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3-3.二人のこれから
6 *(終)
しおりを挟む「ごめん、どこか痛かった?」
遼が心配して、王輝の顔を覗きこむと、王輝は首を横に振った。
「違う、遼と恋人になれて、こうやってセックスできて、嬉しくて、幸せで…」
身体だけ満たされた関係ではなく、恋人として心も満たされ、王輝はひどく幸せを感じていた。それは遼も同じだった。
「俺も、嬉しいし、幸せ」
遼は王輝の頬を伝う涙を指で拭う。そして、王輝への愛おしさを表現するように、その瞼や額、頬に口づけを落とした。王輝は嬉しそうに目を細め、遼からのキスを受け入れた。キスは唇にたどり着き、遼はちゅ、ちゅ、と何度もキスを落とした後、王輝を優しくベッドに押し倒した。
「王輝、好きだ」
遼のまっすぐな視線が王輝を見下ろす。熱がこもった、そして優しさの滲む遼の瞳に、王輝は幸せで胸がいっぱいになる。
「好き、遼」
王輝の返答が合図になり、遼はキスを再開した。唇をついばみ、首筋や鎖骨へとキスは移動していく。遼はゆっくりと抽挿繰り返しながら、王輝の白い肌を撫でて堪能した。さきほどまでの性急なセックスとは違い、一つ一つが優しくて甘く、王輝の身体の熱がじわじわと高まっていく。
「あっ、あ、りょう、好き」
「王輝、好き」
二人は気持ちを確かめるように、言葉にして伝え合い、唇を重ねた。もっと触れ合いたくて、王輝は遼の背中に手を回し、抱き着く。お互いの体温を外と中で感じ合い、二人は行為に夢中になった。
「好き、りょう、っ、もっと欲しい…」
「王輝っ…俺も、好き…」
遼は浅いストロークで出し入れし、前立腺を重点的に捏ねる。遼の手が王輝の乳首を捉え、周囲を優しく撫で、突起を摘まむと、肉壁がきゅうと遼自身を締めあげた。遼が大きく腰を動かし、奥を穿つと、王輝は表情を一層蕩けさせた。抽挿のたびに、ずちゅずちゅと水音が鳴り、精液とローションが溢れ出す。断続的な刺激に、王輝は限界が近かった。
「いいっ、あ、イくっ、遼っ」
「っは、俺も…」
「遼、好きっ、あっ、あぁっ…っ…」
王輝は遼にぎゅっと抱き着き、薄い精液を吐き出した。王輝の内壁が遼自身の先端から根本までをきつく締め付ける。二、三度抽挿した後、遼も奥で達した。奥で出された感覚に、王輝はふるりと身悶える。
「腹の中、遼のでいっぱい」
うっとりとした表情の王輝に、遼は理性が崩れるのをどうにか制した。
ゆっくりと王輝から自身を抜いた遼は、熱い息を吐く。王輝の後孔からは白濁とローションが混ざった液体がとろりと漏れた。
遼は脱力するように、王輝の隣に寝転んだ。ライブにセックスにと、身体を酷使し過ぎて、急速に眠気が襲う。しかし、王輝の後処理をしなければならない。遼は重い体を起こし、王輝と一緒に浴室へと向かった。
浴室で身体を綺麗にした二人は、かろうじて下着だけを身に着け、ベッドに戻った。興奮冷めやらぬ中、微睡みながら、キスをしたり抱きしめ合ったりといちゃいちゃとした時間を過ごす。先に眠ったのは王輝だった。遼は王輝の愛らしい寝顔を堪能して、額にキスを落とし「おやすみ」と小さく呟く。お互いの体温を感じて、二人は泥のように眠った。
先に目を覚ましたのは、王輝だった。
王輝の隣には、遼がすやすやと心地よさそうな表情で眠っている。それを見つめながら、王輝は幸せを感じていた。
王輝は遼を起こさないように、静かに起き上がる。全身あちこちに違和感を覚え、セックスの余韻に浸っていると、遼が身じろぐ。ゆっくりと目を開けた遼は、王輝の姿を見つけると、ふっと優しく微笑んだ。
「王輝、おはよう」
「おはよ。ごめん、起こした?」
「今何時?」
遼は尋ねるも、ゆっくりと瞼が閉じていく。遼の身体はまだ睡眠を欲していた。再び眠りにつく遼を見て、王輝もベッドに寝転んだ。休みなので、今が何時であろうと二人には関係なかった。
王輝が遼にすり寄ると、肌が直接触れ合い、温かさを感じた。王輝の行動に気づいた遼は、眠気と戦いながら、うっすらと目を開ける。
「遼、寝てていいよ。俺も寝るから」
「でも」
「日ごろ働きすぎなんだから、正月くらいダラダラしてろよ」
王輝は遼をねぎらうように、頭を撫でる。遼は嬉しそうに頬をゆるめ、今度は遼が王輝にすり寄った。まるで大型犬みたいだと、王輝は小さく笑いを吹きだした。
「なぁ、王輝。起きたら、一緒に初詣行こう」
「うん。おせちも食べなきゃ」
「そうだな」
「夜は二人で映画見よう」
「怖いのは、嫌だからな」
「わかってるよ」
二人は微睡みながら、他愛もない会話を交わす。そして遼が先に眠りに落ちた。
王輝は寝息を立てる遼を見つめる。そして「おやすみ」と遼の唇にキスをして、王輝も意識を手放した。
カーテンの隙間から、日の光が差し込む。ベッドで寄り添って眠る二人は、幸せそうに微笑んでいた。
〈終〉
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