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学園編-学園武術会
決勝前夜(2)
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学園武術会……決勝前夜……
宴に用意された学園敷地内にあるブレイブ家の別館……
そこで、決勝進出を祝う宴の最中……
俺は一人……二階のルーフバルコニーで夜風を浴び涼んでいる。
「なーに、黄昏ている……少年」
その言葉に思わず身構える。
「傷つくなぁ……その反応」
そういつの間にか俺の前に立っている女性……
薄いピンク色の髪……先ほどあったときと違い、後ろ髪を一つ結びにして、
その長い髪を束ね、その髪先は彼女の裏膝辺りまで伸びている。
そして……学園の制服ではない黒いスーツをビシっと着こなす彼女は二つ上とは思えない凛々しさをもっていて……
男子も女子も惚れてしまいそうなほどに……同姓受けする美しさを持っている。
両手をズボンのポケットに突っ込んだまま……突然その場に現れた女性
「……どうやって?」
彼女自身の運動能力は……多分、現世人《おれ》と差ほど、差が無いはずだ……
この高さを上るなんて……運動能力なんてない……彼女の持つ能力《トラップ》もそういう技《のうりょく》ではない……はずだが……
彼女の能力……創造《センス》は……やはり驚異的だと思う……
彼女が本気で……学園側に手を貸していたとしたらと思うと……
正直……今……俺たちはこうしてこの場にいる事はできなかったのかもしれない。
「簡単さ……」
そう彼女は右手だけポケットから取り出すと、中指と親指をこすり合わせるようにパチンと音をならすと……
一瞬にして……姿を消す。
「少年……君のことだ……それなりに能力《わたし》のことなどお見通しなのだろ?」
そう……後ろから声がし振り返る。
瞬間移動でもしたかのように、その姿は後ろにある。
「能力《トラップ》を自身に発動させただけだよ……」
そう……簡単に種を明かす。
「……俺に……なんのようなんだ?」
そう……振り返り彼女の方を向きなおす。
「少年……お姉さんはショックだ……お姉さんは君に興味が深々だと言うのに……少年は私になんの魅力も感じていないのかい?」
そう……全く言葉《せりふ》と釣り合わない表情で俺を見る。
「……興味と同じくらいに恐怖もあるよ」
そう素直な意見を告げる。
「……なぜ同じ日本人《げんせ》の人間が……セティなんて名前なんだとか……その髪の色は?とかないわけぇ?」
……確かに……気にはなるが……
彼女にはそれ以上の謎《きょうい》が多すぎる……
それにそんなものはいくらでも偽れる……
「少年……お姉さんは君に興味が深々なんだ……それはそうだろ?こんな異世界《ばしょ》で同じ世界の同じ転生《きょうぐう》の人間に会えたんだ」
そううれしそうに笑う。
「……転生者《なかま》に会えたんだからさぁ」
そう……彼女のきれいな瞳が俺を写す。
……あの転生屋というおかしな場所に迷い込む……
そんな人間が他にいると言うのなら……
同じ現世《じんせい》を送ってきた人間《なかま》だ……
そう……お互いに……お互いを理解しているのかもしれない……
「君が……彼女《あいつら》に利用されているって……言うなら……そこからお姉さんが助けてあげるよぉ」
そう……前かがみに紳士的な動作で俺に手を差し伸べる。
同時に巨大なランスがセティを襲う……
自分に接近するそれをゆっくりとその姿勢のまま瞳でそれを確認するように目線を送る……
爆風から現れたのはバルコニーの墨に飾られていた甲冑が粉々に砕けている。
その甲冑が飾られていただろう場所からセティがゆっくりと歩いてくる。
「何を企んでいるか知らないが……仲間《こぞう》によからぬことを吹き込もうというのなら……容赦せぬぞ」
そう、アストリアがセティを睨み付ける。
無視するように……興味なさそうに目線を俺に戻す……
なんの障害でもないとでも言いたそうに……
「聞こえなかったか?すぐに此処《レスのまえ》から立ち去れと言っているッ」
……別の女性……金髪の神々しいまでの美しさを持つ女性……
握られた刃がセティを襲う。
対象を捉える寸前の刃を止める。
「まったく……珍妙な能力《わざ》だのぉ」
いつの間にかセティとアストリアの位置が入れ替わっている……
そのライトの一撃を受けそうになったアストリアが冷や汗混じりに愚痴を吐くようにこぼす。
「……人の逢引を邪魔するなよ……勇者様」
そう……世界最強すらも安易に……挑発する
「……此処《レスのまえ》から去れと言っているっ」
そう……再度、手にした剣を横に振るい、その身体を引き裂く動作で動かす。
入れ替えの発動の時間さえ許さないというように……
「いつになく、感情的だな……英雄《ゆうしゃ》様……」
そう……告げるセティ……
ライトの刃が……彼女の左手前で瞬時に彼女の身体の右側に移動し……
ライトの攻撃が空振りするように腕が振るわれる……
「こうして……実際……手合わせするのは初めてかな……少年、私って奴はなかなかどうして、いけてる奴だと思わないか?」
そう自分を評価する。
そんなことを気にすることなくライトの一撃が再びセティを襲う。
