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第5章 異端狩り
37話 サバトへの罠
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悪逆非道なるサバトへの罠はいつから始まったか。
「ヴィラジ枢機卿の足元を見ましたか?」
それは、リリアーネという名前の少女が地下水道へ連れていかれる一時間ほど前の出来事からだった。ヴィラジ枢機卿と遭遇したのち、テオファンとドウメキ、そしてコレエストは話をしていた。
テオファン曰く「勝算がある」とのことだったが、それが何のことか全くわかっていない二人はどう問われてもただ首を傾げるだけだ。
「いや、見てない……」
「はぁ。どこを見ていたんだか」
「……」
ぐさりと刺された一言になんとも言えない顔をするドウメキ。どうしてこの男はこうも刃物のような言葉で刺してくるのだろうか。
「ヴィラジ枢機卿の足元ですが……泥が付着していました」
「泥?」
それがなんだとドウメキが首を傾げて聞けば、テオファンは懐から地図を出し空中で広げ、指で現在地と思わしき場所を示した。
「シュラリスは発展した街です。泥……すなわち地面が露出している場所は限られてきます。それに、この聖典封解儀中にわざわざそんな場所に足を踏み入れるなんて……少々不自然なんですよね」
みたところ、ただの汚れが付着したレベルではありませんでした。靴の裏にもしっかり泥が入り込んでいましたし……とテオファンは付け足した。ドウメキとコレエストはそんなところを全く見ていなかったため、テオファンに言われて初めて「そうなのか」と相槌を打つ。
「泥が露出しているのは、おそらくは整備が行き届いていないところ……教会等は管理されていますから、あり得ません。となると、地下インフラや未整備の道路でしょうが、後者はそれなりの『立ち入り禁止』処置がされており、いくら枢機卿と言えど侵入に労力がいる。……ま、あとは花壇とか、シュラリスの外ですが、花壇で足踏みも、閉鎖されたシュラリスの外へでることも、現実的ではない」
テオファンの手袋越しの指がさらさらと紙面をなぞる。やがて、それはある一点――地下下水道と書かれた文字で止まった。
「地下下水道。シュラリスの下水道は五十年以上前に建設され、時代も古い。昔は土を掘って作っていたそうですね。そのため整備しきっていない場所はまだ土が露出し、かつ下水の湿度で泥になっている可能性が高いです」
「ほお」
「……ドウメキさん、言っている意味わかりますか?」
「うん?」
そう問われても言っている意味は「ヴィラジ枢機卿が地下下水道に行っているらしい」ということしか理解できていない。それ以上の情報が何かあっただろうか。
「あのですね。聖典封解儀中ですよ?枢機卿が、わざわざ地下下水道へ行きますか?人気のないところに行っても何もないというのに」
「……た、たたた、確かに」
聖典封解儀で必要なのは悪魔を倒すことではない。悪魔を倒し、人を助けることだ。それ故、人を襲わない場所にいる悪魔をわざわざ枢機卿が倒しにいったところでなんのメリットもない。最も、下水道から人の生活圏に侵入する可能性がないとも言えないが、それを踏まえても枢機卿が出向く必要などない。
「考えられることは、地下下水道という『普通ではない場所』に用があるということ。そしてさらに……ヴィラジ枢機卿の左の膝あたりに白い粉が付着していました。……コレエストさん曰く、処女を長い事集めていたらしいので、だいぶ慣れてしまったんでしょうね」
膝に白い粉。コレエストは先ほど会ったヴィラジの姿を脳内に思い浮かべたが、そこまでは思い出せなかった。テオファンはよく見ている。……こういった利益が関わるところでは、本当に目ざといやつだった。
「掠れていたことからインクではなく粉であることがわかります。白い粉で簡単に手に入りそうなのは石灰の粉、あるいは……恥ずかしいことですが食事の食べかす。しかし砂や地面の擦れではありませんでしたね。細い線のようなものがついていましたから。食べ物である線はいくらなんでも本人が気づく為排除するとしますが……仮に石灰のような白い粉でしたら、なんのために使ったのでしょうかね」
「……ややや、や、薬品では、ないんだよね」
