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4・処女喪失

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ずるり、と触手が動いた。
先ほどと同じように、手足に幾重にも触手が巻きついた状態で仰向けにされる。腰のあたりに新しく触手が巻きつき、ぐっと持ち上げられた。ちょうど、アーネストへ向かって股間を強調している形になる。

また、ごく細い触手が何本も伸びてきて、リオの尻の割れ目に入り込み、双丘を左右へ割り開く。それに従ってほんの少しだけ肛門がゆるみ、ひんやりとした外気を感じた。

屈辱感でいっぱいだったリオの内心に、だんだん、恐怖が湧いてきた。

孕む身体にされる。雌にされる。犯されたがるようにされる。

リオは性的な事柄についてあまりにも無知だった。犯されるといっても、男である自分が具体的にどんな目に遭うのかすらよくわからない。

だが……幸か不幸か、リオはそれなりに聡明で察しが良かった。

(まさか……!)

ざあっと血の気が引く。

(そんな、まさか、『そこ』で……?)

アーネストが再びリオの恥部へ手を伸ばし、尻の窄まりを指先でくるくると撫でた。冷たい声の割にその手つきは妙に優しく、丁寧で、秘められた蕾を丹念に丹念に解きほぐしていく。
やがて、つぷり、と一本の指が尻の穴に潜り込んできた。

リオの中で、本能的な嫌悪感が爆発した。

「嫌だ!!」

リオは抵抗した。身体をよじり、手足の拘束から抜け出そうと暴れた。しかし、すべての動きは幾重にも絡みつく触手に柔らかく吸収され、ほんの少しもがいた程度に抑えられてしまった。

抗えないリオの体内を、アーネストの指が無遠慮に暴いていく。

「嫌だ、やめろ。何をする気だ……!」

「孕める身体になる前に、まずは性交慣れする必要がある。民の怒りと子種を受け止める雌は、よく調教された淫乱である方が都合がいい」

「……いや……だ……」

「お前の『ここ』は膣となる。予定通りにいけば、お前は新政府公認の性奴隷として、毎日何十人もの男に穴を使っていただくようになるんだからな」

「やめてくれ……」

「せめてもの情けだ。最初は俺が犯してやろう。一生に一度の初体験を、人間ではなく調教用の触手に喰われたくはないだろう?」

「いやだ……!」

リオの拒絶を、アーネストが聞くわけがなかった。
穴の中で指を曲げられたり、抜き差しされたり。触手の粘液を指先に絡めているらしく、くちゅくちゅという湿った音が聞こえてきた。

リオはもはや声すら上げられなかった。

(気持ち悪い……気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!)

歯を食いしばって顔を背け、固く目を瞑った。
自分の身体の、自分すら触れたことがない場所を、初めて出会った男に良いように弄られている。痛みはないが、とにかく気持ちが悪くて恐ろしかった。

(あぁ、誰か……兄上さま……!)

脳裏を、優しい異母兄たちの顔がよぎった。
いくら「本当は悪逆非道の王子だった」と告げられても、彼らの罪を償うと誓ったとしても、リオの中では相変わらず優しくて頼りになる憧れの兄たちなのだ。
この恐ろしい状況下で、とっさに思い浮かべてしまう程度には。

(兄上さま……!)

後ろをいじってくる指は、いつの間にか三本に増えていた。だいぶ緩んできた肉壁をぐぽっと拡げられ、リオは息を呑んだ。

「ひっ……!?」

「初モノのわりにほぐれるのが早いな。本当に処女なのか? 実は昔から尻穴をほじって遊んでいたんじゃないのか?」

「違う……!」

「まぁ、お前の自慰経験なんてどうでもいいが」

ずるりと全ての指が引き抜かれた。下腹部の違和感がなくなり、リオはほっと息を吐く。
しかし、すぐさま熱い何かを尻穴にあてがわれ、リオは目を見開いた。
アーネストが黒衣の前をくつろげて、赤黒い怒張をリオの後ろに当てている。リオのモノとは全く違う、禍々しいほど巨大な男性器。

リオは顔を引きつらせた。

「な……貴様、まさかそれを」

「本来ならばもう少し拡張してから本番に至る方が良いのだが、処女喪失しないと効かない術式もいくつかあるのでな」

「いやだ……無理だ! そんなの、入らない!」

「安心しろ。万が一腹が破れたらちゃんと治癒してやるさ」

「やめろ、アーネスト! いやだ、怖い、無理だ、やめてくれ……!」

必死の懇願も虚しくーーアーネストの性器が、リオの後穴へめりめりと押し入ってきた。

「ぎゃああああああっ!!」

激痛がリオの身体を駆け巡る。事前に多少は解されたとはいえ、まだまだ未成熟だった蕾が強引に暴かれていく。
異物を排そうと、リオは無意識の内に尻穴へ力を込めた。けれど、その途端、今まで拘束役に徹していた触手が何本か動き、リオの陰茎へ巻き付いた。
きゅっきゅっと、絶妙な力加減で性器を刺激される。身体中を駆け巡る痛みの中に、ぞわぞわとした快楽が混ざる。

