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混乱
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山崎了は混乱していた...。
この春、念願の警察官になれた山崎は市民の平和を守るべく、せっせと自転車を漕いでいた、そこへ誰かの助けを呼ぶ声が聞こえてきたのだ...。
「だれか!だれかそいつを捕まえて!」
なに?ひったくりか?まかせろ、俺は背丈こそないが、俊足でならした足なら新人研修の時も、みんなから羨望の眼差しで見られたのだ、試験官の方からも
「山崎君はテストはいまいちだが足はめっぽう速いね、うんうん、現場向きだよ。」
と、褒めちぎられたくらいなのだ。
そして、現場に出てまだ1週間にも満たないというのに、この事件じゃないか!
もしも、お手柄という事になったら?
いきなり昇進という事もあるかもしれない!
いや...そこまでいかなくても、かなり印象はアップするにちがいない。
などと内心ほくそ笑んで居たのだが...どうも勝手がちがう...。
なんとも言えない違和感を払拭できずにいた。
「は、はやく!逃げちゃうじゃない!おねがい!絶対につかまえて!」
「わ、わかった」
被害者の指さす方に確かに逃亡者が走っているのを確認できた、慌てて後を追うのだが...
え?被害者?あの人が被害者で、今逃げてるのが加害者でいいんだよな?
山崎はあたりまえの事を自分に言い聞かせた。
「は、はやく!」
そう言って山崎を急かす男は中肉中背で髭は伸ばし放題、しかも上下色違いの汚れたジャージを着ていて、まるで...ホームレスの様ないでたちなのだ。
しかも、さきほどから、女性の言葉を使っているので、そちらの方も色違いなのかも知れない...。
いや、別にホームレスで、そちらの方面の方だからどうというわけではないが...同じ市民ではあるし...。
しかし、逃げてる方の女性の方が、遠目にも身なりが良いのがわかる。
紺のタイトなスーツに身を包んでいる出で立ちとそのスーツに見劣りしないプロポーションは、どこかの社長秘書を連想させた。
女性が策のある公園を横断して逃げたので仕方なく自転車から降りて追いかけた。
「ま、まちなさい!」
しかし
一応大声で言ってみるのだが、いまいち釈然としないのか自慢の瞬足も本気を出せずにいた。
女性は後ろ姿しか見えないが、かなり整ったプロポーションで、ハイヒールを履いてるにも関わらず、未だに山崎が追いつけないところを見ると、山崎が本気を出してない事を差し引いても、かなり運動神経が良いのではないかと思われた。
「ちょっと、きみ!待ちたまえ!」
それでも、男と女のスタミナの差なのか、ハイヒールと革靴の差なのか、徐々に差は縮まってきて追いつきそうになった。
女性は追いつかれそうになった事に気がついた途端に焦りからかバランスを崩していきなり転んでしまった。
「くっそう!」
口の悪い女性らしい...。
「うわっ」
いきなり逃亡者に転ばれた山崎は勢い余って女性に抱きつくような形になった。
こ、これは!...なんていうんだっけ?
そ、そうだ、不可抗力!不可抗力だ!
「ご、ごめん!今のは不可抗力で...。」
え?俺の声ってこんなに甲高い声だっけ?
「そうかい不可抗力かい...それなら仕方ないな。」
「え?なんで?おれが?」
山崎が言い訳を言っている間に
その警察官の服を着た男は悠然と立ち上がって言った。
「じゃあ、お詫びにこの身体をもらっていくぜ?いいな?」
山崎は一瞬頭が真っ白になった...
ん?もらっていく?俺の身体を?
どうやって?おれはここに...
いや、これは...俺じゃない!
これは...あ、そうか...え?なんで?
山崎は混乱した頭を整理しようとした...。
しかし無理だった!
そして混乱したまま叫んだ!
「おい!俺をかえせ!」
混乱している割には、的を射る言葉が出てきた。
「やだね」
カンタンに断わられた。
「貴様!何をしたかわかってるのか!」
「おまえこそ何をされたかわかってるのか?」
ぐぅ...。
ぐぅの音もでないとはこのことだ。
多分、身体を何らかの方法でのっとられた!それはわかる。しかし、なんでそんな事ができるのかなんて、わかるわけがない!