それを少しだけ嫌がるように少し大きめに距離を置くように瞬間移動をする……
「……全く会話くらいゆっくり……」
させろよと言おうとするセティの元にすでにライトが間近に近づいてる。
そして振るわれる刃に……
「相変わらず……容赦も何もない奴だな……」
そう……苦笑しながらライトの真後ろの瞬間移動する。
それも全てお見通しというようにライトがくるりとその場に回転する動作のまま刃をセティに向ける。
その寸前で、ライトが頭上に刃を投げる。
剣が頭上で爆発するように消滅する。
「能力《まりょく》の発動を……ライトの剣に?」
俺がそう……現状を把握するように呟く。
「全く……私は価値のない事はしたくない……ここで私が勇者《あんた》に勝利《りよう》することに意味がない……英雄《あんた》に汚名《はいぼく》を与えても私に価値などない……」
まるで……それができるけどしないと言いたいように……
隙をつくように作り上げていたアストリアのランスがミサイルの発射のようにセティ目掛け飛ぶ。
「!?」
その爆発……煙の中から現れる……
ライトがそのランスを作り出した剣で叩き斬っていた。
その爆風……ノーダメージとはいかないものの……
彼女にとってはそれほどのダメージではない……
しかしながら……アストリアだけではなくライトすらとその位置を入れ替える能力《まりょく》……
並大抵の魔力ではそれは実現できないのであろう……
「この価値《しょうぶ》で君が手に入る訳じゃないだろうからね……意味《かち》がない……無価値な事はしない主義なんだ」
彼女が……準決勝を放棄した理由……
ライト……勇者《さいきょう》……その言葉に偽りはない。
……もちろん、このまま戦えば……彼女は勝利しているのかもしれない……
それほど、彼女は……物事に囚われることなく……あの最凶すらねじ伏せた。
それ同等のことを彼女は成してくれるだろう……
それでいて……そんな彼女すらを翻弄する……
そんな彼女は誰に利用されることなく……
ただ……全てを楽しむように……
その実力を隠したまま……勝負を敗北《ほうき》する……
「またね……少年」
そう言葉と同時にライトの刃をその身を切り裂かれるが……
クラッカーが散った後のようにパンっという音の後にカラフルなリボンがその場を舞う。
その言葉だけを残して彼女は俺の前から姿を消した。
「大丈夫か……レス、何もされなかったか?」
そう心配するようにライトが、今の出来事を気にしないように俺の身体をペタペタと触り何かを探りながら心配そうに声をかけてくる。
「……まったく……何者だあやつは……」
そうアストリアが苦笑するが……
「関係ない……超えるだけだ……私が……いや……」
そう……ライトが俺を見て微笑む。
「私達《わたしとレス》が……」
そう……期待するような眼差しを向ける。
「あぁ……」
その言葉の意味を理解してかどうか……俺はそう彼女に答える。
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その長い髪を束ね、その髪先は彼女の裏膝辺りまで伸びている。
そして……学園の制服ではない黒いスーツをビシっと着こなす彼女は二つ上とは思えない凛々しさをもっていて……
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両手をズボンのポケットに突っ込んだまま……突然その場に現れた女性
「……どうやって?」
彼女自身の運動能力は……多分、現世人《おれ》と差ほど、差が無いはずだ……
この高さを上るなんて……運動能力なんてない……彼女の持つ能力《トラップ》もそういう技《のうりょく》ではない……はずだが……
彼女の能力……創造《センス》は……やはり驚異的だと思う……
彼女が本気で……学園側に手を貸していたとしたらと思うと……
正直……今……俺たちはこうしてこの場にいる事はできなかったのかもしれない。
「簡単さ……」
そう彼女は右手だけポケットから取り出すと、中指と親指をこすり合わせるようにパチンと音をならすと……
一瞬にして……姿を消す。
「少年……君のことだ……それなりに能力《わたし》のことなどお見通しなのだろ?」
そう……後ろから声がし振り返る。
瞬間移動でもしたかのように、その姿は後ろにある。
「能力《トラップ》を自身に発動させただけだよ……」
そう……簡単に種を明かす。
「……俺に……なんのようなんだ?」
そう……振り返り彼女の方を向きなおす。
「少年……お姉さんはショックだ……お姉さんは君に興味が深々だと言うのに……少年は私になんの魅力も感じていないのかい?」
そう……全く言葉《せりふ》と釣り合わない表情で俺を見る。
「……興味と同じくらいに恐怖もあるよ」
そう素直な意見を告げる。
「……なぜ同じ日本人《げんせ》の人間が……セティなんて名前なんだとか……その髪の色は?とかないわけぇ?」
……確かに……気にはなるが……
彼女にはそれ以上の謎《きょうい》が多すぎる……
それにそんなものはいくらでも偽れる……
「少年……お姉さんは君に興味が深々なんだ……それはそうだろ?こんな異世界《ばしょ》で同じ世界の同じ転生《きょうぐう》の人間に会えたんだ」
そううれしそうに笑う。
「……転生者《なかま》に会えたんだからさぁ」
そう……彼女のきれいな瞳が俺を写す。