性交どころか自慰すらしたことがなかったリオには、たったそれだけでも刺激が強すぎた。生まれて初めての性的快楽に力が抜け、ゆるんだ肉筒の奥深くまでアーネストの侵入を許してしまう。

「あっ……ああっ……!?」

「……ふん、今日はだいたいこの辺りか。これより奥は追々拡げることにしよう」

体内へ侵入する動きが止まった。リオは、恐る恐る結合部を見る。
アーネストの陰茎は、まだ全て収まりきっていなかった。だがリオの胎はもう限界だ。先ほど指で暴かれていたあたりまでは、みっちりと男の肉棒が詰まっている。

「これより奥……だと……!?」

「そうだ。いずれはこの辺りまで男根が入り込んで、外側からでもその形がうっすらと見えるまでになる。奥深くまで抜き差しされるたびに、腹がボコボコと出っ張るんだ」

アーネストはそう言いながらリオの薄い腹を撫でた。もしリオが女であったなら、子供を宿したときに膨れるであろう箇所を。

「そ……そんなところまで入れられたら、わたしは、壊れてしまう……!」

「壊れんようにお前の身体を作り替えるのが、調教役の俺の役目ってわけだ。さて、リオ、処女喪失の感想は?」

揶揄する口調で問われ、リオは顔を歪めた。
呼吸を整えれば、痛みや異物感をだいぶ緩和できる。おぞましい触手に拘束され穢らわしい魔術師と身体を繋げているという現実を跳ね除けるように、リオは気丈に答えた。

「……下衆め。どこまで人を愚弄すれば、ッ、気が、済むんだ……!」

「いやだ怖いと喚いておきながら、少しでも余裕が出れば高潔な騎士様気取り……か。まぁ、初日から恐怖で廃人化するより何段階かマシだな」

「騎士様気取りではない! わたしは正真正銘の騎士だ! こんな……こんな、卑俗な仕打ちに負けるものか!」

すると、アーネストが高らかに笑い始めた。嗜虐的な哄笑だった。

「はははははは! いいぞ。それでこそお前だ!」

「わ、わたしの覚悟を笑うな!」

「笑うとも。これが笑わずにいられるか! いいぞ、その心意義に免じて、今日だけは特別に雄として絶頂することも許してやる」

その言葉に呼応して、リオのペニスに巻きついていた触手が形を変えた。
何本もの細い触手が融合して一本の筒状触手になり、リオのペニスを根元まで飲み込む。筒の内側には短い触手がびっしりと生えていて、それらが一斉にうねって亀頭や裏筋をまんべんなく弄り始めた。

強烈な刺激に、リオの頭が真っ白になる。腹の奥から何かがせり上がってきて、そして弾けた。

「あああああっ!?」

リオの身体が弓形に反った。筒状触手の中でペニスがどくどくと脈打っているのを感じる。
しかし、触手の動きは止まらない。それどころか、より一層激しくリオのペニスを責め立てる。すでに達しているというのに、まだ搾り取ろうとしてくる。

「や、やだ! とめてくれ! 陰茎が、どうにかなってしまう……!」

「前より後ろの心配をした方が良い。……動くぞ」

「あああっ」

アーネストが両手でリオの細腰を掴み、乱暴な抜き差しを開始した。
ギリギリまで引き抜かれては、再び奥まで打ち込まれる。激しい動きの隙間から粘液や空気がが混ざり込んで、ぐっぽぐっぽと、耳を覆いたくなるような卑猥な音が響いた。
そうしている間にも、筒状触手は搾精刺激を続けてくる。内側の微小触手が高速振動したり、筒全体がぎゅうぎゅうと捻れてペニスを締めつけたり。

リオは立て続けに精を吐いた。絶頂してから落ち着く間も無く次の絶頂が来てしまう。
快楽以外の感覚が全て吹き飛んだ。後ろに異物を受け入れている激痛すら無くなってしまった。むしろ、アーネストが奥をえぐるたびに小さな快楽の波がやってくる。

「あっ、あっ、あっ」

生理的な涙がこぼれ、止まらなくなった。
泣きじゃくりながらリオは暴力的な快楽を受け入れる。

「あっ、クる……! また、何かが来る……!」

「そういう時は『イく』と言うんだ」

「イく……イッてしま、う、ぁ、あああああっ!」

前から後ろから犯され続け、リオの精液がとうとう尽きた。
快楽は際限なく高まっていくのに、放出する手段がない。昂ったまま降りられなくて、リオは全身を痙攣させた。

「……初体験でこんなに乱れるとは。淫売の素質があるな、お前」

耳許でアーネストが囁くが、今のリオには侮辱の言葉が届かない。

「どうしても痛がるようなら催淫魔術で強制的に発情させてやろうと思っていたが、まったく必要なかったな。……ああ、面白い。これからどうなるのか楽しみだな、リオ」

この快楽地獄はこれからも続く。

そう理解して、リオは絶望するとともに幾度目ともしれない絶頂を迎えた。
射精を伴わない、雌としての絶頂だった。
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