13 / 50
2.ひみつ
7
しおりを挟む視線が交わって、お互い認識するまで一秒もかからなかった。先輩は慌てて部屋を出ていこうと、閉まりかけたドアへと向き直る。俺はそれを阻止しようと、先輩の腕を掴んだ。ドアは無情にもパタンと閉まる。
「先輩」
「離せって」
「落ち着いてください」
「なんで大和がここにいるんだよ」
「それは……」
尾行してきたとは言えない。俺が口ごもっていると、先輩は腕を振って、力づくで俺の手を振り払った。俺の手からするりと先輩の腕が抜ける。
「っ、先輩」
俺は必死で腕を掴み直して、先輩を引き寄せた。先輩の身体が俺の方へと倒れこんできて、危ないと思った瞬間、視界はふわりと回る。気づけば目の前に先輩とベッドがあった。先輩を押し倒す体勢であることに気づき、俺はすぐに上体を起こす。先輩はベッドに寝転んだまま、動かない。
「すいません、先輩大丈夫ですか?どこか打ちました?」
俺は心配したが、その服装がいつもと違うことに、ようやく気付く。
先輩が来ているのは、女性用のセーラー服。紺色の襟に、白いシャツ、赤いリボンが目に鮮やかで、短いスカートは紺色でプリーツが綺麗だ。見事なセーラー服に、自分の高校時代に一瞬想いを馳せるが、すぐに現在に戻ってきて、疑問を口にした。
「なんで、セーラー服……」
「っ……」
先輩は恥ずかしそうに、頬を染め、身体を捩った。ベッドのシーツが波打ち、白いシャツとスカートの間に、腹が見え隠れし、臍の横にほくろが見えた。そこにほくろがあることは以前から知っている。フットサルや旅行の着替えの時に、何度か見かけているからだ。今、そのほくろに、俺はひどく興奮していた。先輩に思いのほか似合っているセーラー服のせいか、部屋から匂い立つ性の残り香のせいか、わからない。触れたいと感じた感覚は強烈で、本能だった。
「先輩、触って良いですか?」
「は?何言って……っ、……」
俺は先輩の腹にそっと触れた。白い肌は筋肉質で硬いが、手触りは滑らかだ。腹筋をなぞって、臍の周囲をくるりと撫でると、先輩はびくりと身体を震わせた。次に、シャツの中に手を入れ、腰や腹の肌に手のひらを滑らせる。もう片方の手は、短いスカートから伸びる足に触れた。体毛は処理されているのか、綺麗な白い肌が手に吸いつく。骨ばった膝から筋肉のついた太ももを撫でた。
「大和、ちょっと……、っ、待って……」
先輩はベッドの上で身悶え、黒のハイソックスに包まれた足先がシーツの上を滑った。俺の手は太ももから、スカートの中へ、そして足の付け根まで移動する。指先に当たったのは、触り慣れない感触で、俺は不思議に思った。先輩の足を広げさせ、スカートの中を確認する。
1
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる