家に帰ると推しがいます。

10.後日

6

「総司さん」
「なに？」

　イオは答えない。その代わりに、熱を含んだ視線を総司に飛ばした。総司はイオが求めるものを察する。
　二人はそのまま見つめ合い、どちらからともなくキスをする。角度を変え、ちゅっ、ちゅっとキスを繰り返す。二人の体温は急激に上がり、キスは徐々に深くなる。互いの舌を絡め、唾液が交わる。

「んぅ……、っ、あ……」

　総司がキスをしながらイオの腰や背中を撫でると、イオは甘ったるい声をこぼした。

（イオくんの身体、匂い、体温。温かくて、少し汗の匂いがして、柔らかくて……。イオくん！好き！！全身隈なく暴いて舐めて味わい尽くしたい！イオくん、イオくん！！）

　総司の脳内は一気に熱くなり、イオのことでいっぱいだ。暴走しないように、総司は理性でブレーキをかける。一度気持ちを落ち着かせるため、総司はどうにかキスを止めて、イオの身体を引き離した。

「先にシャワー浴びない？俺、汗かいてるし……」
「いやです」

　しかし、その提案をイオは拒否した。そして、イオは総司の手を掴み、寝室へと連れていく。
　寝室は暗く、廊下の明かりが差し込む程度だ。部屋の暗さに目が慣れる前に、総司はベッドへと押し倒された。総司が起き上がる前に、イオが総司の上に乗り掛かる。

「イオくん、待って」
「待ちません」
「待って、わっ、ちょっと」

　総司の抵抗は虚しいもので、イオにされるがまま。寝室には二人の息遣いが落ちた。二人の夜が始まる。


　アイドルとファン、ステージと客席、交わることのなかった総司とイオの人生が、交わり、重なり、一つとなって続いていく。これからの二人の生活については、また別のお話。



〈終〉









あとがき


『家に帰ると推しがいます。』、最後までお読みいただきありがとうございました。

どたばたラブコメディを目指しましたが、果たして……？という感じですね。

お話としましては、一応完結です。
が、二人の初夜を書かねばならないので、次は初夜編です。少しお時間いただきますが、必ず書きます！！

最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

またお会いできたらと思います。