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異世界編ー瘴気落
清算
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「決闘……だっ」
そう冷たくライトが現れた3人の男に言う。
あの日の用に黒いマントを羽織っていない3人。
ベータ、ガンマ、シグマの3名。
レス含め、あの日自分たちに邪魔をした、危害を加えた人物を処罰対象として引き渡すよう学園へ要求してきた。
ライトは代表しその話し合いに立ち会った中で、その言い分を拒否し、
それでも引き下がらない3人にそう条件を突きつける。
国の特殊部隊……その部隊《なか》でも、特に権利と実力を所持しているだろう3人。
「へぇ……勇者様の小娘か……すっげぇ美人じゃん」
シグマがそうライトに近寄り頬を触れようとする。
「貴様ごときが私に触れるなっ」
鋭い目がシグマを睨み、魔力の剣を顎下に突きつける。
「生涯、私に触れさせる異性《だんし》は一人《レス》だけと決めている」
魔力を含むワイン色の瞳に睨《すご》まれ、思わず身を引く。
「気がつえーじゃねぇか……嫌いじゃないぜ」
そう身を引きながらもライトを見つめ返す。
「いいだろう……ただし、もしお前たちが負けた場合、勇者の娘……お前もただではおかないことになるぞ」
そうベータがライトに言う。
「……構わない……貴様らに勝ち目など一ミリもない」
そう凛としてライトが言い切る。
交流戦のあったリング。
そこにライト、ベータ、ガンマ、シグマが来る頃には、
俺も含めたほとんどの生徒がそこに集まっている。
あの日、かかわりのある人間はライトのそば、リングの近くに集まっていて、
ほかの関係のない生徒たちは観客席に集まっている。
「もう一度、言う……貴様らが負けた場合は勇者の娘、お前も含めそこに居る人間はどうなってもいいんだな?」
そうベータがこちらに言う。
「……くどい、逆に貴様らは二度と私たちの目の前にその面を見せるな」
そうライトがベータを睨む。
「さて、そんじゃ……そういうことだ」
いち早くリングに登った、シグマが俺を見る。
「来いっ……てめぇにはたっぷり礼《うらみ》を返す」
そう俺に右手のグーを逆さに、人差し指をクイクイ動かし、
登って来いと告げる。
まぁ……礼を返したいのはお互い様だ。
俺はあえてその挑発に乗るように足を向けるが……
「あ……?」
すでに一人の女性がリングの上に立っている。
「レス……悪いがこいつは私がもらうぜ」
黒いスーツ、赤茶色の長い髪をなびかせながら……
「なぁ、シグマ、てめぇも私には怨みがあんだろ?」
凶悪な殺人鬼的な瞳がシグマを睨んでいる。
「……鬼人の……アルファ」
そんなフレアの姿に圧倒されながら、シグマがアルファを見る。
「それでは、司会は恒例のラビちゃんが勤めさせて頂きます」
そう久々に登場したラビ先輩がマイクを片手にいつの間にやらリングの中央に立っている。
「第1試合、フレア選手対シグマ選手……始めっ!」
その言葉と同時に……フレアが真っ先に大地を蹴る。
「時間をかけてボコボコにするか、一撃で10倍返しにしてやろうか……」
そうフレアがシグマを見ながら……
フレアはひとつため息を吐きながら……
「時間の無駄だ……」
そう、体制を低くし武装した右手の手甲を構える。
「……最大出力《フルバースト》っ」
手甲が赤く輝くと一瞬でシグマの左頬を捉える。
メキメキッと嫌な音が場内に響き……
治療したばかりだろう、シグマの歯が再び大量に宙を舞う。
視界に捕らえるのが大変なくらいにその巨体は遥か上空に飛ばされ、
そして、そのままリングに落下する。
シグマはピクピクと痙攣した状態で動かなくなる。
「3……2……1……0」
ラビのカウントも数え終わる。
「勝者……フレア選手です」
フレアは対して嬉しくもなさそうに、ため息をつき……
昔は特殊部隊で……鬼人なんて呼ばれるほど恐ろしい人だったのだと、改めて教えられる。
