お隣さんはセックスフレンド

えつこ

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2-5.何も考えられないくらい

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「佐季っ、早く、佐季のがほしっ…」
 王輝の切なげな声が、遼の耳朶を打つ。王輝は肢体をベッドに預け、快感に悶えていた。
 王輝の手首は手錠で拘束され、綺麗な瞳はアイマスクで隠されている。王輝自身は勃起したまま寂し気に震え、薄く筋肉がついた腹には自身の精液が飛び散った跡。そして王輝の後孔にはバイブが突っこまれ、ゆらゆらと腰を揺らしていた。
 あまりにも刺激的な光景に、遼はごくりと唾を飲みこむ。遼自身は完全に勃ちあがって痛いほどだった。ベッドの上には、先ほどまで王輝の乳首を刺激していた小さなローターが転がっていた。
 どうしてこうなったのかは、時間が遡る。


 遼と王輝は一緒のタクシーで帰ってきた。漠は撮影が終わると早々に帰ったため、今日は後部座席に二人が並んで座る。二人の間には、遼がもらった大きな花束が置かれ、車内は花の香りで満たされていた。
 先ほどまで二人は差しさわりのない会話をしていたが、すぐに沈黙がおとずれた。帰ったらセックスをすると思うと、どこかそわそわとして落ち着かない二人だった。
 マンションに着き、部屋の前まで来ると、王輝は「今日は俺の部屋で」とだけ言い残し、部屋の中へと姿を消した。遼は自分の部屋に帰り、はやる気持ちを抑えつつ風呂を済ませた。腹が減っていたが食事をする気分ではなかった。
 久しぶりのセックスに、緊張しながらも王輝の部屋を訪ねる。上下をスウェットに身を包んだ王輝はリビングにいて、段ボール箱を持っていた。
「何それ?」
 遼が尋ねると、王輝はにやりと笑った。何か企んでいる笑いだと遼は感じたのは正解で、王輝は箱の中の怪しげなグッズを遼に見せた。中には手錠やローター、バイブ、エネマグラなどのグッズが入っていた。
「今日はこれ使ってやらない?」
 毎日撮影が続く中、同年代の役者が多く、またここ数日の漠の行動のせいで、王輝のストレスは限界だった。普通のセックスもいいが、たまには遊びたいとおもちゃを出してきたのだ。
 遼は眉根を寄せ、見慣れないものに拒否感と抵抗感を示した。王輝にとっては予想通りの反応だったが、諦めるわけにはいかない。
「痛くして欲しいとかじゃないから」
「でも」
「佐季は使ったことないだろうけど、ちゃんと使えば気持ちいいんだって」
 以前王輝がバイブで自慰をした話は聞いていた遼は返す言葉がなかった。使っている王輝が言うのだから、気持ちいいのだろう。王輝は遼に近づき、耳元で蠱惑的に囁いた。
「これ使って、何も考えられないくらい気持ちよくしてよ」
 グロテスクな見た目のおもちゃたちで乱れる王輝が脳裏に浮かび、遼の身体を興奮がぞくりと駆け抜ける。追い打ちをかけるように王輝は「だめ?」と首を傾げる。うまく乗せられているとわかっているのに、遼は観念して性欲に正直になる。それにここまでくれば王輝が折れないので、遼は「わかった」と返事をした。
 二人は寝室に移動し、セミダブルのベッドにあがる。王輝は段ボール箱をベッド脇に置き、そこからいくつかおもちゃを取り出した。手錠、ローター、バイブくらいなら遼は使ってくれるはずだ。王輝は使いやすいものをベッドに並べた。
「他にも使いたかったら使っていいよ」
 遼は戸惑いつつ、手錠を手にとった。手首に触れる部分はファーで覆われて、皮膚に跡がつかないようになっていた。王輝は上半身のスウェットを手早く脱ぎ、遼に手を差し出す。細い手首におずおずと手錠をかける。かちりと鍵がかかった音がして、王輝の両手は拘束された。
「ごめん、やっぱり外す」
 手錠をかけられた王輝の姿があまりにも刺激的で、遼は慌てた。しかし王輝は腕を引き、手錠を隠すようにする。
「だめ」
 楽し気に微笑んだ王輝は、遼の首に腕をかけた。王輝が腕を引き付けると、遼の身体はベッドへと倒れこむ。自然と遼が王輝を押し倒す体勢になった。手錠のチェーンが揺れ、かちゃりと金属音が鳴る。王輝は遼を引き寄せ、唇を重ねた。二人の体温は否応なくあがる。最初は触れていただけのキスだったが、徐々に口づけが深くなっていく。唇が離れたときには、王輝の表情は蕩け、遼の瞳は情欲をまとっていた。
 遼は王輝の腕の拘束から抜けだすと、ベッド脇の箱へと手を伸ばす。取り出したのは、目隠し用のアイマスクだった。
「こういうの好きなんだ」
 遼が乗り気になったことがおもしろく、そして目隠しを選ぶという意外さに、王輝の言葉には笑いが混じる。遼が王輝にアイマスクをさせると、王輝の綺麗な瞳がアイマスクで隠れた。
「きつくない?」
 遼に優しく尋ねられ、王輝は「大丈夫」と返す。アイマスクなので光が幾分か入ってきて、完全に真っ暗にはならない。見えないというだけで怖さはあった。王輝は遼の気配を探ろうとしたが、わかるはずはなく、緊張感で心臓はドキドキと脈打っていた。
 
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