28 / 36
3.これから先の話をしよう
9 *
しおりを挟む新城さんに囃されるようにライブハウスを後にして、俺と音さんは近くのラブホテルに駆け込んだ。
気が急くあまり、いかにもラブホテルのような、部屋全体がピンク色の部屋を選んでしまったが、気にしている余裕はなかった。シャワーを浴びるのもそこそこに、髪も身体も濡れたまま、全裸でベッドに倒れこむ。
「ハルタ、もう我慢できない」
「音さん、俺もです」
そこからはお互い求め合うまま、キスをして、触れ合って、交わって一つになって、溶け合うように過ごした。
久しぶりのセックスで、音さんのものを受け入れられるか心配はあったが、杞憂だった。と言うよりは、音さんとセックスしてからは、性器だけでオナニーすることに満足できなかったこともあり、たまに後孔を使用していたのが功を奏した。
しかし、自分の指やディルドよりも、音さんの性器の方が遥かに気持ちいい。腹の中から体温や鼓動が伝わってきて、俺はどうしようもなく嬉しくなった。
「あ、おと、さんっ、あぁっ、きもちいい」
俺は音さんに覆い被さられ、正常位で挿れられていた。音さんが腰を打ち付けると、濡れたままの音さんの髪から、ぽたりと水滴が落ちる。音さんの額には、汗が光る。冷房はついているはずだが、暑さのほうが勝った。
「大丈夫?痛くない?」
「だい、じょうぶ、あ、ですっ」
音さんは俺の返事を聞いて、優しく微笑む。結合部は熱いが、痛みはない。音さん自身は、すでに俺の中に馴染んでいる。抽挿を繰り返すたびに、ぐちゅぐちゅと水音が鳴った。オナニーするのとは違い、音さんは俺の気持ちいいところを無遠慮に突いてくる。前立腺をごりごりと圧し潰され、奥の壁をとんとんとノックされる。その繰り返しに、俺は軽く中イキしている状態が続いていた。
「おとさっ、俺、イッて、あぁっ」
「ハルタ、可愛い、中ずっと締まってる」
そう言いながら、音さんは俺の身体を弄る。大きな手のひらが肌に触れると、じわりと熱が灯る。胸や腰、足を撫でられ、身体のいろんなところが熱くなった。音さんから与えられる全てが気持ちよく、快感に変換される。
「もう、だめっ、イく、あ、あっ」
「ハルタ、イって」
「っあ、おとさんっ、あぁ、あ、イく、あっ、イく、あああぁっ」
がつんっと奥を突かれた瞬間、全身に快感が走った。視界がちかちかと瞬き、音が遠くなる。頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。
しばらく絶頂を漂っていたが、ようやく意識が戻ってくる。いつの間にか俺自身は射精して、腹は自分の精液で汚れていた。音さんは腰を引いて、性器からゴムを外すところで、音さんも達したのだとわかった。精液が入ったゴムを音さんはベッド脇のゴミ箱に捨てる。
「ハルタ」
俺の視線に気づいた音さんは、俺の頬に手を伸ばす。頬を優しく撫でた後、キスをくれた。口内に入ってきた音さんの舌に、舌を絡ませ、一生懸命にキスに応える。息苦しさを感じ始めた頃、唇はゆっくりと解放された。唾液が俺たちの間に糸になって、すぐに切れた。
「ハルタ、好き」
音さんの少し掠れた声が鼓膜を揺らす。想いを告げられて、俺は幸せで胸がいっぱいになった。
「俺も、音さんのこと、好きです」
俺の告白に、音さんは優しく微笑み返した。どちらからともなく、唇を重ねた。音さんの手が俺の身体を這う。俺の身体の熱は再び昂って、セックスの続行をせがむために、音さんに抱き着いた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
緋色の蝶々
hamapito
BL
殺虫剤を持ち歩くほどの虫嫌いである大学生の緋色(ひいろ)は、駅でのケガをきっかけに、昆虫写真家の中谷(なかたに)と同居することに。
大事な人を探すための休暇中だという中谷は苦手な野菜をすすめ、侵入してきた虫を追い出すどころか嬉しそうに追い回す始末。それなのに求められることに弱い緋色は中谷とキスしてしまい――⁉
※2025.3.23J.GARDEN57にて同人誌として頒布予定(書き下ろしあります)
天使の居場所
すずかけあおい
BL
「お腹空いた」
アルバイト帰りの伊央が深夜の道で出会ったのは、お腹を空かせた天使だった。
ずいぶん俗っぽい天使だな、と思いながらも自宅に連れ帰ると、天使は「お礼」と称して伊央を押し倒し――。
※ファンタジーではありません。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

龍神様は大事な宝玉を昔無くしたらしい。その大事な宝玉、オートマタの俺の心臓なんですけど!?
ミクリ21 (新)
BL
オートマタの俺は、普通の人間みたいに考えたり喋ったり動く。
そんな俺の心臓はとある宝玉だ。
ある日、龍神様が大事な宝玉を昔無くしたから探しているとやってきた。
……俺の心臓がその宝玉だけど、返す=俺終了のお知らせなので返せません!!

Re:asu-リアス-
元森
BL
好きな人はいつの間にか手の届かない海外のスターになっていた―――。
英語が得意な高校2年生瀬谷樹(せや いつき)は、幼馴染を想いながら平凡に生きてきた。
だが、ある日一本の電話により、それは消え去っていく。その相手は幼い頃からの想い人である
人気海外バンドRe:asu・ボーカルの幼馴染の五十嵐明日(いがらし あす)からだった。そして日本に帰ってくる初めてのライブに招待されて…?
会うたびに距離が近くなっていく二人だが、徐々にそれはおかしくなっていき…。
甘えん坊美形海外ボーカリスト×英語が得意な平凡高校生
※執着攻・ヤンデレ要素が強めの作品です。シリアス気味。攻めが受けに肉体的・精神的に追い詰める描写・性描写が多い&強いなのでご注意ください。
この作品はサイト(http://momimomi777.web.fc2.com/index.html)にも掲載しており、さらに加筆修正を加えたものとなります。
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる