ドスケベ刑務所♡雄っぱいライフ

ビビアン

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刑務所の1日編

支給品申請②

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「なんっ……だこれ!」

例にたがわぬ沈黙と痴漢行為に満ちた夕食を終えた後、受取窓口とやらに行って荷物を受け取った俺は思わず絶叫した。

受取窓口は一般棟の端っこにあり、小さい窓越しに係員から荷物を手渡される形式のやつだった。こういうところはアナログなんだな。
ユウが簡単な手続きを終わらせて支給品を受け取り、それをそのまま隣にいた俺に手渡す。ガサガサしたビニール袋に入れられたソレは、俺の想像以上に軽かった。
不審に思った俺はその場で開封し、そして冒頭の絶叫に至った。

これが一番無難なはずだと思って選んだスポブラタイプのメンズブラ。飾り気がなくて、布面積が広くて、地味な黒色の下着。……のはずだったんだが、材質というのを失念していた。

「薄っ。なんだこれ、うっす!」

「シコ、騒ぐのはその辺にしておいたら。減点食らうよ」

ユウがおっとりと言う。俺は諸々言いたいことを全てぐっと飲み込んで、とりあえず自分らの雑居房に帰ることにした。

19時の夕飯から21時の消灯にかけての2時間は、刑務所側から正式に決められた自由休憩である。昼間の労役時間もサボり放題で実質自由時間ではあるのだが、やはり大手を振って休めるというのは良いもので、一般棟のだだっ広い廊下のあちこちで囚人たちが晴れやかそうに談笑していた。パトロールしている看守たちも、よほどデカい声で騒いでいない限りはスルーしている。

石鹸の香りを漂わせている巨乳男性囚人たちを横目に俺らは雑居房に戻り――そして、俺は、支給されたばかりのメンズブラを着用してみせることになった。部屋長命令だった。
折角こっちのポイントを削って奢ってあげたんだから着て見せるのが筋でしょ、と言われてしまえば俺に拒否権はない。部屋には俺とユウ以外の囚人たちも全員揃っており、全員の視線を浴びながら生お着替えを披露する羽目になった。

「う……透けるな、これ……」

セパレート式の囚人服を上半身だけ脱いで、極薄スポブラを身に着ける。面白がった部屋員の一人がどこからかデカい鏡を持ってきて俺の姿を映した。

一言で言って、卑猥だった。

胸部全体をすっぽり覆うその布地はすっけすけの黒いメッシュ。仮にもブラを名乗るだけあってサポート力は抜群だが、無駄に雄っぱいの形を整えてくれている気がする。なんか、乳首がいつもより1~2センチほど前方に位置しているような……。深い襟ぐりからは谷間の線まで出てきている。ボールペンくらいだったら楽々挟めそう。
キツくはないが、ユルくもない。びっくりするほど体に馴染んでいたが、触覚的な違和感がない分視覚的な違和感が凄まじい。

が、ユウたちギャラリーは大いに盛り上がった。

「おおー……これはなかなか」

「似合ってるよシコちゃーん!」

俺を囲んで指笛を吹いてはやし立て、写真を撮るジェスチャーをする。部屋長のユウも咎めるどころか、満足そうに笑って拍手なんぞをしてやがった。こいつら全員100ポイントずつ減点されねぇかな。

「な、なぁ、ユウ。……もう脱いでいいか、これ」

気恥ずかしさを堪えて、これを新米に恵んでくださった部屋長様に懇願する。だが、

「駄目だよ」

と、即答で却下された。

「これは勝負下着ではなくて普段使い用の下着なんだから、これからずっと着てなきゃダメだよ」

「これを!? ずっと!?」

「そうだよ」

ユウは大真面目な顔で頷く。まさか俺で遊んでいるのでは……という考えが脳裏をよぎったが、彼は真剣そうだった。

「実はね、シコが爆乳なのにノーブラで過ごしているのがずっと気になってたんだよ」

「ば、爆乳って言うな。確かに人よりデカいけどさぁ……」

「シコの雄母乳がなかなか出ないのも、もしかしたら常日頃からのメンテナンスが足りてないんじゃないかと思ってさ。何としてでもコクヨウ様が戻ってくる前に出るようにしてあげなきゃと思って、シラノ様にも相談したんだよ」

シラノ様。また知らない名前が出て来た。
俺がちょっと戸惑っているのを悟ったのか、部屋員の一人が耳打ちしてくれた。

「副看守長だよ。ユウはシラノ様のお気に入りなんだ」

なるほど。……いや、なるほどじゃない。副看守長っていったら今の現場トップじゃないか。なんて人になんて相談してるんだユウさんよ。

「そしたらね」

ユウが部屋員の一部に目くばせする。すると、部屋長のどんな意図を察したのか、部屋員たちが俺の両腕を左右からがしっと掴んできた。

「部屋のみんなで協力して、新入りの胸を躾けてあげたらいいだろうって」

「し」

躾。
突然出て来た不穏当な言葉に、俺は大層動揺した。
両脇からの拘束から抜け出そうとするがビクともしない。そんな俺の目前に、ユウがゆっくりと歩み寄ってくる。

いつの間にか、ユウの表情は真剣を通り越して悲壮なものになっていた。この手の表情はガキの頃に見覚えがあるぞ。クラスの問題児に手を焼いて、だんだん追い詰められていく学級委員長のそれだ。そういえば、ユウは優等生のユウだった。

「ええと、ユウ……ユウさん……?」

「いきなりキツいこと言ってごめんね、シコ。びっくりしちゃったよね。でも、コクヨウ様は部屋単位で連帯責任をとらせるのが好きなお方なんだ。シコの無駄乳を放置していたら、僕らも無事では済まされない」

「無駄乳」

俺はその単語に反応したが、俺以外の奴らは連帯責任という言葉に震え上がった。

なんだか、その震え上がり方が尋常ではなかった。喉奥で詰まるような短い悲鳴を上げて、全身ガタガタ震えてて。まるでデカいトラウマを刺激されたみたいな……。そういやこの部屋、八人部屋なのに俺含めて七人しかいない。残る一人は、俺が収監された日の前日に懲罰房行きとまま帰ってきていないとかなんとか。もしかして、そのあたりが関係しているのか?
穏健派の副看守長が統治している期間なのに一週間以上も懲罰房にぶちこまれるって、どんだけ筋金入りの問題児なんだ?

「それに、シコ自身のためでもあるよ。このままだとシコ本当に危ないんだよ。だから……ね?」

ユウが両手を伸ばして、メッシュに包まれた俺の胸をむぎゅっと掴んだ。わりと遠慮も容赦もない手つきだった。

「特訓だよ、シコ。コクヨウ様が帰ってくるまであと一週間。その時までに少しでも雄っぱいミルクが出るようにがんばろ? 僕らも協力を惜しまないから! ねっみんな」

俺以外の全員が賛同の声を上げた。なんだか悲壮な覚悟が宿った声色だった。

拒否権があるとは思えなかった。
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