「一撃かよ……」
数日前にそんな教師《ひと》を相手にしていたかと思うと思わず苦笑いする。
ベータはリングに登ると、シグマの身体を掴み上げ、そのままリングの外へと捨てる。
「ガンマ……」
そうベータに言われると、ガンマもリングにあがる。
後が無い……二対二としたいわけか……
何も言わずリングにのぼったライトの後ろを俺は黙ってついていく。
「レス……」
そう、少し嬉しそうに振り返ったライトが俺に手を差し伸べる。
もちろん、手を借りずとも苦労せずリングにのぼれるが、俺はその手を借りてリングへとのぼる。
「先ほどまで聖女を気取っていた貴方《ゆうしゃ》が……何者だお前?」
そう軽がるしくライトに触れる俺にベータが少しだけ興味を持つように……
「この学園には少しだけ……面白い能力をもった奴がいたからな……サンプルにさせてもらう」
そう薄っすらと笑い……
「……何を……するつもりだ?」
レインがそのベータの薄気味悪い笑みに不安を覚えながら……
「奴の能力は自分の短剣の能力……それに付随《プラス》して、分析した誰かの能力をサンプルとして一時的に自分の能力とする」
そうフレアが説明する。
「……俺とレインがあたった、あの物真似と複写みたいな能力か?」
そうスコールがフレアに返す。
「まぁ……能力としての性能は近いものだが……物真似、複写とは違い……本来真似できないような技まで能力化してしまう……」
それよりも厄介だと告げる。
そして、本来の他の能力者にも匹敵するくらいの短剣の能力《こうげきりょく》も所有している……
「いったい……どんな能力のデータを手にしたというのだ……」
アストリアが言う。
「……効率的には攻撃的な能力とは思えないけど……」
そんなアストリアの疑問にクリアが返す。
「二回戦、開始っ!!」
そして、ラビの試合開始の合図が響く。
開始直後にガンマがボウガンを構えると……
一本の矢をライト目掛け放つ。
どんな変化をするかと身構えるが普通にライト目掛け飛び、
俺はその矢を結界で防ぐ。
「……っ」
なるほど……
矢が結界に突き刺さったまま残るように、結界から俺の魔力を吸い上げているようだ。
「レスっ」
ライトがその結界に刺さる矢を魔力の剣で弾き飛ばす。
「助かった」
なるほど……あの矢は下手に受けるよりライトに回避してもらう方がいいか。
ガンマはボウガンを上空に向けて放つ。
「アローレイン」
そうぼそりと呟くと……
「ちぃ……」
俺は再び結界を自分とライトの上空に張り巡らせると、
大量の矢が空中から降ってくる。
すぐに結界に刺さった矢をライトが切り裂くが、地道に魔力を奪われている。
そして、黙っていた男が動き出し……
ベータは短剣を右手に持ち、左腕を上空に上げこちらにゆっくりと歩く。
そして……
一瞬、意識を失う感覚……
いつの間にか俺とライトの後ろに居たベータの攻撃にライトが即座に反応しその短剣による一撃を防ぐ。
まさか……こいつの能力……
「……時間凍結……ハイトの能力か……」
俺のその言葉にベータが笑いながら……
「実に有能な能力だ……それに俺の能力を合わせれば奴以上に俺はこの能力を使いこなせる」
そうベータは笑いながら……
再び時間を凍結させる。
瞳と脳に魔力を巡らせる。
エメラルド色の目で奴を追う……
ハイトで攻略した能力……
だが、それはハイトにはそれしかなかったからだ……
時間凍結の中動けるとはいえ……
それには、それなりの魔力を使用する……
そして、そんな中でベータを圧倒するだけの力が俺に……
ライトを見る……
そして、ベータが再び俺たちの後ろに位置を取るように動く。
俺の瞳がそれを追う……
そして……ライトの瞳が……
(……えっ?)
俺は凍結するその空間の中で……
そういえば、ライトは……
初めて合った時……そんな俺の戦い方を褒めてくれた。
俺とハイトの試合を見ていた。
もちろん……凍結した時間までは見えていないと思っていたが……
彼女の瞳《まりょく》は……それを見ていたんじゃないか?