「うるさい!とにかく返すんだ!」
山崎は...いや既に女性の身体になっているので便宜上山崎ちゃんと呼ぶ事にしよう...
山崎ちゃんは旧山崎に飛びかかろうとした。
と、その時、耳を疑う言葉が発せられた。
「.......撃つよ?」
旧山崎は真顔でとんでもないことを言い放った。
「はっ?.......どういう.....」
「もし、力ずくで取り返そうとしたら撃つっていってるんだよ」
「な、な、なんだと!」
ふ、ふ、ふざけるな!
俺の身体をのっとってるだけでもとんでもないのに!
その上、発砲するだと!?
、、、、俺のせいになるじゃないか!
いやいや、そんなことは重要ではない、あまりの事に気が動転してるんだ。
山崎ちゃんは自分に言い訳すると、キッと旧山崎を睨んだ。
旧山崎は不敵な笑みを浮かべて拳銃のホルダーに手をかけた......その時。
「こんのーーー!!!」
旧山崎が気がついた時には遅かった。
例のホームレスが完全に死角から旧山崎にタックルを決めたので、二人共もんどりうって倒れた。
「ぐっ....ぐうう」
「イタタタタ」
2人の様子を見ていた山崎ちゃんはもちろんホームレスを応援していたのだが、
意に反して旧山崎が起き上がった
「ありがとう(ハァハァ)お巡りさん.......ようやく追いついたわ(ハァハァ)こういう場合.......撃っていいのよね?なんていうんだっけ?ほら?正当防衛でしょ?」
旧山崎の口調は女性のものだった.......
まさか.......またまた入れ替わったのか?
山崎は頭の中は混乱を極めた。
山崎ちゃんが混乱してフリーズしている間に旧山崎はホームレスに銃口を向けた
「おいやめろ!それは過剰防衛になる!」
声の口調と、今までの経緯で、おそらく中身が変わったであろう旧山崎を山崎ちゃんはたしなめた。
そのときホームレスがのっそりと起き上がって言った
「え?なに?なにやってるのよ!そいつが犯人よ!偽物よ!騙されないでお巡りさん!」
え?なんだと?
そんな事が...?
いや、たしかにこうなると、見た目では判断できない...どちらかが犯人でどちらかが被害者...。
でもどうやったらそれを知る事ができる?
俺はじっちゃんが名探偵でも、見た目が子供、頭脳は大人でもない...いや見た目は童顔だから子供っぽいとはよく言われるが.......。
「嘘つき!嘘つきはドロボウよ!そしてドロボウは死刑よ!」
結構めちゃくちゃな事をおっしゃる
「いや、ドロボウだから死刑って事はないでしょ?」
山崎ちゃんはたしなめた
「他の国なら死刑よ!しかも、人の身体を盗むなんて!人殺しより悪いわ!」
それは、なんとなくわかるが.......ん?
人の身体を.......盗む?
事ここに至って漸く山崎ちゃんにも全貌が見えてきた。
おそらく、今の俺、つまり紺のリクルートスーツに身を纏った女性がこの目の前のホームレス風の男に身体を乗っ取られたのではないか?
すかさずホームレスが口を開く
「みたでしょ?すぐに拳銃を振りかざして殺す殺すって!どう考えてもそいつが犯人でしょ!」
まぁ普通ならそうだが...普通なら。
旧山崎はふぅっと、空にため息をつくと、拳銃を山崎ちゃんに向けた。
山崎ちゃんはたじろいだ...まさか.......やっぱりこいつが犯人なのか?
「はい、返すわ」
旧山崎はそう言うと拳銃をくるりと回して銃口を自分に向けて渡そうしている、敵意はないという表明なのだろう。
「どうせ安全装置かなにか掛かってるんでしょ?あなたに返す、そのかわりその男を逃がさないで」
旧山崎は拳銃を山崎ちゃんに渡しながら話し続ける。
「そして、もしも、もう一度、私と入れ替わろうとしたら......私ごと撃って、あんな気持ちは2度とゴメンだもの...」
山崎ちゃんは拳銃を受け取りながらゆっくりと頷いた。
それを聞いていたホームレスはゆっくりと口を開いた
「なんだよ、そんなに俺の身体が嫌かよ、へっ!そういうオマエさんみたいな気ぐらいの高い女と入れ替わってめちゃくちゃハメを外そうとおもってたのになぁ」
もはや、嘘は通じないと思ったのか、女口調をやめたホームレスはニタニタと笑いながら旧山崎にそう言い放つと目線を山崎ちゃんに向けた。
「おい、あんた。まさか丸腰の相手を撃たないよな?それってたしか.......警察の規約違反だよな?」
そうだ.......そういえば、教官から何度も釘を刺されてたっけ?