テオファン曰く、白い線のようなものが衣服にわずかにだが走っていたらしい。それゆえ、砂等の地面に膝をついたときの汚れとは全く別のものだという。もしそれが石灰のような使用用途として『白くする必要性があるもの』の仕業であったのなら、どのようなシチュエーションが考えられるのだろうか。
「例えばチョーク。石灰を使っており、かつどこでも入手可能。私が目撃した白い線も、ちょうど引けます。……しかし、なぜチョークの粉が膝につくんでしょうかね。普通、手元で使うなら、腕の袖につくはずです」
たしかにと、コレエストはチョークを使う場面を想像した。大抵は板に書くため、利き手を垂直の方向へ伸ばすか、あるいは机と並行に伸ばすかをする筈だ。そうなれば膝にチョークの跡がつくのは考えにくいし、袖に跡が残っている筈だ。
「ヴィラジ枢機卿も馬鹿ではありません。袖についたものはキチンと拭ったが、膝のところは忘れてしまった。……そう、例えば焦っていた、とか?ドウメキさんを異教徒と苛立ちのまま捲し立て、貴方に処女をすぐ連れてこいと要求する程度には」
「まままま、まま、待って。膝に、普通書いたものは、つ、つつつ、つつつかないんじゃないかな?インクだって、そそそそうだろ?」
コレエストの指定に「そこですよ」とテオファンは返した。
「チョークをわざわざ使う理由。……たとえば、それを地面に書くしかないほど大きなものであったのなら?インクでは書けない。しかも、屈んで書くから膝をつくことになる。……可能性としてはゼロではないでしょう?」
確かにと思うが、なかなかの詭弁だ。テオファンのいう白い跡がチョークではないこともあり得るし、全く検討外れというのもありうる。だが、『地面に書かなくてはいけないほど大きな何か』には、コレエストは身に覚えがあった。
「……ま、ま……ま、魔法陣?」
「そう。床に、ね」
魔法陣。悪魔と契約し、黒魔術を使う媒体にするもの。大きさは悪魔によってまちまちだが、平均的に直径二メートルほどあると言われている。つまり、そう簡単には紙面には書けず、床や壁に直接書くことが多い……らしい。
「つ、つつつつ、つまり君は、ヴィラジ枢機卿が、ああああ悪魔と契約している、と?」
「ご名答。処女というものは黒魔術的に大事な要素ですし」
まさか、とコレエストの顔色ががくんと悪くなった。枢機卿が、悪魔と手を結んでいただなんて――考えられないようなことだった。もしそれが本当だとしたら、ヴィラジはいつから悪魔と手を組んでいたのだろうか。異端審問官と恐れられていた彼女自身が異端であったというわけであろうか。
「……」
しかしそれを違うと言い切れる材料も揃っていない。灰色の状態で上司を庇えるほど、コレエストは彼女に親しみと尊敬を抱いているわけではなかった。そもそも、彼女の行う「審問」の方法にはうんざりしているところはあって、時折犯罪と審問の違いについて悩むことすらあったのだ。
――あの女の鼻をへし折れるならば、それ以上に愉快なことはない。
「あとドウメキさん。貴方は鼻が良いです。……ヴィラジ枢機卿が近くに寄って来た時、どんな匂いがしましたか?」
「うん?匂い……?」
ドウメキは顎に手をあててふむと考え込む。ヴィラジ枢機卿が寄って来た時、すなわち鞭で打たれたときだろう。あの時は、確か――。
「土の臭い、と、あとはなんだ……?とにかく香水の匂いがきつくて、あんまり……」
「貴方でもわからないほど、ですか。それは私も思いました。とにかく、香水の匂いがきつい。女性ならばつけるのは自然ですが、不自然なまでに強かったんですよね」
ドウメキはあの時のヴィラジの匂いを思い出して少しだけ顔を顰めた。
「悪魔の気配というものは『残るもの』もあります。その中のひとつに『におい』があります。私は悪魔の臭いを硫黄の臭いとして探知できる。さらには血の臭い、黒魔術の薬草の臭い……それらは視覚以上に隠し辛く、かつ如実に証拠を示してしまう。異端審問による臭いの付着を気にしているのならば話は別ですが、あの人、そんなことを隠すタイプではないでしょう」
その上、悪魔と戦う聖典封解儀中に派手な匂いをまとわせているのはデメリットしかない。鼻がきく悪魔に己の位置を宣伝して歩いているようなものだ。
「総合的に言えば、ヴィラジ枢機卿は何もかもが『不自然』なんですよ。彼女がデメリットの多い行動をわざわざ侵すような間抜けには見えない……すなわち、揺らしてみる価値は非常に高い」
テオファンが地図を折りたたみ、ポケットの中へと仕舞う。揺らすべき不自然さは出そろったが、ここからが本題だろう。どうやって彼女を『揺らす』のか。
「揺らしの方法ですが、残念ながら最終手段を使うしかない時間帯まで来ています。夜に決着をつけるしかないと思うので……」
「その最終手段って、なんだ?」
聞いたドウメキに、テオファンは心底残念そうな顔をした。
「ドウメキさんが女装してヴィラジ枢機卿のもとへ行くことです」
空気が沈黙した。
コレエストもその手段は脳内になかったわけではない。だが、あまりにも……という無意識のストッパーが働き、今まで口に出すのを控えていたのだ。男が女装してあのヴィラジ枢機卿の眼を騙せるかどうかわからない上、そんなことを一体誰がやってくれるのだろうかと。
「いやなんで俺なんだ」
更に余計なことを言わないようにと、ドウメキの冷静なつっこみがテオファンへ飛ぶ。ドウメキからしてみればなぜ自分が名指しなのか理解が出来なかった。こういうときは一度話し合ってから決めるべきではなかろうか。
「俺じゃ似合わない」
「……た、たた、たしか、に」
ドウメキの身長は軽く見繕って百八十以上はある。肩幅は広く、服越しでも筋肉がしっかりとついているのがわかるほどだ。その上、右目にはうっすらと傷跡が残り、とてもではないが「女子」と飾り立てるのは難しい。ドウメキが女装役をやるのが嫌だという感情を差し引いても、適任とは言い難かった。
テオファンはやれやれと肩を竦め、コレエストを見る。
「あのね」
「まだ何も」
「ぼ、ぼぼ、僕は君の提案に賛成だけど……この三人の中では、一番似合うのは……め、めめめめ明白、なんじゃ、ないかな」
身長が高すぎず。体格に恵まれすぎず。顔立ちも雄々しくない。……そういった点で評価をすれば、おのずと四つの目玉はひとりの人物へと集まっていく。
「……あのですね」
「コレエストも結構ガタイいいし、身長もテオファンより高い。この格好で女装は厳しいと思う」
「そ、そそ、そ、そう」
「……」
テオファンが下唇をかみしめる。本人もわかっているのだろう、この中では自分が適任だと。けれど、いろいろなものを考えて「はいやります」と手を上げるのが癪に障るのだろう。
「テオファンくん」
「テオファン」
両肩に手を置かれ、真剣な眼差しで見つめられる。どうやら、逃げ道はないようだ。
「……ああ。わかりましたよやりますよやればいいんでしょう!」
そうして「白痴の美少女・リリアーネ」は誕生した。
***
リリアーネこと女装したテオファンは立ち上がり、悶え苦しむヴィラジをよく観察した。あれが悪魔との契約で「不正」を働いた時の代償なのだろう。
ヴィラジがどういった対価を得ていたのかは謎だが、彼女は処女、あるいはその血を生贄にすることで悪魔から力を得ていた。名前は、たしか「ケルブ」と言っていたか。
部屋に漂う硫黄の臭いとチョークで描かれた魔法陣。それだけで悪魔及び黒魔術の痕跡はしっかりと残っている。その他、部屋の各所に散らばっている薬草や器具の数々――これだけあれば簡単に『告発』が行えるだろう。
テオファンはゆっくりと歩いていき、入ってきた入り口とは別の小さな扉の前に立った。ここには逃げ道も隠れ場所もない為、この扉をふさいでしまえばヴィラジの逃走ルートはおおよそ潰せる。また、部屋の広さとしても戦闘へ十分対応できる。
「……さてヴィラジ枢機卿。貴方が悪魔と契約していたのは明白ですね。異端審問官が、異端に堕ちようとは」
「……」
焼け爛れていないほうの眼で、じろりとヴィラジがテオファンを睨んだ。憎悪を乗せた梔子色に、翠は臆するどころか愉快そうに細められる。
「直にコレエスト司教……そして他の司教や枢機卿も到着します。私の同行人に指輪をひとつ渡しているので」
さらりとテオファンが手袋を外せば、細い指に四つ指輪がはまっていた。手首を少し返せば指輪から伸びた細い糸が白熱電球の光を反射してきらりと光る。この糸が、地上にいるであろう仲間へと繋がっているのだろう。すぐに地下下水道のこの部屋とたどり着けるように。
「観念することですね」
「……は、」
追い詰められたヴィラジ。彼女の肩が震え、深い茶の髪もそれに合わせて揺れる。うつむいた顔はテオファンからは見えないが、喉の奥で籠るように笑っているようだった。
「……」
ちろちろと天井の剥き出しの電球が揺れ、吊り下げられた肉の塊がひとつ、ぼとりと落ちた。水分を含んだ重量物が、床に転がった。
