13 / 36
2.楽しかった昔の話を少し
3 *
しおりを挟むラブホテルから音さんの家までタクシーで移動した。タクシーの中では会話はなく、今から音さんの部屋に行くことは、そういうことだとわかっていた。逃げられるタイミングはあったけど、俺は逃げなかった。窓からは、冬の重い空が見えた。
タクシーが着いたのはマンションで、俺は音さんについていく。二人ともずっと無言だった。そして、部屋に入るやいなや、音さんに抱き寄せられ、キスをされた。そのままもつれるように移動して、気づけばベッドに押し倒されていた。シーツや布団からは音さんの匂いがした。ラブホテルの無機質な匂いとは違い、それにすら興奮してしまう。
「ずっと欲しそうな顔してた」
指摘され、俺は恥ずかしくなる。そういう表情をしているつもりはなかった。音さんにキスをされながら、性急に服を脱がされる。あっという間に全裸になり、すでに勃ちあがっている俺自身が明らかになった。部屋に暖房は入っておらず、寒さにふるりと震えた。
「すぐ暑くなるよ」
いつの間にか下着姿になっていた音さんは、ふふっと笑った。音さんの性器も俺と同じように下着を押し上げてるのが視界に入った。俺で興奮してくれているのかもしれない。
「ハルタ、足開いて」
音さんに言われ、俺は素直に従った。恥ずかしさはあるが、この先の行為に期待していた。昨夜にも同じやり取りがされたのかもしれないが、俺の記憶はない。音さんはローションを取り出し、それを手に取った。
「指挿れるよ」
その言葉を合図に、音さんの指が俺の後孔には入ってきた。俺はどうすればいいかわからず、とりあえず深呼吸を繰り返す。違和感を感じると思ったが、そんなことはない。むしろ細い指が出入りするのが、物足りないくらいだった。
「中、まだ柔らかい」
「っ、……はぁ……」
「痛くない?」
「大丈夫、です」
音さんは俺の返事を聞き、「指増やすけど、痛かったら言って」と声をかけてくれる。その優しさがなんだかおかしくて、俺は笑いを吹き出してしまう。
「どうかした?」
「いや、なんか優しくて、意外だと思って」
「なにそれ」
「乱暴にされるかと思ってたので」
俺の言葉に、音さんは顔を顰めた。
「やっぱりそう見える?今までも結構言われたことあって……」
今まで、と言う単語に、俺は胸の辺りがちくりとなった。過去に音さんに相手がいることなんて、明白だ。
「ごめん、そんな顔しないで。これからは、ハルタだけだから」
音さんは優しく俺の額にキスをしてくれた。どうせ一晩だけの相手なのに、音さんの気遣いが嬉しかった。こんなに優しくされると、もう後戻りできない気がした。
「じゃあ、ハルタの希望通り、乱暴にしようか」
にやりと笑った音さんは、下着を脱ぐ。現れた音さんの性器は太くてグロテスクだった。驚きと同時に、じわりと腹の奥が疼いてしまう。俺の身体はすっかり期待していた。音さんは慣れた手つきでゴムつけ、俺の後孔に性器をあてがった。触れ合ったところが、火傷しそうな程熱く、思わず息を飲む。
「っ……、音さん、待って」
「待たない」
「っあ、……はぁっ……」
指とは比べ物にならない質量の性器に、俺は深呼吸を繰り返す。徐々に音さんのものが入ってくる。絶対に無理だと思ったのに、俺の身体は学習能力が高いらしい。腹の中の圧迫感が徐々に増していく。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
天使の居場所
すずかけあおい
BL
「お腹空いた」
アルバイト帰りの伊央が深夜の道で出会ったのは、お腹を空かせた天使だった。
ずいぶん俗っぽい天使だな、と思いながらも自宅に連れ帰ると、天使は「お礼」と称して伊央を押し倒し――。
※ファンタジーではありません。

Re:asu-リアス-
元森
BL
好きな人はいつの間にか手の届かない海外のスターになっていた―――。
英語が得意な高校2年生瀬谷樹(せや いつき)は、幼馴染を想いながら平凡に生きてきた。
だが、ある日一本の電話により、それは消え去っていく。その相手は幼い頃からの想い人である
人気海外バンドRe:asu・ボーカルの幼馴染の五十嵐明日(いがらし あす)からだった。そして日本に帰ってくる初めてのライブに招待されて…?
会うたびに距離が近くなっていく二人だが、徐々にそれはおかしくなっていき…。
甘えん坊美形海外ボーカリスト×英語が得意な平凡高校生
※執着攻・ヤンデレ要素が強めの作品です。シリアス気味。攻めが受けに肉体的・精神的に追い詰める描写・性描写が多い&強いなのでご注意ください。
この作品はサイト(http://momimomi777.web.fc2.com/index.html)にも掲載しており、さらに加筆修正を加えたものとなります。
緋色の蝶々
hamapito
BL
殺虫剤を持ち歩くほどの虫嫌いである大学生の緋色(ひいろ)は、駅でのケガをきっかけに、昆虫写真家の中谷(なかたに)と同居することに。
大事な人を探すための休暇中だという中谷は苦手な野菜をすすめ、侵入してきた虫を追い出すどころか嬉しそうに追い回す始末。それなのに求められることに弱い緋色は中谷とキスしてしまい――⁉
※2025.3.23J.GARDEN57にて同人誌として頒布予定(書き下ろしあります)
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
ネクタイで絞めて
ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照
BL
*表紙*
題字&イラスト:さや いんげん 様
( Twitter → @sayaingenmaru )
※ 表紙の持ち出しはご遠慮ください
(拡大版は1ページ目に挿入させていただいております!)
真駒摘紀(まこまつみき) はクールビズ期間が嫌いだ。周りは薄着になり、無防備に晒された首筋を見ないよう俯き、自身の首を掻きむしる。それをいつも心配してくれるのは、直属の上司である 椎葉依弦(しいばいづる) だ。優しさを向けられ、微笑む彼の顔を真駒はよく憶えていなかった。
――真駒が見ているのは、椎葉の首筋だけだから。
fujossy様で2019/8/31迄開催『「オフィスラブ」BL小説コンテスト』用短編小説です!!
ちょっと変わった性癖を持つ上司と、ちょっと変わった性癖を持つ部下の恋物語です!!
fujossy様のTwitter公式アカウントにて、書評をいただきました!! ありがとうございました!!
( 書評が投稿されたツイートはこちらです!! → https://twitter.com/FujossyJP/status/1197001308651184130?s=20 )
※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※ アダルト表現のあるページにはタイトルの後ろに * と表記しておりますので、読む時はお気を付けください!!
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる