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2-1.好きにして
5 *
しおりを挟む遼は王輝が落ち着くまで、腰を動かさずに待った。王輝の頬は上気して、心地よさに目を細め、小さく開いた口から赤い舌が見え隠れした。蠱惑的な表情に煽られるように、遼は自身に熱が集まるのを感じた。
「あっ…佐季のおっきく、なった……」
嬉しそうに言う王輝が可愛くてたまらなくなり、遼は口づけて、舌を口内へと入れ込む。王輝の上顎を舌で撫でたり舌を吸い上げたりしながら、ゆっくり腰を動かし始めた。
「んぅっ…、ふっ……んん」
王輝の嬌声は遼に飲みこまれた。キスをしたままで中を穿たれ、王輝は息苦しさと与えられる快楽で頭がぼんやりとしてくる。遼がそれに気づき、腰の動きを止め、唇を離した。唇を解放された王輝は大きく息を吸いこみ、胸を上下させた。
「ごめん、苦しかった?」
「大丈夫。キスしながらセックスするの好きだから」
もっととねだるように、王輝は遼の身体に抱き寄せ、今度は王輝からキスをする。楽しそうに目を細めた王輝は唾液で濡れた遼の唇を舐め、ちゅっと吸い上げる。
王輝に応えるように、遼は唇を重ね、舌を交わせる。併せて、止めていた腰の動きを再開し、王輝の中をゆっくりと味わうように穿った。先ほど達した王輝自身はすでに勃ちあがり、精液混じりの先走りをとろとろと吐き出していた。
キスを交わす音と結合部の音が淫らに重なる。王輝は口内に溜まる自身と遼の唾液が混ざったものをごくりと飲みこんだ。その行為に不思議と嫌悪感はなかった。それよりも、後孔を埋められる幸福感と感じる人肌の安心感に、心身ともに満たされた気分になっていた。
中が締め付けるように動きに変わり、遼は王輝がイキそうになるのを察する。遼が王輝自身を扱きながら、前立腺を何度も突き上げると、王輝はあっけなく達した。王輝の狭い中を突き上げ、遼はゴムの中で射精した。
ようやく唇が離れ、新鮮な酸素を取り込もうと、二人は大きく深呼吸をした。二人とも唇や口の周りは唾液で濡れそぼっている。遼は呼吸を整えながら王輝の中から自身を抜き、ゴムを付けかえる。
「今ヶ瀬、上に乗れる?」
脱力している王輝を抱き起した遼は、体勢を変える。今度は遼がベッドに寝転び、王輝が遼に跨る形の騎乗位になった。
王輝は膝立ちになり、固く反りあがった遼自身を後ろに宛がった。身体の力を抜くように息を吐き、腰を落とし昂りを飲みこんでいく。
「…っん、おくっ…ああっ」
腰を落としきった王輝が、足の力を抜くと自重でさらに奥へと遼自身が入りこんだ。中から遼の鼓動が伝わり、熱が全身に染み込んでいく。
「今ヶ瀬が気持ちいいように動いて」
王輝が落ち着いたのを見計らって、遼が声をかける。
王輝は中を遼自身に馴染ませるために、ゆっくりと前後に腰をくねらせた。意識的に中を締めると、遼が気持ち良さそうに息を吐き、どくんと遼自身が脈打つ。
次に、王輝は身体を少し後ろに反らせ、遼自身が抜けないくらいまで腰を上げた。ずるりと遼のものが抜けていく感覚すら気持ちよくて身震いする。勢いよく腰を下ろすと、奥に遼自身が突き当たり、快感が背筋を走りぬけた。王輝自身はこぷりと先走りを零す。王輝はいいところに当たるように調整して、何度も挿入を繰り返した。
「あっ、いい…、はっ、っああ…」
遼は片方の手で王輝の腰を支え、もう片方の手は王輝の手を取り、絡めるように繋いだ。遼の視界には王輝に自身が出たり入ったりするのが見え、視覚的に興奮が増していく。
「今ヶ瀬、気持ちいい?」
「うんっ、っ佐季、は…?」
「俺も気持ちいいよ」
遼の返答に王輝は嬉しそうに目を細めながら、腰を上下させる。王輝が腰を下ろすタイミングに合わせ、遼が腰を突き上げると、さらに奥を暴かれ、王輝は甘い嬌声を漏らした。
「っあぁ、おく、きもちいっ…あ、っ、あ…」
がつがつと揺さぶられるように突き上げられ、王輝の唇はだらしなく開いたままだ。赤い舌がちらりと見え、飲みこめなかった唾液が顎を伝う。突き上げに合わせて、王輝の性器はびたびたとの自身の腹を打ち、先走りを散らした。
ふと王輝と遼の視線が交わる。遼の瞳は情欲を含み、乱れるように腰を振る王輝の姿を視姦するようにじっと見つめた。王輝ははしたない姿を見られて、一気に顔が熱くなる。しかし、すぐに羞恥は快感に変わった。
「だめっ、あぁっ、見ないで…っあ…」
遼の視線に晒され、ぞわぞわと肌が粟立つ。見られたくないのに、見て欲しい気持ちもあり、王輝の思考は快感に溶けていく。もっと欲しいと無自覚に中を締めつけて、遼は射精感が高まる。
二人の肌がぶつかる音がぱん、ぱんとリズミカルに鳴る。先ほどまでは王輝が主導していたが、今は遼に主導権が移った。王輝は遼に突き上げられ、身体を震わせて喘ぐしかなかった。
「佐季っ、あっ…、いい、んっ…っはぁ…」
王輝の姿を見て、余裕がなくなってきた遼は突き上げのスピードを上げる。倒れそうになる王輝の身体を支えながら、奥へ突き入れる。
「いいっ、あ、だめっ、あ、あっ、イく…っ!」
遼が前立腺を突き上げた瞬間に、王輝は後ろで絶頂に達した。身体が反り、喉元が露わになる。王輝自身は射精せずに、ふるふると揺れたままだった。王輝の内壁に根本から先端までを搾り取るように包まれて、遼もゴムの中に白濁を吐き出した。
王輝は力が抜けて遼に倒れこむ。余韻に浸りながら、どちらからともなくキスをした。舌を絡ませ、お互いの口内を味わう。王輝は遼の腹に自身を押しつけ、刺激を求めて擦るように動く。遼は王輝の中に精液を塗りこむように、緩やかに後孔を押し上げた。二人とも身体の熱はおさまる気配はない。
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