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7.Halloween Night

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「パーティーは?楽しかった?」
「疲れた」
「写真の顔、死んでたもんな」
「ばれた?」
 幸世は苦笑いをし、麻琴はその顔に笑いを吹きだした。麻琴は改めて尋ねる。
「で、どうしたん?こんな時間に」
 幸世は一瞬考えた後、「実は……」と切り出した。麻琴の中で、先ほど感じていた不安が一瞬で大きくなる。しかし、それは思い過ごしであることが、すぐにわかる。
「これ着てセックスして欲しくて……」
 思わぬ言葉に、麻琴は「は?」と声が飛びだす。
「絶対、麻琴に似合うと思う」
 幸世は紙袋から服を取り出し、麻琴の前に広げた。それは警察官の制服をモチーフにした衣装で、薄いブルーのシャツと、黒いスカートだった。麻琴は話の展開についていけず、混乱する。
「ちょっと待って、え、セックスしに来たん?」
「うん。だめ?」
「だめちゃうけど……」
 幸世の目的がセックスであることがわかり、麻琴は身体の力が抜ける。例え即物的な欲望だとしても、幸世に求められることが嬉しく、麻琴は幸世に抱き着いた。幸世のがっしりとした身体と温かい体温に安心する。
「なに?麻琴、どうしたの?」
 突然の麻琴の行動に、幸世は驚く。しかし、すぐに麻琴を抱きしめ返し、その背中を撫でる。
「もしかして、寂しかった?」
「……べつに」
「甘えてる?」
「あほ」
「麻琴、可愛い」
 幸世は麻琴に顔をあげさせ、ちゅっとキスを落とした。麻琴は嬉しそうに頬を緩ませ、キスを返す。最初は触れるだけのキスだったが、徐々に深くなる。唇を貪るようなキスを繰り返し、二人の息は荒くなり、身体の熱は否応なく上がる。
「麻琴、いい?セックスしたい」
「ん、俺も、したい」
 熱情を孕んだ瞳で、お互い見つめ合う。幸世はそのままセックスへと流れ込もうとしたが、麻琴に「待って」と制止をかけられる。
「その前に、幸世、シャワー浴びて」
 麻琴はぴしゃりと言い放った。幸世は慌てて、匂いを確認するように、自分の身体を嗅いだ。すぐに麻琴の言った意味がわかる。
「幸世以外の匂いすんの、嫌やねん」
 ぽつりと言った麻琴に、幸世は思わずにやけてしまう。思わぬタイミングで感じられた恋人の独占欲に、幸世は嬉しくなった。
「わかった。シャワー浴びてくる」
「悪いな」
「いいよ、別に。その間に着替えておいてね」
 幸世に押しつけられた衣装を、麻琴は渋い顔で受け取った。



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