はきだめで歌うラブソングを君に

えつこ

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3.これから先の話をしよう

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「っ、おとさん、んんっ、んぅ」
 音さんの舌が、俺の口内を這い回る。上顎や頬、歯列を撫でられ、ぞくぞくっと快感が走った。その快感は下半身に響き、無意識に中をきゅうと締め付けてしまう。キスの息苦しさに逃げようとするが、後頭部は音さんの手で押さえられていた。もう片方の手は、俺の性器や腰、太ももなど、全身を這う。熱い手の平はじわりと汗ばんでいて、俺の汗ばんた肌に吸いつくようだ。
 俺と音さんは対面座位でセックスしていた。自重でより深く入っている状態で、音さんの性器が俺の腹をみっちりと満たす。音さんは突き上げるのではなく、揺らしたり、捏ねるように、ゆっくりと腰を動かす。そのせいで、じわじわと気持ちよさが募っていき、俺の頭の中はずっと蕩けていた。先ほどまでの早急なセックスとは違い、愛されていると実感する。音さんと繋がっていることが、幸せだった。ただ触れ合って、そばにいて、名前を呼ばれるだけで、嬉しくて胸がいっぱいになる。
 ようやく唇が離れると、唾液の糸がつーっと伸びて、すぐに切れた。いつの間にか音さんの腰の動きは止まっていた。俺が大きく深呼吸していると、音さんが俺の口の周りを手で拭ってくれる。そして、両手で頬を包まれ、額や頬、瞼に優しくキスを落とされた。何度もキスされてくすぐったささえ覚える。
「ハルタ、好き。可愛い。お願いだから、もう俺から離れないでくれ」
 音さんの切実な言葉と切なげな視線に、俺は胸がきゅうとなる。音さん相手だと全てを許してしまう。それは俺の悪い癖だとわかっていたが、惚れてしまったのだから仕方ない。
「音さんこそ、俺のこと、離さないでくださいね」
「もちろん」
 音さんは嬉しそうに微笑んで、俺の片手を持ち上げ、手の甲にキスを落とした。まるで王子様のような所作に、俺は気恥ずかしくなる。かっこいい音さんだからこそ、様になると思った。音さんはそのまま指を絡めるようにして、俺と手を繋ぐ。もう片方の手は、俺の胸へと移動した。音さんの指が俺の乳首を撫でると、じわりと熱が灯る。元々は乳首で感じることはなかったが、セックスの度に音さんに開発された結果、すっかり感じるようになってしまった。
「っ、ん……、あっ……」
 乳首を弄られていると、音さんが腰の動きを再開する。先ほどと同じように、腰を押しつけて、捏ねるような動きに、俺はまた快感にじわじわと攻められる。
「おとさんっ、あ、っ……、きもちいい……」
「ハルタ、顔がとろんってなってて可愛い」
 音さんはそう言って、俺に口付ける。そして、音さんの唇が、頬から首筋、鎖骨へと降りていく。ちゅ、ちゅ、と音を立ててキスをされ、俺は身を捩った。キスの柔らかな感触とは対照的に、乳首は強く摘ままれ、指でぴんっと弾かれる。その快感は下半身に響き、俺自身から先走りがとろとろと溢れた。
「乳首触ると、中締まる」
「っあ、言わないで、ください……」
「こっち側は、寂しそうにしてるけど?」
 にやりと口角を上げた音さんは、指で弄っている乳首とは反対側の乳首を口に含んだ。舌の先でつんつんと突かれ、じゅっと吸われると腰が揺れてしまい、音さんと繋いだ手に力が入る。
「ひぁっ、ちくび、あっ、やだ、ああっ」
「やめる?」
「っ、あ、ちがっ……、やだ、もっとしてっ」
「可愛すぎるよ、ハルタ」
 音さんは困ったように笑った後、俺に見せつけるようにゆっくりと乳首を舐め上げた。音さんの赤い舌が妖艶で、俺はぞくりとする。


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