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1.はじめて
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しおりを挟む麻琴は男性に手を引かれ、あれよあれよという間に、ラブホテルに移動した。酔っぱらってるし人肌恋しいし、と麻琴は自分に言い訳をするが、ホテルについたときには言い訳なんてどうでもよくなっていた。そして、何か起こるかわかっていたが、わかりたくなかったので、麻琴は全てに流されることに決めた。
ラブホらしい派手で安っぽい部屋の内装に、麻琴は思わず笑いがもれた。大きなベッドが部屋の中心にあり、麻琴が吸いこまれるように近づくと、男性に「先にシャワー浴びよう」と引き留められた。
二人で全裸になり、シャワーを浴びる。男性は脱いでもイケメンだった。白い肌に、適度についた筋肉、そして、男らしい性器。麻琴も自分自身にはそこそこ自信があるが、男性のほうが大きくて太かった。神様は不平等に人間を作ったようだ。男性に比べ、筋肉の欠片もない身体に、かっこよくも可愛くもない、そこらへんにいる顔に生まれた麻琴は、少し落ち込んだ。
風呂の途中で、男性がキヨと名乗った。麻琴が「高坂麻琴です」と自己紹介をすると、キヨはふふっと笑って「プライバシー考えなきゃ」と言った。一夜だけの関係なのに、馬鹿正直にフルネームを名乗ったのは間違いだったと麻琴は反省した。
「麻琴って呼んでもいい?」
「いいよ」
「あと、関西弁でしゃべって。可愛いから」
キヨは楽しそうに言った。イケメンに可愛いと言われると男でも照れる。麻琴は照れ隠しで、軽くキヨの肩を小突いた。
「二十四の男に可愛いはないやろ」
「あ、年上なんだ。俺二十一歳、大学生」
無邪気に笑ったキヨは、言われてみると確かにあどけなさが残る気もする。しかし雰囲気は大人っぽい。成人していることがわかって、麻琴は少し安心した。
「麻琴さんって呼んだほうがいい?」
「好きに呼んだら?俺は気にせぇへんし」
「うん。じゃあ麻琴って呼ぶ」
嬉しそうな表情を見せたキヨに、麻琴は不覚にもきゅんと胸が高鳴ってしまった。
シャンプーやボディーソープで泡にまみれた後、タオルでふき取るのもそこそこに、麻琴とキヨはベッドにもつれるように倒れこんだ。麻琴が下で、キヨが上になる。逆だと思ったが、気持ちよくしてくれるなら何でもいいと、麻琴はおとなしくしていた。
「麻琴、どうして欲しい?」
キヨは麻琴に顔を近づけ、囁く。唇が触れそうな距離に、イケメンの顔があり、麻琴の鼓動は否応にも高まる。麻琴自身は期待して、すでにゆるく勃ちあがっていた。それはキヨも一緒で、立派な男性器が主張している。
「気持ちよくして、好きにしていいから」
麻琴は自ら発した言葉を気持ち悪いと思ったが、キヨは気にしていないようで、頷いた後麻琴にキスをした。
今日初めて会った、名前しか知らない、その名前も偽物かもしれない男性とキスをしている。それなのに、嬉しくて、麻琴はもっとと求めるように、キヨの唇を舐めた。
「あんまり煽らないで」
キヨは麻琴の口内に舌を入れる。キヨの舌が生き物のように口内を這いずり回り、上顎を舐められ、麻琴は背筋がぞくりとした。麻琴からも精いっぱい舌を絡め、口内に溜まった二人分の唾液を飲みこむ。もっとキスして欲しかったが、キヨの唇は離れていってしまった。
「可愛い顔してる」
キヨはふふっと笑って、麻琴の額に軽くキスをした。王子様のような動作に、麻琴の顔は熱くなる。「可愛くないわ」という麻琴の反論の声は小さく、キヨの耳には届いていなかった。
上半身を起こしたキヨは、先走りで濡れた麻琴自身を両手で包んだ。亀頭を手のひらで撫で、竿を強弱をつけて扱かれ、麻琴自身はあっと言う間に完全に勃ちあがった。先ほどからの刺激も相まって、麻琴は射精したくてたまらない。
「腰動いてる」
「うっさい、っあ…ん…」
「声だして、聞きたい」
「いや」
「じゃあ止めちゃおっかな」
イキそうになっていたのに、キヨの手がさっと離れていく。放出されなかった熱が腹でぐるぐると溜まって、麻琴は頭がおかしくなりそうだった。
「なんで、やめんといて」
「声聞かせてくれるなら」
「だって、キモいやろ」
「全然、すごく可愛いよ」
さっきから何度も可愛いと言われ、麻琴は自分が可愛いと錯覚してくる。麻琴はもう完全にキヨに心を許していた。振られて傷心した麻琴の心の中に、キヨはすんなりと入り込んでいた。
「わかった、声出すから、早く触って」
麻琴はキヨの手首をつかみ、性器へと導く。射精寸前の肉棒がかわいそうに揺れていた。キヨは綺麗な顔で、にっと微笑み、麻琴自身への刺激を再開した。
「あっ、っ、んっ…」
「声、我慢しないで」
「あ、いいっ、きもちいいっ」
キヨに促され、声を出すと、快感が増す気がした。羞恥はあるが、快感のほうが勝り、麻琴はたかが外れたように、声を漏らした。
「きもち、いい…、っ、もっと、強くしてっ」
麻琴の言葉通り、キヨは竿を強く扱いてくれる。気持ちいい。もっとして欲しい。頭の中が熱くなって、麻琴はもう何も考えられなかった。
「先っぽ好き?」
「うん、好き、ああっ」
「どこが気持ちいい?」
「ちんこの先、ぐりぐりってして」
「こう?」
キヨが亀頭を指の腹でぐりぐりと刺激すると、麻琴は我慢できなかった。
「気持ちっ、いい、イく、あっ、あ」
「麻琴、イッて、イくときの可愛い顔、見ててあげる」
「あかん、あっ、イく…、イくっ」
キヨは追い打ちをかけるように、竿を扱き、亀頭を重点的に捏ねた。キヨに見つめられながら、麻琴は勢いよく射精する。麻琴の腹に、勢いよく精液が飛び散った。放心している麻琴の頬に、キヨは「可愛い」と言いながらキスを落とす。左目の目尻にある黒子が、麻琴の可愛さに色気を添えている。
一度射精した麻琴自身はすぐに硬度を取り戻す。まだ足りないと麻琴はキヨを見つめると、キヨは楽し気に笑った。
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