改めて彼女の瞳の凄さを思い知る。
そして……この凍結の中で意識を保てる……
瞳だけでは無くその魔力は脳にまで行き届いている……
とういうことは……
再び時間が動くと、ベータを追っていたライトの瞳が即座にその位置を把握しその一撃を食い止める。
「なっ……どんな反射神経をしている……勇者娘《きさま》はっ!」
そうベータはさすがに信じられないように叫ぶ。
しかし……たぶん、恐らく次は……
「だったら、時が動き出す前に切り刻むだけだっ」
そう俺の思った通りの言葉を言う。
「……ライト」
俺はライトの手を取る。
ライトの両腕に俺の結界の魔力を宿す。
「レス……これは?」
不思議そうにライトがそのエメラルド色に輝く両手を見ながら……
俺には奴を圧倒するだけの力は無い……
だったら……
再び時が止まる。
俺とライトの瞳がベータを追う。
そして、ライトにその短剣で斬りつけるが……
「なんだっ?」
ライトのワイン色の瞳がベータを睨み……
自由の利く右腕だけを動かしベータの身体を引き裂く。
同時に俺も全魔力を体内にめぐらせると、
大地を蹴り、ライトに切り付けられ無防備になったその身体に魔力を込めた拳を叩き込む。
ぐらりと身体を揺らいだところで……時間が戻る。
「……私たちの勝ちだ」
そうライトは魔力の剣を上空に振りかざし……
「勇者剣《エクスカリバー》っ」
そう手にする魔力の剣のバージョンを上げると、そのままベータに振り下ろす。
ベータの身体は場外まで吹き飛ばされてそのまま壁に突き刺さるように崩れ落ちる。
そのまま……ライトの瞳がガンマを睨み、ガンマの必死の抵抗も虚しく、再びライトの勇者の剣がガンマをとらえ同様に場外へと吹き飛ばされる。
「勝負あり……」
ラビの声が響く。
「……本当にライトは最強だよ……」
その言葉に少しライトは嬉しそうに笑いながら……
「レス……少しだけ違う……私たちで最強だ」
そういい直し笑う。
「たく……あいつ……この私を相手に手を抜いてやがったな……」
見ていた、イロハが俺の方を見ながらそう呟くように言った。
そう冷たくライトが現れた3人の男に言う。
あの日の用に黒いマントを羽織っていない3人。
ベータ、ガンマ、シグマの3名。
レス含め、あの日自分たちに邪魔をした、危害を加えた人物を処罰対象として引き渡すよう学園へ要求してきた。
ライトは代表しその話し合いに立ち会った中で、その言い分を拒否し、
それでも引き下がらない3人にそう条件を突きつける。
国の特殊部隊……その部隊《なか》でも、特に権利と実力を所持しているだろう3人。
「へぇ……勇者様の小娘か……すっげぇ美人じゃん」
シグマがそうライトに近寄り頬を触れようとする。
「貴様ごときが私に触れるなっ」
鋭い目がシグマを睨み、魔力の剣を顎下に突きつける。
「生涯、私に触れさせる異性《だんし》は一人《レス》だけと決めている」
魔力を含むワイン色の瞳に睨《すご》まれ、思わず身を引く。
「気がつえーじゃねぇか……嫌いじゃないぜ」
そう身を引きながらもライトを見つめ返す。
「いいだろう……ただし、もしお前たちが負けた場合、勇者の娘……お前もただではおかないことになるぞ」
そうベータがライトに言う。
「……構わない……貴様らに勝ち目など一ミリもない」
そう凛としてライトが言い切る。
交流戦のあったリング。
そこにライト、ベータ、ガンマ、シグマが来る頃には、
俺も含めたほとんどの生徒がそこに集まっている。
あの日、かかわりのある人間はライトのそば、リングの近くに集まっていて、
ほかの関係のない生徒たちは観客席に集まっている。
「もう一度、言う……貴様らが負けた場合は勇者の娘、お前も含めそこに居る人間はどうなってもいいんだな?」
そうベータがこちらに言う。
「……くどい、逆に貴様らは二度と私たちの目の前にその面を見せるな」
そうライトがベータを睨む。
「さて、そんじゃ……そういうことだ」
いち早くリングに登った、シグマが俺を見る。
「来いっ……てめぇにはたっぷり礼《うらみ》を返す」
