家に帰ると推しがいます。

11.初夜

7 ＊

「イって、イオくん」
「イき、ます、あっ、っ、……ああっ」

　一際甲高い声をだしたイオの性器から、勢いよく精液が飛びだす。それは総司の手を汚した。一瞬力が入ったイオの腕だが、すぐに弛緩し、ベッドへと身体を沈めた。

　総司は上半身を起こし、手に付いたイオの白濁をじっと見つめる。生温く粘着質な精液がイオから生み出されたものであることに、嫌悪よりも興奮が勝った。惹きつけられるように、総司は白濁色の体液に舌を這わせる。途端、口内に生臭い味が広がった。

「総司さん、何してるんですか？！」

　総司の行動に、イオは賢者タイムから強制的に覚め、慌てて起き上がった。総司の腕を掴むと、ベッドの枕元に置かれたティッシュで、精液を拭いとる。

「変態！」

　顔を赤くして叫んだイオに、総司は我に返る。

「変態……？」

　ぷんぷんと怒るイオからの罵倒に、ショックを受ける総司だったが、じわりと興奮も滲む。推しに罵倒されるという初めての体験に、倒錯した結果だった。しかし、すぐに自分がしでかしたことを認識し、謝罪した。

「イオくん、ごめん……！」
「いいですけど、いや、よくないですけど……」

　イオはぷんぷんしながらも「俺だって舐めたいのに……」と独り言を続けたが、総司の耳には届いていなかった。

「それより、続き、しませんか？総司さんだって、辛いですよね？」

　イオは総司の下半身に視線を送る。総司の性器は下着を押し上げ、その輪郭を浮かせていた。下着には先走りがうっすらと滲む。言い当てられた総司は気まずくなるが、隠しようがない。

「俺は大丈夫だから」

　総司はイオを宥めつつ、イオを再びベッドへと寝転ばせる。そして、枕元に置かれた使いきりのローションを手に取った。

「触っても、大丈夫？」

　先ほどとは違い、総司はあえてイオに尋ねる。いくらイオが覚悟を決めていようとも、幾分か躊躇はあるはずと総司は考えた。
　しかし、イオはあっけらかんと「早くしてください」と強請りさえした。ふいに見せるイオの男らしさに、総司は敵わないと降参する。

　イオの両足の間に身体を入れ込み、総司はローションの封を切る。総司が手に出したローションを人肌に温めている間、イオは膝を立てて、股を大きく開く。霰もないイオの姿に、総司は静かに深呼吸をした後、イオの窄まりに手を伸ばした。

「指入れるね」

　前置きをした総司は、ローションで濡れた指で縁をなぞり、ゆっくりと人差し指を入れる。つぷりと抵抗なく入っていった指は、肉壁にきゅうと締め付けられた。

「あれ……？」

　指一本は余裕で飲み込んでしまう後孔に、総司は思わず首を傾げてしまう。が、すぐにその理由を察する。

「もしかして、イオくん……」

　イオは総司の言葉に、小さく頷いた。

「さっき準備したので……。もう挿れても大丈夫だと思います」

　総司は思わず天を仰いだ。イオにだけ準備をさせてしまい情けなく感じつつも、準備万端なことに昂ぶりを覚える。