上 下
27 / 77
4.よんかいめ

9 *

しおりを挟む
「これで最後にするから」
「待って、ひぁっ……っあ……」
 キヨはぐんと腰を突き上げると、麻琴は反動でキヨに縋りつく。キヨは麻琴の腰を支えながら、麻琴自身を扱いた。ぱんぱんと皮膚同士が当たる音と、ぐちゅぐちゅと粘着質な水音が、麻琴を耳から犯す。
「あっ、いっしょ、あかんって、あ、んぁっ」
「イっておかないと、辛いでしょ」
「そ、やけど………、あ、イきすぎて、おかし、っ、なるっ……」
 先ほどから前も後ろも何度も絶頂を迎えている麻琴は、体力と気力の限界だった。麻琴の口は開いたままで、顎をよだれが伝う。思考は熱く蕩け、突き上げられるたび、視界はスパークした。
「あっ、おくっ、ちんこも、イくっ、イくからぁ」
「やば、ちんこ溶けそう」
「ああっ、もうむりっ、ひっ、あ、あっ」
 キヨは額に汗を滲ませ、抽挿を続ける。キヨの身体も悲鳴を上げていたが、最後の力を振り絞る。ぎゅうぎゅうと締め付ける肉壁を抉るように、腰を突き上げた。
「あっ、イく、んぁ、っ、あ、あああっ」
 麻琴は薄い精液を吐き出し、自分とキヨの腹を汚す。同時に後ろでも達し、身体をびくつかせながら、キヨにぎゅうっと抱き着いた。
「っ、ん……はぁっ……」
 キヨも絶頂を迎え、射精する。抱き着いてくる麻琴の身体を抱き返し、背中を優しく撫でた。
 二人は荒い息を吐きながら、ベッドに横たわる。キヨは麻琴から性器を抜いた。二人は見つめ合い、どちらからともなく触れるだけのキスをした。
「もう無理、動かれへん」
「俺も」
「映画の内容、全部忘れたわ」
「もう一回観に行く?」
「なんでやねん」
「ふふっ」
 麻琴の鋭いツッコミに、キヨは笑いをこぼす。麻琴は気が抜けて、朝食を食べて以降、何も食べずにセックスをしていたことを思い出し、空腹感を覚えた。
「お腹空いたわ。昼ご飯食べてそびれてるし、今何時?」
「何時だろ」
 ベッドサイドの時計は角度的に二人からは見えなかった。二人はすぐに諦め、ベッドへと身体を沈める。部屋には空調の音だけが静かに響いていた。
「もうちょっとこのままでいい?」
 キヨが麻琴にすり寄る。珍しく甘えてくるキヨに、麻琴はキュンとした。先ほどまで獰猛なセックスをしていたとは思えない。
「ええよ、おいで」
 麻琴はキヨを抱きしめ、よしよしとキヨの背中を撫でる。麻琴の温かさに包まれ、キヨはホッとして、目を瞑った。試験勉強の疲れもあるが、何より麻琴の傍にいることが心地よく、キヨは意識が遠くなるのを感じる。
「試験大変やったやろ」
「うん」
「お疲れさま。よう頑張ったな」
「うん」
「春休みやろ?羨ましいわ。ゆっくり休みや」
「バイト、あるから」
「何の?」
「カフェとか、いろいろ」
「カフェ?そんなん、めっちゃ似合うやん」
「う、ん……」
「キヨ?」
 返ってくるのは、キヨの寝息だけだった。麻琴は珍しいと思いながら、キヨの寝顔を見つめる。寝ていても整っているキヨの顔に腹が立ち、麻琴はふにふにとキヨの頬をつついたが、キヨは起きなかった。
 キヨの寝顔を見ていた麻琴だが、あくびがこみあげてくる。シャワーを浴びたかったが、睡魔のほうが勝り、麻琴も目を瞑った。



4.よんかいめ 終
次回、更新未定です。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...