そう俺に右手のグーを逆さに、人差し指をクイクイ動かし、
登って来いと告げる。
まぁ……礼を返したいのはお互い様だ。
俺はあえてその挑発に乗るように足を向けるが……
「あ……?」
すでに一人の女性がリングの上に立っている。
「レス……悪いがこいつは私がもらうぜ」
黒いスーツ、赤茶色の長い髪をなびかせながら……
「なぁ、シグマ、てめぇも私には怨みがあんだろ?」
凶悪な殺人鬼的な瞳がシグマを睨んでいる。
「……鬼人の……アルファ」
そんなフレアの姿に圧倒されながら、シグマがアルファを見る。
「それでは、司会は恒例のラビちゃんが勤めさせて頂きます」
そう久々に登場したラビ先輩がマイクを片手にいつの間にやらリングの中央に立っている。
「第1試合、フレア選手対シグマ選手……始めっ!」
その言葉と同時に……フレアが真っ先に大地を蹴る。
「時間をかけてボコボコにするか、一撃で10倍返しにしてやろうか……」
そうフレアがシグマを見ながら……
フレアはひとつため息を吐きながら……
「時間の無駄だ……」
そう、体制を低くし武装した右手の手甲を構える。
「……最大出力《フルバースト》っ」
手甲が赤く輝くと一瞬でシグマの左頬を捉える。
メキメキッと嫌な音が場内に響き……
治療したばかりだろう、シグマの歯が再び大量に宙を舞う。
視界に捕らえるのが大変なくらいにその巨体は遥か上空に飛ばされ、
そして、そのままリングに落下する。
シグマはピクピクと痙攣した状態で動かなくなる。
「3……2……1……0」
ラビのカウントも数え終わる。
「勝者……フレア選手です」
フレアは対して嬉しくもなさそうに、ため息をつき……
昔は特殊部隊で……鬼人なんて呼ばれるほど恐ろしい人だったのだと、改めて教えられる。
「一撃かよ……」
数日前にそんな教師《ひと》を相手にしていたかと思うと思わず苦笑いする。
ベータはリングに登ると、シグマの身体を掴み上げ、そのままリングの外へと捨てる。
「ガンマ……」
そうベータに言われると、ガンマもリングにあがる。
後が無い……二対二としたいわけか……
何も言わずリングにのぼったライトの後ろを俺は黙ってついていく。
「レス……」
そう、少し嬉しそうに振り返ったライトが俺に手を差し伸べる。
もちろん、手を借りずとも苦労せずリングにのぼれるが、俺はその手を借りてリングへとのぼる。
「先ほどまで聖女を気取っていた貴方《ゆうしゃ》が……何者だお前?」
そう軽がるしくライトに触れる俺にベータが少しだけ興味を持つように……
「この学園には少しだけ……面白い能力をもった奴がいたからな……サンプルにさせてもらう」
そう薄っすらと笑い……
「……何を……するつもりだ?」
レインがそのベータの薄気味悪い笑みに不安を覚えながら……
「奴の能力は自分の短剣の能力……それに付随《プラス》して、分析した誰かの能力をサンプルとして一時的に自分の能力とする」
そうフレアが説明する。
「……俺とレインがあたった、あの物真似と複写みたいな能力か?」
そうスコールがフレアに返す。
「まぁ……能力としての性能は近いものだが……物真似、複写とは違い……本来真似できないような技まで能力化してしまう……」
それよりも厄介だと告げる。
そして、本来の他の能力者にも匹敵するくらいの短剣の能力《こうげきりょく》も所有している……
「いったい……どんな能力のデータを手にしたというのだ……」
アストリアが言う。
「……効率的には攻撃的な能力とは思えないけど……」
そんなアストリアの疑問にクリアが返す。
「二回戦、開始っ!!」
そして、ラビの試合開始の合図が響く。
開始直後にガンマがボウガンを構えると……
一本の矢をライト目掛け放つ。
どんな変化をするかと身構えるが普通にライト目掛け飛び、
俺はその矢を結界で防ぐ。
「……っ」
なるほど……
矢が結界に突き刺さったまま残るように、結界から俺の魔力を吸い上げているようだ。
「レスっ」
