅多に国の外には出なかったのでそこまで詳しくは……って! 平然と王女であることを話さないで頂戴、誰が聞いてるか分かった物じゃないのよ!?」

「まあまあっそれよりこの串に刺さった肉は、香辛料が効いていて美味しいですよ」
 あっ俺が食べようと思っていた焼き鳥っぽいヤツ、やはり美味しいのか。

「それ俺も買ってくる!」
「あっわたくしのもお願いするわ!」
「分かった!」

 そんな感じでお腹を満たしながらコルトバーレを適当にぶらつく俺達、コルトバーレには立派な教会とかカジノまであるらしいのでいずれは行ってみたいもんだ。

 しかしムラサキやミレイを連れて行くなら教会までだろう。下手にギャンブルとか覚えさせると散財する可能性があるので行くなら一人で行こうと決めた。

 他には雑技団とか劇場とかもあるらしい、一ヶ月の滞在期間でも回りきれるか? いや足りなかったら延ばせば良いだけなんだけどさ。

 時間はあるんだ、ゆっくり楽しめば良いんだ。
 その日はコルトバーレの街並みを適当に楽しんで、夕方には転移して浮遊島の屋敷に戻った。

 一回コルトバーレの街を見てきたので人通りがなさそうな所も幾つか見つけられた。今後はそこに転移すれば問題ないだろう。

 俺は一日歩いた疲れをお湯に浸かりながら取っていた。
「う~~ん……こう言うのって悪くないな」

 日本じゃ録に休みも取れなくて旅行とか観光なんて一度も行けなかった、いやっ休みがあっても旅行に行ける余裕とこなかったんだよな、安月給はツラいよ本当。

 日本に帰れないのは困るけど、ここまで生活が一変するなら異世界に残って良かったと思えるな。

「自分の好きな時間に起きて、好きな事を好きなだけして好きな時間に寝る。まさに理想のスローライフってヤツじゃないか?」

 その上こんな立派な屋敷に住めて、異世界のグルメや観光が楽しめる。とても日本で生活してた頃の俺じゃこんな生活に手は届かなかっただろう。

 そう考えるとむしろ俺は運が良かったと言えるかも知れない、少々クセはあるがムラサキやミレイみたいな美人と同じ屋敷に住んでるってのもプラスだしな………こっちは多分だけど。

 ムラサキが城から拝借した大金、それとお宝とやらを金に換えれば一生金に困る事もないわけだ……まあこれはミレイが特に文句とか言ってこないから生活費として換算してるけど、本当に良いのかな?

 働かなくても悠々自適に生活出来るんなら、俺はその方が良い、別に仕事じゃなくても趣味の一つや二つに注力すれば暇な時間なんて早々生まれないもんだからな。

 まあ俺は無駄に時間を潰すのも悪い事だとは念わないけどね、人生それなりに無駄がないとやっていけないよ。心が病んでしまう。

 明日はどこに行こうか、目的地とか特になくても楽しめそうなのだから適当でいいか?
 そしていずれはあの巨大な塔だな、歓呼名所として有名なら危険もなさそうだし、時間もあるからのんびり見に行こう。

 風呂から上がり寝間着に着替える、この屋敷には当たり前のように洗濯機がおいてあるので着ていた服は中に投入だ、ムラサキが明日の朝に洗濯しますと言っていたのでありがたくお願いしよう。

 ベッドに入る、ふかふかだ、気持ちいい。
 明日からの観光も楽しみだな。
 …………寝るか。

 

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