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11.初夜
5 *
しおりを挟むイオは総司に抱きつく。素肌同士が触れ合い、互いの鼓動が重なり合う。イオは幸福感を味わっていた。
ただ肌を触れ合わせただけで、これほど幸せなのに、この先の行為がどれほど幸せをもたらすのか、イオは想像できなかった。
「イオくん、続きしても、いい?」
総司の優しさが滲む問いに、イオは「はい」と答えた。
総司がイオの身体を、ゆっくりとベッドへと押し倒す。再びイオに覆い被さった総司は、興奮を落ち着けるため、一つ深呼吸をした。
「嫌だったり、痛かったりしたら、すぐに言って。なんだったら、殴ってもいいからね」
「もう、わかりましたよ」
総司の念押しに、イオは思わず笑いをこぼす。優しさからくるものだとはわかっているが、イオも興奮しているため、早く先に進みたい。
「イオくん、俺は真剣に、っん!」
総司の言葉を遮るように、イオは総司にキスをした。思わぬタイミングに、総司はきょとんとする。
「あんまり焦らさないでください、ね?」
小悪魔的に笑んだイオに、総司は心の中で拝み倒し、理性が一敗を喫した。
総司は謝罪の言葉の代わりに、イオにキスを落とす。それが始まりの合図となり、総司はイオの身体にそっと触れた。
大きな手のひらが、イオの身体を撫でて、這う。首筋、胸板、腹、腰、あらゆるところを味わうように、総司はゆっくりと手を動かした。手のひらからイオの体温が伝わる。その間にも、キスは止めず、唇や頬、額を軽く啄む。
「んっ……、っ、あっ……」
イオは甘い声を漏らし、ふるりと身体を震わせる。その度に、妖艶さが匂い立ち、総司はそれに酔いしれた。
「あ、っ……んんっ!」
総司の手が、イオの乳首をきゅっと摘むと、イオは甲高い声を漏らす。総司は慌ててハンズアップした。
「ごめん、痛かった?」
申し訳なさそうな表情をする総司に、イオは恥ずかしくなる。
なぜなら、乳首はじくりと熱を持ち、さらなる刺激を欲していたからだ。イオは首を横に振り、行為の続きを要求するように、総司を見つめた。
「続けても、大丈夫?」
念のため、総司は確認すると、イオは小さく頷いた。
総司は一呼吸置いてから、片方の乳首は指で弄び、もう片方にそっと舌を這わせる。
「ひぁっ」
生暖かく、柔らかい舌の感触に、イオは声を漏らした。指で触れることはあっても、他人に舐められた経験はない。いつもの快感が増幅される感覚に、イオの身体は熱くなる。
総司はイオの様子を伺いながら、舌で突起を撫で、軽く歯を立てた。イオはふるりと身体を震わせ、嬌声を漏らす。
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