流されノンケサラリーマンが年下大学生にとろとろにされる話

えつこ

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6.ろっかいめ

2 *

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「キヨの名前!」
「名前?」
「ちゃんと知りたい思て、本名何て言うん?」
 キヨはようやく質問の意味がわかり、大きく頷いた。そういえば、きちんと自己紹介をしていなかったことを思い出す。
「幸世、宮前幸世(みやまえ ゆきよ)」
「幸世やから、キヨやったんや」
 麻琴は合点がいき、妙な感動すら覚えた。
「これからは幸世って呼んだらええ?」
「ちょっと待って」
 キヨ、改め幸世が手のひらを麻琴に向け、ストップと示す。急な制止に、麻琴は首を傾げた。
「どうしたん?」
「今、麻琴に名前呼ばれて、キュンとしたから、余韻に浸ってる」
 反対の手で胸元を抑える幸世に、麻琴は笑いを吹きだした。
「なんやねん、それ」
「だって、キヨは偽名みたいなもんだし、好きな人に名前呼ばれたら嬉しくなっちゃう」
 幸世は恥ずかしそうに視線を泳がせた。頬が赤くなっているのは、酒のせいだけではないだろうと、麻琴はにやけてしまう。
「幸世、好きやで」
「ちょっと、麻琴、待ってよ」
 麻琴の攻撃に、幸世は怯む。
 体調を崩したとき以来に見せる弱った姿に、麻琴は思わず「可愛い」と零した。それを聞いた幸世は、きょとんとする。
「可愛い?」
「いや、いつも澄ましてる幸世が、そういう顔するん、可愛いなって」
「そう……?」
「だって、俺の方が年上やのに、幸世のほうが大人っぽいから。あと、風邪ひいたときに甘えてくるんも可愛かったわ」
 看病されたときのことを朧気に覚えていた幸世は「風邪ひいたら、誰だって甘えたくなるよ」と照れながらも反論する。
「でも、幸世に甘えられたら、何でも言うこと聞いてしまうわ」
 笑いながら冗談を言った麻琴だが、幸世は聞き逃さなかった。隣に坐る麻琴ににじり寄り、わざと甘えるように見つめた。
「ね、麻琴」
 チューハイを飲むために、缶に手を伸ばしていた麻琴は、動きを止める。幸世の視線に裏を感じながらも、言葉の続きを待つ。
「セックスしたい」
 幸世は率直なおねだりをした。そして、麻琴の腕に触れ、撫でるように手を移動させ、麻琴の頬に手を添える。麻琴の鼓動は一気に速くなり、缶に伸ばしていた手は、観念して下ろされる。あれほどセックスしたと言うのに、性器も後孔も疼くことに、麻琴は自分の身体ながら呆れてしまった。
「だめ?」
 幸世は甘えるように首を傾げた。その幸世の仕草に、麻琴はキュンとした。甘える相手なら、今まで何人もいただろうに、その相手が今は自分であることが、麻琴にとってはこそばゆく、嬉しく、幸せだった。惚れた弱みや惚気、幸福感、抗えない性欲が胸の中で混ざり、麻琴は降参するしかなかった。




 二人はベッドの上に移動する。移動と言っても、麻琴の部屋はワンルームなので、二人が座っていた場所のすぐ後ろにベッドはあった。テレビを消したため、部屋は一気に静まり返る。
 幸世と麻琴は向かい合い、キスを交わしつつ、服を脱いでいく。布擦れの音と二人の吐息が部屋に小さく響いた。二人とも残りは下着だけと言うところで、麻琴が「待って」と静止をかけた
「どうしたの?」
「電気消してくれへん?明るいの恥ずかしくて……」
 麻琴は視線を伏せた。ホテルでは適度に照明落とされているが、今は煌々と明かりがついている。全てが幸世に晒されてる気がして、麻琴は恥ずかしかった。
 麻琴の可愛らしい訴えに、幸世はふっと小さく笑った。今以上に恥ずかしいことをしてきたのに、変なところで初心だと幸世は感じていた。
「俺は麻琴の全部を見たいし、いろんな麻琴を知りたい」
「……幻滅せぇへん?」
「今さら?」
「だって……」
 しょぼくれる麻琴の顎を掬い上げた幸世は、そっと唇を重ねる。
「このまま続けていい?」
 またも幸世の甘える瞳に晒され、麻琴はたじろぐ。抵抗しても無駄なことはわかっていた。考えるだけ無駄だ、と麻琴は答えの代わりにキスを返す。セックスの続行を許された幸世は、にっこりと微笑み「ローションある?」と尋ねた。
 麻琴はベッドの下の収納ボックスからローションを取り出し、幸世に渡す。
 幸世は麻琴をベッドへと優しく押し倒した。麻琴自身を下着に上から優しく撫でる。すでに主張し始めている性器は先走りを溢れさせ、下着に染みを作っていた。


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