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7.Halloween Night
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しおりを挟む突発短編です。
すっかり過ぎてしまいましたが、ハロウィンにかこつけて、仮装で致しちゃう話。
「なにがハロウィンやねん」
土曜日の夜、麻琴は缶チューハイを飲みながら、ニュースを眺めていた。画面には、若者や浮かれた人たちが、仮装をして街で騒いでいる様子が映し出されている。人の多さに、麻琴は辟易していた。平日を働き終え、街に繰り出す元気は麻琴にはない。労働を終えた身体をいたわるために、麻琴は週末は基本的には引きこもっていた。榛のバーに飲みに行ってもいいが、店にたどり着く前に、人混みにもまれることは確実だ。
チューハイをぐいっと飲み干すと、麻琴はスマホを手に取った。幸世とのメッセージ画面を開き、先ほど送られてきた写真を見る。今日幸世はハロウィンパーティーと称して、大学の友達と飲み会をしている。幸世は仮装していないが、一緒に写っている友達たちは、流行りのマンガやゲームのキャラクター、ピエロやキョンシーなどの衣装を着ていた。男性だけでなく女性もいる。露出度の高い衣装を着ている女性が幸世の隣にて、麻琴はムッとした。
幸世がモテることは、麻琴はわかっていた。今は麻琴と付き合っているが、それもいつまで続くかはわからない。一緒にいる時は大丈夫だが、一人でいると不安がじわじわと麻琴に襲い掛かる。
「あほらし」
麻琴はスマホをベッドに置き、立ち上がった。冷蔵庫からもう一本缶チューハイを取り出し、テレビの前に戻る。缶を開けるとプシュッと音が鳴り、麻琴はぐっとチューハイをあおった。テレビのチャンネルをバラエティ番組に変え、スマホで適当なゲームアプリを開く。芸人が騒いでいる様子に、麻琴はけらけらと笑いながら、指先でアプリゲームに興じる。徐々に酔いが回ってきて、楽しい気分になってきたところで、チャイムが鳴った。
「誰やねん」
スマホに表示されている時間は21:30。来客の心当たりがなく、麻琴は無視をすることに決めた。しかし、再度チャイムが鳴らされる。無視するのもイラついて、大きなため息を吐きながら、麻琴は立ち上がった。大股で玄関まで行き、ドアの覗き穴で外を確認した。
「幸世?」
そこにいたのは幸世だった。慌てて麻琴はドアを開ける。麻琴は外気の冷たさに一瞬身震いしたが、火照った頬には心地よい冷たさだった。
「どうしたん?」
「麻琴、勝手に来てごめん」
「別にええけど、入りや」
麻琴は幸世を部屋の中へと招く。麻琴は部屋を簡単に片づけながら「なんか飲む?」と尋ねた。
「結構飲んできたから」
幸世は持っていた紙袋を床に置き、羽織っていたブルゾンを脱ぐ。麻琴はテレビ前に座り直し、幸世がその隣に座る。麻琴はタバコの匂いと香水の匂いを感じて、顔を顰めた。
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