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3-3.二人のこれから

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「今ヶ瀬、いいか?」
 遼が尋ねると、王輝は「名前で呼んで」と拗ねた表情を見せた。可愛いと思いながら、遼は言い直す。
「王輝、いいか?」
「うん」
「その…、ゴムなしでも、本当にいいのか?」
 遼は王輝に確認した。恋人になったのだから、今度セックスをするときはゴムなしでという約束を王輝と交わしていたからだ。王輝は遼の気遣いを嬉しく思いながら、煽るような言葉を返す。
「いいよ。生で恋人セックスしよ」
「っ、そんな言い方…」
 一気に顔を赤くした遼が可愛くて、王輝はにやりと笑った。今までいろいろなセックスをしてきたくせに、変なところで初心だと王輝は思った。
 遼は心を落ち着けるために、ふーっと息を吐く。そして、王輝の後孔に自身の先端を宛がった。ごくりと唾を飲みこんだ遼は、ゆっくりと腰を進めた。
「あっ、入って…っ…」
 遼の熱い肉棒が王輝の中へ侵入した。ゴムなしでの粘膜同士の接触が想像以上に熱く、淫らで、王輝はとてつもなく興奮した。それは遼も一緒で、薄いゴムがないだけで、これほどまでに感触が違うのかと感動すら覚えていた。生々しい感触に、遼は思わず息を詰めた。王輝の中はぎゅっと締まり、遼自身を搾り取るように蠢く。
「王輝、力抜いて…」
「むりっ、だって…熱っ…」
 王輝は浅い呼吸を繰り返し、快感の波を発散させようとするが、うまくいかない。久しぶりの挿入、そして粘膜が直に触れ合う感覚に、身体の中で熱が渦巻いた。遼は王輝の身体を気遣いながら、狭い中をこじ開けるように自身を埋め込み、最後はぐっと突き入れた。いつもより熱くてきつい中に、遼はすぐにでも腰を動かしたい衝動を抑える。遼は王輝の額にキスを落とし、尋ねた。
「王輝、大丈夫?」
「うんっ、大丈夫だから…、早く欲しい、動いて」
 王輝は両足を遼の腰に絡みつけ、誘うように腰を揺らした。妖艶な表情を見せる王輝に、遼は抗えるわけがなかった。
「あんまり煽るなよ」
 遼はゆっくりと腰を動かし始める。王輝は遼自身が出ていく感覚に身体を震えさせ、次に勢いよく突き入れられて背中を反らせた。待ちわびた快楽を全身で享受する。
「っあ、…いい、りょうっ」
 可愛げに声を漏らす王輝に、遼は愛おしさが湧きあがる。遼は逆手でシーツを掴んでいた王輝の手を絡めとると、恋人繋ぎをした。熱い手のひらが触れ合い、密着する。遼が王輝のいいところを狙って突くと、きゅうっと中が締まった。遼は夢中で腰を動かす。
「んっ、あっ、あ、っああ」
「はっ、王輝…」
「だめっ、あ、っイく、っああぁ」
 王輝は繋いだ手を強く握って、絶頂を迎えた。王輝の腹に白濁が飛び散る。遼は止まることなく、抽挿を繰り返す。
「りょ、う、待ってっ、あっ」
 射精直後の敏感な状態で中を穿たれ、王輝は目を見開く。与えられる感覚に、王輝の身体はびくびくと震えた。遼は快感に導かれるように、猛然と腰を打ちつける。精液がせりあがってくる感覚に、遼はふるりと身震いする。このまま王輝の中に出してしまいたいという欲望と、王輝に負担をかけることはできないという自制心が、遼の思考で葛藤する。
「あっ、きもち、…いっ、あっ」
「王輝、俺、っ、もう…」
「っ、出して、中に、欲しっ…」
 王輝は切なげな声で遼にねだった。快楽に浮かされてではなく、遼にならと本心から思ったのだった。予期せぬ王輝の言葉に、遼は嬉しく感じる。王輝が欲しがっても断るべきだとわかってはいたが、もう我慢できなかった。
「ごめん、王輝、中に出したい」
「いい…、からっ、あ、出してっ」
 遼は腰の動きを速める。快感の波に流され、王輝の口からはひっきりなしに嬌声が溢れる。絡み合わせた手を王輝がぎゅっと握ると、遼も握り返した。幸せそうに目を細めた王輝の額に、遼はキスを落としながら、腰を打ちつけた。
「あ、遼っ、…あ、あ、いいっ」
「俺も、気持ちいい」
「あっ、また、あっ、イく…、っ…」
「一緒に、な?」
 王輝はうんうんと一生懸命に頷く。その可愛らしい仕草に、遼は自然と頬が緩んだ。
 王輝は中を意識的に締め付ける。より一層中に遼の存在を感じ、王輝は幸福感で胸が満たされた。
「イくっ、っんぁ、ああっ」
 王輝は身体をびくんっと撓らせて、射精する。同時に、遼も絶頂を迎え、最奥に精液を吐き出した。腹の中に感じる熱さに、王輝は中出しされたことを実感する。王輝は目を閉じて、ずっと欲しかった熱さに浸った。
 遼は射精の余韻に浸りながら、ゆるゆると腰を動かし、中に白濁を全て吐き出す。最奥へ塗りこめるように、ぐっ、ぐっと腰を押しつけた。マーキングのような遼の動きに、王輝は妙に興奮し、小さく喘いだ。
 二人は熱い息を吐いて、見つめ合う。恋人になって初めてのセックスに、蕩けるような幸せを感じていた。
「王輝、好きだ」
 遼は王輝に口づけし、優しく囁いた。王輝は応えるように口づけを返し「俺も、遼が好き」とはにかんだ。
 余韻に浸りながら、キスをしていた二人だが、身体の熱はおさまらない。王輝は熱い視線を遼に投げる。それに気づいた遼は、にやりと口角をあげた。
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