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1-6.全部忘れさせて
5 *
しおりを挟むおねだりをされて、遼が断れるはずはなかった。遼は反りあがった王輝自身を扱きながら、腰を突き上げる。目の前に晒され王輝の胸の突起に吸い付き、舌で嬲り甘噛みすると中がきゅんと締まった。
「んあっ、あ…いいっ、あ、っあ…」
王輝の先端をぐちぐちと指で刺激し、血管が浮き出た竿を扱くスピードを上げる。王輝は口を半分開き、赤い舌を覗かせながら、喘ぎ声を上げ続けた。
「んんっ…きもち、いっ…あ、ああっ、…イく…」
王輝は背中を反らせて、身体を痙攣させながら達した。遼の手の中に勢いよく白濁を出す。ようやく射精できた快感に、安堵すら感じた。
うねる王輝の中を何度か突き上げた後、遼も達した。遼の汗が顎から滴り落ちた。
王輝の顎から首のラインが綺麗に反り、遼は浮き出た喉仏に噛みつくようにキスをした。そのまま舌を這わせ、唇にたどり着く。はくはくと息をする王輝の呼吸を奪い、口内へと舌を入れた。
二人はちゅ、ちゅっと絶頂の余韻に浸るようにキスをする。離れたくないと言うように、繋がったままお互い抱きしめあった。触れあった皮膚は汗ばんで熱い。
遼は三度も達しているのに、身体の熱が治まらず、困惑する。まだまだ王輝のことが欲しくてたまらない。遼はキスをしながら、王輝の身体を優しくベッドへ押し倒す。このまま腰を動かしてしまいたいのを何とか我慢して、自身を王輝から抜いた。
王輝はセックスが終わったと思い、身体を弛緩させて寝転がっていた。目を閉じて、荒い息を整えるために深呼吸を繰り返す。全身に疲労感が襲ってきて、これ以上動けない。しかし気配を感じ目を開くと、いつの間にか遼が覆いかぶさってきていた。遼の瞳はまだ欲情の炎が揺れ、肉食獣のように王輝を見下ろしていた。
ゴムを付けかえた遼は、王輝の膝裏に手を差し入れ、両方の膝を折り曲げさせた。王輝は後孔が丸見えになる姿勢にさせられる。王輝の後孔はくぱくぱと寂し気に口を開いていた。
遼は王輝の後孔へと自身を宛がった。普段なら王輝に確認を取るが、遼は欲望のままに、王輝の後孔を上から突き刺した。逃げる間がなかった王輝は、衝撃を最奥で受け止めた。
「っ、…っあ……」
王輝は目を見開き、息を詰まらせた。あまりの刺激に王輝の視界はちかちかと光るようにスパークした。涙が自然と溢れた。
「息しろ、今ヶ瀬」
遼に言われて、王輝は呼吸をしなければいけないことを思い出し、大きく息を吸って、肺を酸素で満たした。
本当に全部忘れさせるためにセックスをしている。王輝は変に真面目な遼が怖くなると同時に、限界の身体に与えられる快感の虜になっていた。
「今ヶ瀬、俺だけを見て、俺だけを感じろ」
遼はまっすぐに王輝を見つめる。そして王輝の腹のあたりを手のひらでぐっと押した。中に入っている遼自身の存在を改めて感じた王輝は、かぁっと顔が熱くなる。今自分が、他の誰でもない、遼とセックスしていることを自覚させられた。
王輝が頷くと、遼はふっと優しい表情で笑った。王輝の両手をからめとり、恋人繋ぎの様にして、ベッドへと縫い付けた。
遼が腰を上げると、ずるっと王輝の中から遼自身が出ていく。体勢のせいで、王輝からそれが見え、視覚的にも犯されていると自覚させられた。太くて熱い遼自身に、穿たれることを期待して、王輝自身からは先走りがこぷりと溢れる。
ぎりぎりまで抜いた遼は、勢いよく上から腰を叩きこんだ。
「あ…、あっ…あ…」
再びの衝撃に、王輝は後ろだけで達した。全身が電気が走ったように痙攣する。息をしなければと思うが、その間に腰を叩きこまれて、息ができない。意識が飛びそうになり、繋がった手を遼がぎゅっと握り、現実に引き戻された。
「っは…今ヶ瀬、中すごい…」
「あぁっ、…あ、んぁっ…あ、あっ…」
遼が腰を突き下ろすたびに王輝が嬌声を出す。絶頂に達し続ける王輝の中は、ぎゅうぎゅうと遼自身を締めつける。何度も中を穿つことに、遼は興奮が止まらない。前立腺を押しつぶすように腰を叩きこんだ。
「…あ、だめ、イってる…あ、あ、おかしく、っなる…」
与えられる快感に、王輝の頭の中は沸騰しそうに熱く、意識が霧散していく。ただ感じて達することしかできず、だらしなく口を開けて、喘ぎ続けた。乱れる王輝の姿に、遼は遠慮せずに腰の動きを速めていく。
「あ、あっ、いい…、おく、あたってっ、もっとぉ…」
王輝は悲鳴のような嬌声で鳴き、快感にぽろぽろと涙をこぼした。
遼が腰を叩きこむどちゅどちゅという重たい音が部屋に響き、セミダブルのベッドが揺れる。王輝自身は完勃ちして、びたびたと王輝の腹を打っていた。
遼は腰を引きすぎて、ずるんと自身が抜けてしまう。急な後孔の喪失感に、王輝は一息つくが、すぐに物足りなさを感じてしまう。遼はすぐには挿れず、後孔にキスをするように、先端をにちゅにちゅと出し入れした。
ぬるい刺激がじれったくて、王輝は目で訴えかける。遼はいじわるな笑みを浮かべるだけだ。普段は優しい遼だが、加虐的な一面をたまに見せることがあった。
王輝は子供の様に、いやいやと首を横に振った。じらされるのは耐えられなかった。
「それ、やだ…、入れて、中に欲しい……」
王輝は自らの足を遼の腰に回す。快感を前に完全に降伏した王輝は、早く突いてほしくて仕方がなかった。はしたないと思ったが、身体の熱が疼いて我慢できなかった。
遼は王輝のねだる姿を満足気に見つめた後、後孔に自身の昂りを宛がった。王輝は来る衝撃を期待して、ごくりと唾を飲む。遼は浅く息を吐いて、王輝へと思いっきり腰を叩きこんだ。
「ぁ……っああぁ……っ…」
がつんと最奥に突き入れられ、王輝は絶頂を迎える。背中を反らせた王輝は、薄い精液を散らし、自身の腹や胸を汚した。遼の腰に回した足は一瞬力が入り、遼をホールドしたが、すぐに力が抜けた。
遼は王輝の中で、先端から根本までをしゃぶられるように締められ、ゴムの中に射精した。白濁をだしきろうと、遼は二、三度腰を突き下ろす。繋がった場所が熱くて腰が溶けそうになった。
遼の汗がぱたぱたと王輝の胸板に落ちた。喉の渇きを潤すように、放心している王輝の頬に口づけ、涙を舐めとる。王輝はくすぐったそうに息を吐いた。
「ありがとう」
王輝はそう言って遼に口づけた。ふにゃりと幸せそうに笑った王輝は、目を閉じ意識を手放す。
遼は王輝の額に汗で貼りついた前髪を整え、額にキスを落とした。ありがとうと言われても、全部忘れられたわけではないだろう。遼は何もできない自分を不甲斐なく感じた。ライブの感想は明日聞こうと思い、もう一度王輝の額にキスをした。
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