「私が、やすやすと捕まるとでも?」
「……すなわち、異端であることを認めると」
風が切り裂かれ、異端審問の鞭がしなる。打たれるたび、赤黒いものがこびりついた木目に新しい傷を作っていく。ぴんと張った鞭の金色の番へと神力が流し込まれ、ただの武器から悪魔殺しの凶器へと変化していく。
「悪魔に魂を売った貴方に、それを使う権利はない」
テオファンは片方の手袋も外し、神力の色を編み上げていく。ここは四方を壁に囲まれている為、テオファンにとっては有利なステージになるはずだ。
そしてリボンに隠すようにしてつけていた懐中時計の時刻を見れば、秒針がちょうど六の文字盤を過ぎているところだった。そろそろ予定通りの時間になる。そうすれば――
「テオファン!」
扉を叩く音。しめた、と思った瞬間にテオファンは指を動かし、あらかじめ内側の鍵にかけておいた糸を引っ張る。すると、鍵は簡単に開き、見慣れた灰色の頭が姿を現した。
「ドウメキさん!」
「だいじょうぶ――なんだこれは!?」
刀をすでに抜いて構えているドウメキは、室内の様子に目を見開いた。吊り下げられた死体、人間だった肉塊。一瞬だけくしゃりと顔を歪めたが、頭を振るとそれらから視線を外し――持っていた金色の指輪を掲げる。
「やっぱり地下下水道だったか!それに、そいつは……!」
「……あ、あああ、悪魔との、けけ、契約をしていたんですね」
ドウメキに続いてコレエストも姿を見せる。両手にはチャクラムが握りしめられ、陰鬱そうな顔は一層暗く、だがどこか愉快そうな表情をしていた。
「コレエスト……!」
崩れた顔を隠すこともせずにヴィラジは部屋に入ってきた元部下へ振り返り、歯を食いしばり怒りをあらわにした。この状況ならば、コレエストがヴィラジを裏切ったことは火を見るより明らかなことだろう。
「お前はいつも愚鈍で、みすぼらしくて、出来の悪い奴だった、それが、私を裏切るなんて、本当に救いようがない男ね!」
唾を吐きながらコレエストを罵り、鞭を威嚇のように振り回すヴィラジ。一方のコレエストは彼女をすこしばかり哀れな目で見、そして、笑った。
「……あんたの、やり方には……ほとほとうんざりしてたんだよ!お、おお女のくせに、ずけずけとしゃしゃり出てきやがって!異端審問だと口うるさいあんたを、し、しし審問にかけられるなんて……楽しくてしかたない!くたばれクソババア!!」
はじめて聞いたコレエストの大きな声にぎょっとするドウメキとテオファン。当の本人はくるくるとチャクラムを回すと、"異端審問"をするべく準備を始めていく。コレエストの緑目は今までにないくらいに愉悦で輝き、回したチャクラムの風圧で黒い髪は揺れた。
ヴィラジもぽかんと口を間抜けそうに開けていたが、コレエストの言葉を数秒遅れて理解すると――ヒールの踵で何度も地面を蹴り上げた。
「……き、きぃ、き……ぎぃぇええええーーーッ!きさま、気様貴様貴様ぁあああ!!よくも、私に、そんな口が利けるなぁああああ!?」
発狂したかのうように髪を振り乱し叫ぶ。女性の声量であることを忘れるほどに空気を揺らし、檻や鎖がビリビリと鳴る。焼けた半分の顔から血が滴り、彼女の足元に赤い斑点を作っていく。だが、三対一という圧倒的有利なこの状況でも、テオファンの頭は全くもって勝利を確信していなかった。なぜならば。
(ひどい、臭いだ……!)
最初に部屋に入った時に感じた硫黄の臭いが、今や鼻を麻痺させるような濃さへと変貌していた。それこそ、ヴィラジの香水の臭いすらわからなくなるほどに。
状況はドウメキもコレエストも同じなのか、二人とも戦闘態勢のまま全く動こうとしない。むしろ、部屋に入って来た時よりどんどん警戒を強めていっている。おそらく、二人とも目の前のヴィラジよりも"感じる気配"の方を恐れているのだろう。
「はー……はは、あっはぁ……ああ、ケルブ……ケルブ様、処女がいなくてごめんなさぁい……でもねぇ、あは、はは、あの男三人…………好きなように喰ってしまって構いませんから!あーははは!あははは!!ひ、ぃひ、はははは!!Dlrow taer gsi htfore lur!Tu oem ocesa elp!」
ヴィラジが両手を上げる。すぐ近くの魔法陣からどろどろとした黒いものが溢れ出す。硫黄の臭いが、獣の臭いが、耳鳴りがいっそうひどくなる。
(来る――!ヴィラジと手を結んでいた、悪魔が!)
