お隣さんはセックスフレンド

4-1.チョコレートケーキ（番外編）

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　遼の部屋のベッドに、二人は向かい合って眠る。服は着たままで、身体を寄せ合った。遼の腕の中におさまった王輝は、少し暑く感じるものの、遼に包まれる感覚が幸せだった。
「そういえば、この前、カズとタスクと出かけた？」
「え？……あぁ、出かけたっていうか、テレビ局で偶然会って、その後にカフェ行っただけ」
　遼の質問に、王輝は先日三人でパンケーキを食べたことを思い出していた。あのあと、カズはSNSに写真をアップしていたのを王輝は確認していた。写真はパンケーキと見切れた王輝の腕だけで、王輝の顔は写っていなかったが、コメント欄では王輝だと言い当てられていた。それは腕につけていたバングルが理由で、遼と色違いのバングルは、BloomDreamのファンにはすっかり認識されていた。
　それがどうしたのだろう、と王輝は不思議に思ったが、遼の不満げな表情で察した。
「もしかして、妬いてる……？」
　王輝の言葉に、遼は数秒黙った後、小さい声で答えた。
「……そう、かも」
　それだけ言うと、遼は恥ずかしげに目を伏せた。王輝は思わず可愛いと感じ、同時に嬉しく思う。
「二人とは何もないから。ただパンケーキ食べただけ」
「それは、わかってる。ごめん。俺の気持ちの問題だ」
「じゃあ、今度一緒にパンケーキ食べに行く？」
「パンケーキも食べに行きたいけど、今度二人でどこか出かけたり、とか、しない……？」
　遼の遠慮がちな誘いに、王輝は思わず笑ってしまった。「俺、変なこと言った？」と不思議そうな表情をする遼に、王輝は「大丈夫、気にしないで」と返す。
「もちろんいいに決まってるだろ。出かけるならどこがいい？温泉とか？」
「温泉でもいいし、買い物とか、なんでも。二人きりで過ごしたいんだ」
　遼の言葉に、王輝は頬を綻ばせる。二人きりで過ごしたいという気持ちは、王輝も同じだった。
「うん、いいよ。日帰り旅行とかなら行きやすいよな」
「キャンプは？」
「え、暑いから嫌だ」
　王輝の率直な物言いに、遼は笑いを吹きだす。
「キャンプより、グランピングがいい。あ、あと、俺イヤーカフ買いたいんだよね」
「イヤーカフ？」
　遼が首を傾げたため、王輝が説明する。王輝は以前撮影のためにピアスを開け、今も開けたままだ。普段アクセサリーをつけない遼だが、イヤーカフなら簡単につけられそうだと王輝は思っていた。
「遼も一緒に買ってさ、また色違いにしよ」
「わかった」
　遼が頷くと、王輝は楽しげに笑った。
　その後も、二人は微睡みのなか、他愛のない会話を続けた。お互いの近況報告が主だったが、しばしの間、幸せな時間を揺蕩う。
　ふと、王輝があくびをする。それにつられ、遼もあくびがこぼれた。
「遼、俺もうそろそろ寝ないと、明日入りが早くて……」
　王輝はまばたきをして抵抗するが、まぶたは否応なく重くなってくる。遼も同様に、睡魔がじわりと襲う。
「俺も寝るよ」
「うん、おやすみ、遼」
「おやすみ、王輝」
　遼の声に、嬉し気に微笑んだ王輝だが、すとんと眠りに落ちた。遼は王輝の寝顔を愛おしく見つめ、額にキスをする。そして遼も眠りについた。
　こうして、遼の誕生日の夜は、幸せに包まれて過ぎていった。二人がグランピングに行くのは、また別のお話。














　突発のお話でした。お読みいただきありがとうございました。

　久しぶりの遼や王輝、他の人たちでしたが、長期間書いていただけあって、とても愛着がありますね。みんな楽しく過ごしているよ！というのを書きたくて、ちょっとずつ登場してもらいました。
　また、BloomDreamのキャッチコピー『君と未来（ゆめ）を咲かそう』は、連載中から決まってはいたのですが、出すタイミングを逃していたので……。

　今回、初めだけしかいちゃいちゃしてなかったので、次こそは……。グランピング編は後日書けたら……、頑張ります……。

　ここまでお読みいただきありがとうございました。少しでも楽しんでいただければ幸いです。