家に帰ると推しがいます。

えつこ

文字の大きさ
上 下
62 / 71
11.初夜

4 *

しおりを挟む




 イオが頷くのを確認してから、総司はイオに口づけた。最初は長く、その後はついばむように軽くキスをしながら、二人はベッドへと乗りあがる。

「イオくん、好き」
「俺も、総司さんのこと好きです」

 互いに、吐息混じりで囁きながら、総司はイオに覆いかぶさり、キスを続けた。イオが誘うように唇を開くと、総司は舌を入れる。じゅるりと唾液が絡み、深くキスを交わした。

「んぅ……、っ…………、んぁ……」

 イオの嬌声が、総司の鼓膜を震わせ、脳を揺らす。脳から全身へと興奮の信号が送られ、総司は本能的にイオの全てを暴きたくなる。
 
 総司はキスを一度止めた。名残惜しさを示すように、唾液が二人を繋ぐ。上体を起こした総司は、イオのバスローブの腰ひもを解き、バスローブをはだけさせた。ベッド脇の間接照明が、イオの身体を照らす。
 そこには、総司が今まで見たことないイオの姿があった。

 恍惚とした表情、細い首から続く鎖骨、薄い胸板、胸板に慎ましやかにある突起、薄い腹、骨ばった腰、黒のボクサーパンツを押し上げるイオの性器、太ももの白く滑らかな肌、細い足。

 初めて見るイオの全身を、総司はじっと見つめた。さながら視姦だ。総司の視線に、イオは恥ずかし気に身を捩った。

「あの、総司さん……?あんまり見ないで、欲しいんですけど……」

 イオの声は、総司には聞こえていない。イオの身体はとても綺麗で美しく、この世のものではないと総司には感じていた。以前からイオのことを天使だと言っていた総司だが、それが間違ってないと確信し、夢中でイオを見つめた。

 しかし、イオが「ごめんなさい」と謝罪したことで、総司は我に返った。

「イオくん?ごめんって……?」
「こんな身体じゃ、興奮できないですよね……」

 イオは自嘲気味に言い放つ。総司が動かなくなってしまった理由を勘違いし、表情を暗くした。そして、はだけたバスローブを元に戻すように身体を隠す。

「違う違う、見惚れてただけだって」

 総司は慌てて否定する。

「無理しなくていいです。俺は総司さんに好きでいてもらえたら、嬉しいので……。身体の関係が欲しいわけじゃないです」
「違うよ、イオくん」

 総司は首を横に振って、自らのバスローブの腰紐を解いた。説明するよりも、見せた方が早いと判断したからだ。

「ちゃんと興奮してる」

 総司がバスローブを脱ぐと、イオは驚いて目を見開く。鍛えられている総司の身体はもちろん、ボクサーパンツを押し上げている総司自身に、だ。今度はイオが総司の身体に見惚れる番だった。

「あの、イオくん、あんまり見られると恥ずかしいんだけど……」
「総司さんだって、俺のこと見てたじゃないですか。おあいこです」

 イオはそう言うと上体を起こし、総司の肩にかかっているバスローブに手をかける。

「総司さんも、早く脱いでください」

 総司のバスローブが、イオの手で剥ぎ取られ、ベッドに落ちる。二人は下着以外身につけていない状態になった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

【番外編更新】小石の恋

キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。 助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。 なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。 果たして律紀は逃げ切ることができるのか。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

処理中です...