「ヴィラジ枢機卿の足元を見ましたか?」
それは、リリアーネという名前の少女が地下水道へ連れていかれる一時間ほど前の出来事からだった。ヴィラジ枢機卿と遭遇したのち、テオファンとドウメキ、そしてコレエストは話をしていた。
テオファン曰く「勝算がある」とのことだったが、それが何のことか全くわかっていない二人はどう問われてもただ首を傾げるだけだ。
「いや、見てない……」
「はぁ。どこを見ていたんだか」
「……」
ぐさりと刺された一言になんとも言えない顔をするドウメキ。どうしてこの男はこうも刃物のような言葉で刺してくるのだろうか。
「ヴィラジ枢機卿の足元ですが……泥が付着していました」
「泥?」
それがなんだとドウメキが首を傾げて聞けば、テオファンは懐から地図を出し空中で広げ、指で現在地と思わしき場所を示した。
「シュラリスは発展した街です。泥……すなわち地面が露出している場所は限られてきます。それに、この聖典封解儀中にわざわざそんな場所に足を踏み入れるなんて……少々不自然なんですよね」
みたところ、ただの汚れが付着したレベルではありませんでした。靴の裏にもしっかり泥が入り込んでいましたし……とテオファンは付け足した。ドウメキとコレエストはそんなところを全く見ていなかったため、テオファンに言われて初めて「そうなのか」と相槌を打つ。
「泥が露出しているのは、おそらくは整備が行き届いていないところ……教会等は管理されていますから、あり得ません。となると、地下インフラや未整備の道路でしょうが、後者はそれなりの『立ち入り禁止』処置がされており、いくら枢機卿と言えど侵入に労力がいる。……ま、あとは花壇とか、シュラリスの外ですが、花壇で足踏みも、閉鎖されたシュラリスの外へでることも、現実的ではない」
テオファンの手袋越しの指がさらさらと紙面をなぞる。やがて、それはある一点――地下下水道と書かれた文字で止まった。
「地下下水道。シュラリスの下水道は五十年以上前に建設され、時代も古い。昔は土を掘って作っていたそうですね。そのため整備しきっていない場所はまだ土が露出し、かつ下水の湿度で泥になっている可能性が高いです」
「ほお」
「……ドウメキさん、言っている意味わかりますか?」
「うん?」
そう問われても言っている意味は「ヴィラジ枢機卿が地下下水道に行っているらしい」ということしか理解できていない。それ以上の情報が何かあっただろうか。
「あのですね。聖典封解儀中ですよ?枢機卿が、わざわざ地下下水道へ行きますか?人気のないところに行っても何もないというのに」
「……た、たたた、確かに」
聖典封解儀で必要なのは悪魔を倒すことではない。悪魔を倒し、人を助けることだ。それ故、人を襲わない場所にいる悪魔をわざわざ枢機卿が倒しにいったところでなんのメリットもない。最も、下水道から人の生活圏に侵入する可能性がないとも言えないが、それを踏まえても枢機卿が出向く必要などない。
「考えられることは、地下下水道という『普通ではない場所』に用があるということ。そしてさらに……ヴィラジ枢機卿の左の膝あたりに白い粉が付着していました。……コレエストさん曰く、処女を長い事集めていたらしいので、だいぶ慣れてしまったんでしょうね」
膝に白い粉。コレエストは先ほど会ったヴィラジの姿を脳内に思い浮かべたが、そこまでは思い出せなかった。テオファンはよく見ている。……こういった利益が関わるところでは、本当に目ざといやつだった。
「掠れていたことからインクではなく粉であることがわかります。白い粉で簡単に手に入りそうなのは石灰の粉、あるいは……恥ずかしいことですが食事の食べかす。しかし砂や地面の擦れではありませんでしたね。細い線のようなものがついていましたから。食べ物である線はいくらなんでも本人が気づく為排除するとしますが……仮に石灰のような白い粉でしたら、なんのために使ったのでしょうかね」
「……ややや、や、薬品では、ないんだよね」
テオファン曰く、白い線のようなものが衣服にわずかにだが走っていたらしい。それゆえ、砂等の地面に膝をついたときの汚れとは全く別のものだという。もしそれが石灰のような使用用途として『白くする必要性があるもの』の仕業であったのなら、どのようなシチュエーションが考えられるのだろうか。
