上 下
46 / 116
2-1.好きにして

6 *

しおりを挟む
 体勢を入れ替え、再び遼が王輝を押し倒す。名残惜しいが一度王輝の中から抜き、精液が入ったゴムを外した。セフレである限りコンドームはつけるのが決まりで面倒に感じるものの、一旦冷静になる時間が取れるので、たかが外れるのを防止している面もあった。遼は滾ったままの自身に新しいゴムに付けかえる。
 遼の挿入を待つように、王輝の後ろはくぱくぱと口を開けたままだ。そこへ先端を宛がい、遼は再度挿入した。王輝の内壁は遼を迎え入れるように蠢き、遼自身をどんどん奥へと誘う。王輝は身じろぎながら、遼のものを全て受け入れた。ぎちぎちに満たされた中に満足するも、奥がきゅぅんと疼く。
「佐季、もっと、奥欲し…っ…」
 王輝の視線は、官能的に熱い。遼に断る理由はなく、さらに我慢の限界だった。ゆっくりセックスをする余裕はどこかへ消えてしまい、欲望が湧きあがってくる。腰を大きく引き、勢いよく自身を奥へ叩き込んだ。
「…っあ、……はっ…」
 突然の衝撃に、王輝は息を詰まらせた。遼は腰の動きを止めずに、連続的に中を突き上げる。寂し気に揺れる王輝自身への刺激も忘れない。先走りでぬめった王輝のものを上下に扱くと、内壁がぎゅうっと収縮する。
「あっ、きもち、いいっ…佐季っ、だめ、イくっ…」
 王輝はびくびくと震わせ、遼の手の中に精液を吐き出した。射精後の脱力感に浸っている王輝を休ませる間もなく、遼は律動を続けた。
「まって、っあ、あ、イってる…からぁ…!」
 快感の波に晒され、王輝は嬌声を上げ続ける。王輝の後ろは貪欲に遼自身を飲みこみ、中の熱さに遼の腰は蕩けそうだった。もっと深く繋がりたいと、遼は王輝の片足を肩に担ぎ上げ、勢いよく肉棒を突き入れた。
 角度が変わり、先ほどとは違う場所を穿たれ、さらに快感が生まれる。王輝は本能のまま遼を求めた。
「そこ、いいっ、っもっと…、あっ、ほしっ…」
「ここ?」
「うん、そこぉ…あっ、ふかい、んぁっ、あ」
 遼は王輝の言ういいところを重点的に突くと、びくびくと王輝は身体を跳ねさせた。軽く中イキしたようで、中がぐねぐねと締まり、遼は精液がせりあがってくる感覚に襲われる。
「今ヶ瀬、俺、イきそっ…」
「俺もっ、あっ、んんっ、あ、あっ」
 遼は突き入れるスピードを上げ、王輝自身を扱く。前立腺を押しつぶしたり、最奥をがつがつと突いたり、絶頂を目指すように、腰を打ちつけた。
 前と後ろの両方の刺激で、王輝は目の前がちかちかとスパークする。与えられる刺激が強く、呼吸が追い付かない。遼の突き上げに身を委ね、揺さぶられるままに甘く鳴いた。
「あぁっ、あ…おくっ、いい、あっ、あっ」
「っ、今ヶ瀬…」
 遼は王輝に口づける。下半身への激しい行為とは真逆の優しいキスで、王輝はその落差に思考も身体も蕩ける。遼は唇を離し、ラストスパートと言わんばかりに、王輝の中を蹂躙した。
「っはぁ、あ、あっ、っ…佐季っ…」
 王輝に切なげな声で名前を呼ばれ、潤んだ瞳で見つめられ、遼はどきっと胸が高鳴る。可愛いとは違う感情に戸惑ったのは一瞬で、絶頂へと一気に駆けあげる。
「あっ、いいっ…っあ、イく…ぁああっ!」
 王輝は一際甲高い声を上げ、勢いよく射精した。同時に後ろでも達し、頭の中が真っ白になる。うねる王輝の肉壁をかき分け、遼は最奥を突き上げ、ゴムの中へと射精した。
 力尽きた二人は、ベッドに仰向けに寝転んだ。
 王輝は乱れた息を整えるために、呼吸を繰り返す。その呼吸を奪うように遼がキスをしてきたので、王輝は眉根をしかめたが、口内への愛撫ですぐにとろんと瞳を蕩けさせた。今日のセックスはキスばっかりしていたと思い返しながら、自らの舌を遼の舌に絡める。唾液が顎を伝って零れるのも気にせず、遼の唇や舌を貪った。
 もともと王輝はキスをするのが好きだ。そして、遼とするキスはもっと好きだ。それは、遼のことが……。浮かび上がった感情を王輝はすぐにシャットダウンした。
「っ、…佐季、苦しいって」
 頭を過った考えを押しのけるように、遼の胸板を押し返す。遼はしゅんと項垂れ「ごめん」と謝った。
 王輝は「シャワー浴びてくる」と重い体を無理矢理ベッドから引き離した。セフレ関係には不要な感情をシャワーで全て流してしまいたかったし、今は遼と物理的に離れたかった。そうしないと、快楽に流された自分が何を口走るかわからなかったからだ。甘やかされたセックスで、そういう気分になっているだけだと自分に言い聞かせた。
 遼は寝室を出ていく王輝をただ見送るしかできなかった。ふらふらとした足取りで不安になったが、王輝の背は来るなと言っているように見えた。淫靡な残り香に包まれて、遼は胸の高鳴りを思い出す。あの感情は何だろう。昔飼っていた犬に対する愛おしさに近いが、当てはまらない感情に、遼は歯がゆさを感じた。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

処理中です...