ライトがその結界に刺さる矢を魔力の剣で弾き飛ばす。
「助かった」
なるほど……あの矢は下手に受けるよりライトに回避してもらう方がいいか。
ガンマはボウガンを上空に向けて放つ。
「アローレイン」
そうぼそりと呟くと……
「ちぃ……」
俺は再び結界を自分とライトの上空に張り巡らせると、
大量の矢が空中から降ってくる。
すぐに結界に刺さった矢をライトが切り裂くが、地道に魔力を奪われている。
そして、黙っていた男が動き出し……
ベータは短剣を右手に持ち、左腕を上空に上げこちらにゆっくりと歩く。
そして……
一瞬、意識を失う感覚……
いつの間にか俺とライトの後ろに居たベータの攻撃にライトが即座に反応しその短剣による一撃を防ぐ。
まさか……こいつの能力……
「……時間凍結……ハイトの能力か……」
俺のその言葉にベータが笑いながら……
「実に有能な能力だ……それに俺の能力を合わせれば奴以上に俺はこの能力を使いこなせる」
そうベータは笑いながら……
再び時間を凍結させる。
瞳と脳に魔力を巡らせる。
エメラルド色の目で奴を追う……
ハイトで攻略した能力……
だが、それはハイトにはそれしかなかったからだ……
時間凍結の中動けるとはいえ……
それには、それなりの魔力を使用する……
そして、そんな中でベータを圧倒するだけの力が俺に……
ライトを見る……
そして、ベータが再び俺たちの後ろに位置を取るように動く。
俺の瞳がそれを追う……
そして……ライトの瞳が……
(……えっ?)
俺は凍結するその空間の中で……
そういえば、ライトは……
初めて合った時……そんな俺の戦い方を褒めてくれた。
俺とハイトの試合を見ていた。
もちろん……凍結した時間までは見えていないと思っていたが……
彼女の瞳《まりょく》は……それを見ていたんじゃないか?
改めて彼女の瞳の凄さを思い知る。
そして……この凍結の中で意識を保てる……
瞳だけでは無くその魔力は脳にまで行き届いている……
とういうことは……
再び時間が動くと、ベータを追っていたライトの瞳が即座にその位置を把握しその一撃を食い止める。
「なっ……どんな反射神経をしている……勇者娘《きさま》はっ!」
そうベータはさすがに信じられないように叫ぶ。
しかし……たぶん、恐らく次は……
「だったら、時が動き出す前に切り刻むだけだっ」
そう俺の思った通りの言葉を言う。
「……ライト」
俺はライトの手を取る。
ライトの両腕に俺の結界の魔力を宿す。
「レス……これは?」
不思議そうにライトがそのエメラルド色に輝く両手を見ながら……
俺には奴を圧倒するだけの力は無い……
だったら……
再び時が止まる。
俺とライトの瞳がベータを追う。
そして、ライトにその短剣で斬りつけるが……
「なんだっ?」
ライトのワイン色の瞳がベータを睨み……
自由の利く右腕だけを動かしベータの身体を引き裂く。
同時に俺も全魔力を体内にめぐらせると、
大地を蹴り、ライトに切り付けられ無防備になったその身体に魔力を込めた拳を叩き込む。
ぐらりと身体を揺らいだところで……時間が戻る。
「……私たちの勝ちだ」
そうライトは魔力の剣を上空に振りかざし……
「勇者剣《エクスカリバー》っ」
そう手にする魔力の剣のバージョンを上げると、そのままベータに振り下ろす。
ベータの身体は場外まで吹き飛ばされてそのまま壁に突き刺さるように崩れ落ちる。
そのまま……ライトの瞳がガンマを睨み、ガンマの必死の抵抗も虚しく、再びライトの勇者の剣がガンマをとらえ同様に場外へと吹き飛ばされる。
「勝負あり……」
ラビの声が響く。
「……本当にライトは最強だよ……」
その言葉に少しライトは嬉しそうに笑いながら……
「レス……少しだけ違う……私たちで最強だ」
そういい直し笑う。
「たく……あいつ……この私を相手に手を抜いてやがったな……」
見ていた、イロハが俺の方を見ながらそう呟くように言った。
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