「例えばチョーク。石灰を使っており、かつどこでも入手可能。私が目撃した白い線も、ちょうど引けます。……しかし、なぜチョークの粉が膝につくんでしょうかね。普通、手元で使うなら、腕の袖につくはずです」
たしかにと、コレエストはチョークを使う場面を想像した。大抵は板に書くため、利き手を垂直の方向へ伸ばすか、あるいは机と並行に伸ばすかをする筈だ。そうなれば膝にチョークの跡がつくのは考えにくいし、袖に跡が残っている筈だ。
「ヴィラジ枢機卿も馬鹿ではありません。袖についたものはキチンと拭ったが、膝のところは忘れてしまった。……そう、例えば焦っていた、とか?ドウメキさんを異教徒と苛立ちのまま捲し立て、貴方に処女をすぐ連れてこいと要求する程度には」
「まままま、まま、待って。膝に、普通書いたものは、つ、つつつ、つつつかないんじゃないかな?インクだって、そそそそうだろ?」
コレエストの指定に「そこですよ」とテオファンは返した。
「チョークをわざわざ使う理由。……たとえば、それを地面に書くしかないほど大きなものであったのなら?インクでは書けない。しかも、屈んで書くから膝をつくことになる。……可能性としてはゼロではないでしょう?」
確かにと思うが、なかなかの詭弁だ。テオファンのいう白い跡がチョークではないこともあり得るし、全く検討外れというのもありうる。だが、『地面に書かなくてはいけないほど大きな何か』には、コレエストは身に覚えがあった。
「……ま、ま……ま、魔法陣?」
「そう。床に、ね」
魔法陣。悪魔と契約し、黒魔術を使う媒体にするもの。大きさは悪魔によってまちまちだが、平均的に直径二メートルほどあると言われている。つまり、そう簡単には紙面には書けず、床や壁に直接書くことが多い……らしい。
「つ、つつつつ、つまり君は、ヴィラジ枢機卿が、ああああ悪魔と契約している、と?」
「ご名答。処女というものは黒魔術的に大事な要素ですし」
まさか、とコレエストの顔色ががくんと悪くなった。枢機卿が、悪魔と手を結んでいただなんて――考えられないようなことだった。もしそれが本当だとしたら、ヴィラジはいつから悪魔と手を組んでいたのだろうか。異端審問官と恐れられていた彼女自身が異端であったというわけであろうか。
「……」
しかしそれを違うと言い切れる材料も揃っていない。灰色の状態で上司を庇えるほど、コレエストは彼女に親しみと尊敬を抱いているわけではなかった。そもそも、彼女の行う「審問」の方法にはうんざりしているところはあって、時折犯罪と審問の違いについて悩むことすらあったのだ。
――あの女の鼻をへし折れるならば、それ以上に愉快なことはない。
「あとドウメキさん。貴方は鼻が良いです。……ヴィラジ枢機卿が近くに寄って来た時、どんな匂いがしましたか?」
「うん?匂い……?」
ドウメキは顎に手をあててふむと考え込む。ヴィラジ枢機卿が寄って来た時、すなわち鞭で打たれたときだろう。あの時は、確か――。
「土の臭い、と、あとはなんだ……?とにかく香水の匂いがきつくて、あんまり……」
「貴方でもわからないほど、ですか。それは私も思いました。とにかく、香水の匂いがきつい。女性ならばつけるのは自然ですが、不自然なまでに強かったんですよね」
ドウメキはあの時のヴィラジの匂いを思い出して少しだけ顔を顰めた。
「悪魔の気配というものは『残るもの』もあります。その中のひとつに『におい』があります。私は悪魔の臭いを硫黄の臭いとして探知できる。さらには血の臭い、黒魔術の薬草の臭い……それらは視覚以上に隠し辛く、かつ如実に証拠を示してしまう。異端審問による臭いの付着を気にしているのならば話は別ですが、あの人、そんなことを隠すタイプではないでしょう」
その上、悪魔と戦う聖典封解儀中に派手な匂いをまとわせているのはデメリットしかない。鼻がきく悪魔に己の位置を宣伝して歩いているようなものだ。
「総合的に言えば、ヴィラジ枢機卿は何もかもが『不自然』なんですよ。彼女がデメリットの多い行動をわざわざ侵すような間抜けには見えない……すなわち、揺らしてみる価値は非常に高い」
テオファンが地図を折りたたみ、ポケットの中へと仕舞う。揺らすべき不自然さは出そろったが、ここからが本題だろう。どうやって彼女を『揺らす』のか。
「揺らしの方法ですが、残念ながら最終手段を使うしかない時間帯まで来ています。夜に決着をつけるしかないと思うので……」