……あの転生屋というおかしな場所に迷い込む……
そんな人間が他にいると言うのなら……
同じ現世《じんせい》を送ってきた人間《なかま》だ……
そう……お互いに……お互いを理解しているのかもしれない……
「君が……彼女《あいつら》に利用されているって……言うなら……そこからお姉さんが助けてあげるよぉ」
そう……前かがみに紳士的な動作で俺に手を差し伸べる。
同時に巨大なランスがセティを襲う……
自分に接近するそれをゆっくりとその姿勢のまま瞳でそれを確認するように目線を送る……
爆風から現れたのはバルコニーの墨に飾られていた甲冑が粉々に砕けている。
その甲冑が飾られていただろう場所からセティがゆっくりと歩いてくる。
「何を企んでいるか知らないが……仲間《こぞう》によからぬことを吹き込もうというのなら……容赦せぬぞ」
そう、アストリアがセティを睨み付ける。
無視するように……興味なさそうに目線を俺に戻す……
なんの障害でもないとでも言いたそうに……
「聞こえなかったか?すぐに此処《レスのまえ》から立ち去れと言っているッ」
……別の女性……金髪の神々しいまでの美しさを持つ女性……
握られた刃がセティを襲う。
対象を捉える寸前の刃を止める。
「まったく……珍妙な能力《わざ》だのぉ」
いつの間にかセティとアストリアの位置が入れ替わっている……
そのライトの一撃を受けそうになったアストリアが冷や汗混じりに愚痴を吐くようにこぼす。
「……人の逢引を邪魔するなよ……勇者様」
そう……世界最強すらも安易に……挑発する
「……此処《レスのまえ》から去れと言っているっ」
そう……再度、手にした剣を横に振るい、その身体を引き裂く動作で動かす。
入れ替えの発動の時間さえ許さないというように……
「いつになく、感情的だな……英雄《ゆうしゃ》様……」
そう……告げるセティ……
ライトの刃が……彼女の左手前で瞬時に彼女の身体の右側に移動し……
ライトの攻撃が空振りするように腕が振るわれる……
「こうして……実際……手合わせするのは初めてかな……少年、私って奴はなかなかどうして、いけてる奴だと思わないか?」
そう自分を評価する。
そんなことを気にすることなくライトの一撃が再びセティを襲う。
それを少しだけ嫌がるように少し大きめに距離を置くように瞬間移動をする……
「……全く会話くらいゆっくり……」
させろよと言おうとするセティの元にすでにライトが間近に近づいてる。
そして振るわれる刃に……
「相変わらず……容赦も何もない奴だな……」
そう……苦笑しながらライトの真後ろの瞬間移動する。
それも全てお見通しというようにライトがくるりとその場に回転する動作のまま刃をセティに向ける。
その寸前で、ライトが頭上に刃を投げる。
剣が頭上で爆発するように消滅する。
「能力《まりょく》の発動を……ライトの剣に?」
俺がそう……現状を把握するように呟く。
「全く……私は価値のない事はしたくない……ここで私が勇者《あんた》に勝利《りよう》することに意味がない……英雄《あんた》に汚名《はいぼく》を与えても私に価値などない……」
まるで……それができるけどしないと言いたいように……
隙をつくように作り上げていたアストリアのランスがミサイルの発射のようにセティ目掛け飛ぶ。
「!?」
その爆発……煙の中から現れる……
ライトがそのランスを作り出した剣で叩き斬っていた。
その爆風……ノーダメージとはいかないものの……
彼女にとってはそれほどのダメージではない……
しかしながら……アストリアだけではなくライトすらとその位置を入れ替える能力《まりょく》……
並大抵の魔力ではそれは実現できないのであろう……
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彼女が……準決勝を放棄した理由……
ライト……勇者《さいきょう》……その言葉に偽りはない。
……もちろん、このまま戦えば……彼女は勝利しているのかもしれない……
それほど、彼女は……物事に囚われることなく……あの最凶すらねじ伏せた。
それ同等のことを彼女は成してくれるだろう……
それでいて……そんな彼女すらを翻弄する……
そんな彼女は誰に利用されることなく……
ただ……全てを楽しむように……
その実力を隠したまま……勝負を敗北《ほうき》する……
「またね……少年」
そう言葉と同時にライトの刃をその身を切り裂かれるが……
クラッカーが散った後のようにパンっという音の後にカラフルなリボンがその場を舞う。
その言葉だけを残して彼女は俺の前から姿を消した。
「大丈夫か……レス、何もされなかったか?」
そう心配するようにライトが、今の出来事を気にしないように俺の身体をペタペタと触り何かを探りながら心配そうに声をかけてくる。
「……まったく……何者だあやつは……」
そうアストリアが苦笑するが……
「関係ない……超えるだけだ……私が……いや……」
そう……ライトが俺を見て微笑む。
「私達《わたしとレス》が……」
そう……期待するような眼差しを向ける。
「あぁ……」
その言葉の意味を理解してかどうか……俺はそう彼女に答える。
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