「その最終手段って、なんだ?」
聞いたドウメキに、テオファンは心底残念そうな顔をした。
「ドウメキさんが女装してヴィラジ枢機卿のもとへ行くことです」
空気が沈黙した。
コレエストもその手段は脳内になかったわけではない。だが、あまりにも……という無意識のストッパーが働き、今まで口に出すのを控えていたのだ。男が女装してあのヴィラジ枢機卿の眼を騙せるかどうかわからない上、そんなことを一体誰がやってくれるのだろうかと。
「いやなんで俺なんだ」
更に余計なことを言わないようにと、ドウメキの冷静なつっこみがテオファンへ飛ぶ。ドウメキからしてみればなぜ自分が名指しなのか理解が出来なかった。こういうときは一度話し合ってから決めるべきではなかろうか。
「俺じゃ似合わない」
「……た、たた、たしか、に」
ドウメキの身長は軽く見繕って百八十以上はある。肩幅は広く、服越しでも筋肉がしっかりとついているのがわかるほどだ。その上、右目にはうっすらと傷跡が残り、とてもではないが「女子」と飾り立てるのは難しい。ドウメキが女装役をやるのが嫌だという感情を差し引いても、適任とは言い難かった。
テオファンはやれやれと肩を竦め、コレエストを見る。
「あのね」
「まだ何も」
「ぼ、ぼぼ、僕は君の提案に賛成だけど……この三人の中では、一番似合うのは……め、めめめめ明白、なんじゃ、ないかな」
身長が高すぎず。体格に恵まれすぎず。顔立ちも雄々しくない。……そういった点で評価をすれば、おのずと四つの目玉はひとりの人物へと集まっていく。
「……あのですね」
「コレエストも結構ガタイいいし、身長もテオファンより高い。この格好で女装は厳しいと思う」
「そ、そそ、そ、そう」
「……」
テオファンが下唇をかみしめる。本人もわかっているのだろう、この中では自分が適任だと。けれど、いろいろなものを考えて「はいやります」と手を上げるのが癪に障るのだろう。
「テオファンくん」
「テオファン」
両肩に手を置かれ、真剣な眼差しで見つめられる。どうやら、逃げ道はないようだ。
「……ああ。わかりましたよやりますよやればいいんでしょう!」
そうして「白痴の美少女・リリアーネ」は誕生した。
***
リリアーネこと女装したテオファンは立ち上がり、悶え苦しむヴィラジをよく観察した。あれが悪魔との契約で「不正」を働いた時の代償なのだろう。
ヴィラジがどういった対価を得ていたのかは謎だが、彼女は処女、あるいはその血を生贄にすることで悪魔から力を得ていた。名前は、たしか「ケルブ」と言っていたか。
部屋に漂う硫黄の臭いとチョークで描かれた魔法陣。それだけで悪魔及び黒魔術の痕跡はしっかりと残っている。その他、部屋の各所に散らばっている薬草や器具の数々――これだけあれば簡単に『告発』が行えるだろう。
テオファンはゆっくりと歩いていき、入ってきた入り口とは別の小さな扉の前に立った。ここには逃げ道も隠れ場所もない為、この扉をふさいでしまえばヴィラジの逃走ルートはおおよそ潰せる。また、部屋の広さとしても戦闘へ十分対応できる。
「……さてヴィラジ枢機卿。貴方が悪魔と契約していたのは明白ですね。異端審問官が、異端に堕ちようとは」
「……」
焼け爛れていないほうの眼で、じろりとヴィラジがテオファンを睨んだ。憎悪を乗せた梔子色に、翠は臆するどころか愉快そうに細められる。
「直にコレエスト司教……そして他の司教や枢機卿も到着します。私の同行人に指輪をひとつ渡しているので」
さらりとテオファンが手袋を外せば、細い指に四つ指輪がはまっていた。手首を少し返せば指輪から伸びた細い糸が白熱電球の光を反射してきらりと光る。この糸が、地上にいるであろう仲間へと繋がっているのだろう。すぐに地下下水道のこの部屋とたどり着けるように。
「観念することですね」
「……は、」
追い詰められたヴィラジ。彼女の肩が震え、深い茶の髪もそれに合わせて揺れる。うつむいた顔はテオファンからは見えないが、喉の奥で籠るように笑っているようだった。
「……」
ちろちろと天井の剥き出しの電球が揺れ、吊り下げられた肉の塊がひとつ、ぼとりと落ちた。水分を含んだ重量物が、床に転がった。
「私が、やすやすと捕まるとでも?」
「……すなわち、異端であることを認めると」
風が切り裂かれ、異端審問の鞭がしなる。打たれるたび、赤黒いものがこびりついた木目に新しい傷を作っていく。ぴんと張った鞭の金色の番へと神力が流し込まれ、ただの武器から悪魔殺しの凶器へと変化していく。
「悪魔に魂を売った貴方に、それを使う権利はない」
テオファンは片方の手袋も外し、神力の色を編み上げていく。ここは四方を壁に囲まれている為、テオファンにとっては有利なステージになるはずだ。
そしてリボンに隠すようにしてつけていた懐中時計の時刻を見れば、秒針がちょうど六の文字盤を過ぎているところだった。そろそろ予定通りの時間になる。そうすれば――
「テオファン!」
扉を叩く音。しめた、と思った瞬間にテオファンは指を動かし、あらかじめ内側の鍵にかけておいた糸を引っ張る。すると、鍵は簡単に開き、見慣れた灰色の頭が姿を現した。
「ドウメキさん!」
「だいじょうぶ――なんだこれは!?」
刀をすでに抜いて構えているドウメキは、室内の様子に目を見開いた。吊り下げられた死体、人間だった肉塊。一瞬だけくしゃりと顔を歪めたが、頭を振るとそれらから視線を外し――持っていた金色の指輪を掲げる。
「やっぱり地下下水道だったか!それに、そいつは……!」
「……あ、あああ、悪魔との、けけ、契約をしていたんですね」
ドウメキに続いてコレエストも姿を見せる。両手にはチャクラムが握りしめられ、陰鬱そうな顔は一層暗く、だがどこか愉快そうな表情をしていた。
「コレエスト……!」
崩れた顔を隠すこともせずにヴィラジは部屋に入ってきた元部下へ振り返り、歯を食いしばり怒りをあらわにした。この状況ならば、コレエストがヴィラジを裏切ったことは火を見るより明らかなことだろう。
「お前はいつも愚鈍で、みすぼらしくて、出来の悪い奴だった、それが、私を裏切るなんて、本当に救いようがない男ね!」
唾を吐きながらコレエストを罵り、鞭を威嚇のように振り回すヴィラジ。一方のコレエストは彼女をすこしばかり哀れな目で見、そして、笑った。
「……あんたの、やり方には……ほとほとうんざりしてたんだよ!お、おお女のくせに、ずけずけとしゃしゃり出てきやがって!異端審問だと口うるさいあんたを、し、しし審問にかけられるなんて……楽しくてしかたない!くたばれクソババア!!」
はじめて聞いたコレエストの大きな声にぎょっとするドウメキとテオファン。当の本人はくるくるとチャクラムを回すと、"異端審問"をするべく準備を始めていく。コレエストの緑目は今までにないくらいに愉悦で輝き、回したチャクラムの風圧で黒い髪は揺れた。
ヴィラジもぽかんと口を間抜けそうに開けていたが、コレエストの言葉を数秒遅れて理解すると――ヒールの踵で何度も地面を蹴り上げた。
「……き、きぃ、き……ぎぃぇええええーーーッ!きさま、気様貴様貴様ぁあああ!!よくも、私に、そんな口が利けるなぁああああ!?」
発狂したかのうように髪を振り乱し叫ぶ。女性の声量であることを忘れるほどに空気を揺らし、檻や鎖がビリビリと鳴る。焼けた半分の顔から血が滴り、彼女の足元に赤い斑点を作っていく。だが、三対一という圧倒的有利なこの状況でも、テオファンの頭は全くもって勝利を確信していなかった。なぜならば。
(ひどい、臭いだ……!)
最初に部屋に入った時に感じた硫黄の臭いが、今や鼻を麻痺させるような濃さへと変貌していた。それこそ、ヴィラジの香水の臭いすらわからなくなるほどに。
状況はドウメキもコレエストも同じなのか、二人とも戦闘態勢のまま全く動こうとしない。むしろ、部屋に入って来た時よりどんどん警戒を強めていっている。おそらく、二人とも目の前のヴィラジよりも"感じる気配"の方を恐れているのだろう。
「はー……はは、あっはぁ……ああ、ケルブ……ケルブ様、処女がいなくてごめんなさぁい……でもねぇ、あは、はは、あの男三人…………好きなように喰ってしまって構いませんから!あーははは!あははは!!ひ、ぃひ、はははは!!Dlrow taer gsi htfore lur!Tu oem ocesa elp!」
ヴィラジが両手を上げる。すぐ近くの魔法陣からどろどろとした黒いものが溢れ出す。硫黄の臭いが、獣の臭いが、耳鳴りがいっそうひどくなる。
(来る――!ヴィラジと手を結んでいた、悪魔が!)
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