あくまでも拳銃は威嚇のみ、よほどの緊急事態でもないかぎり拳銃は抜くな。
仮に抜くような事があっても安全装置は外すなよ。
そして発砲は絶対にするな!
場合によってはその場で警官を辞めてもらう.......と。
「そうだった、たしかに言われてた」
そう言いながら、山崎ちゃんはゆっくりと拳銃の安全装置を外した。
「え?......おい、なにしてるんだ?」
「なにって?」
パーーーン!
真っ青な空がまるで運動会の徒競走の合図の様な印象を銃声に与えた。
が、偽物ではない。
「逃げたら撃つ、脅しではない」
「・・・正気か?」
ホームレス風の男の声は心做しか震えていた。
「これは非常事態だ、俺はそう判断した、これ以上の非常事態はない」
もはや、その目に迷いも逡巡もなかった
ホームレスは観念した
この時の判断で後に山崎ちゃんは昇進することになる。
この春、念願の警察官になれた山崎は市民の平和を守るべく、せっせと自転車を漕いでいた、そこへ誰かの助けを呼ぶ声が聞こえてきたのだ...。
「だれか!だれかそいつを捕まえて!」
なに?ひったくりか?まかせろ、俺は背丈こそないが、俊足でならした足なら新人研修の時も、みんなから羨望の眼差しで見られたのだ、試験官の方からも
「山崎君はテストはいまいちだが足はめっぽう速いね、うんうん、現場向きだよ。」
と、褒めちぎられたくらいなのだ。
そして、現場に出てまだ1週間にも満たないというのに、この事件じゃないか!
もしも、お手柄という事になったら?
いきなり昇進という事もあるかもしれない!
いや...そこまでいかなくても、かなり印象はアップするにちがいない。
などと内心ほくそ笑んで居たのだが...どうも勝手がちがう...。
なんとも言えない違和感を払拭できずにいた。
「は、はやく!逃げちゃうじゃない!おねがい!絶対につかまえて!」
「わ、わかった」
被害者の指さす方に確かに逃亡者が走っているのを確認できた、慌てて後を追うのだが...
え?被害者?あの人が被害者で、今逃げてるのが加害者でいいんだよな?
山崎はあたりまえの事を自分に言い聞かせた。
「は、はやく!」
そう言って山崎を急かす男は中肉中背で髭は伸ばし放題、しかも上下色違いの汚れたジャージを着ていて、まるで...ホームレスの様ないでたちなのだ。
しかも、さきほどから、女性の言葉を使っているので、そちらの方も色違いなのかも知れない...。
いや、別にホームレスで、そちらの方面の方だからどうというわけではないが...同じ市民ではあるし...。
しかし、逃げてる方の女性の方が、遠目にも身なりが良いのがわかる。
紺のタイトなスーツに身を包んでいる出で立ちとそのスーツに見劣りしないプロポーションは、どこかの社長秘書を連想させた。
女性が策のある公園を横断して逃げたので仕方なく自転車から降りて追いかけた。
「ま、まちなさい!」
しかし
一応大声で言ってみるのだが、いまいち釈然としないのか自慢の瞬足も本気を出せずにいた。
女性は後ろ姿しか見えないが、かなり整ったプロポーションで、ハイヒールを履いてるにも関わらず、未だに山崎が追いつけないところを見ると、山崎が本気を出してない事を差し引いても、かなり運動神経が良いのではないかと思われた。
「ちょっと、きみ!待ちたまえ!」
それでも、男と女のスタミナの差なのか、ハイヒールと革靴の差なのか、徐々に差は縮まってきて追いつきそうになった。
女性は追いつかれそうになった事に気がついた途端に焦りからかバランスを崩していきなり転んでしまった。
「くっそう!」
口の悪い女性らしい...。
「うわっ」
いきなり逃亡者に転ばれた山崎は勢い余って女性に抱きつくような形になった。
こ、これは!...なんていうんだっけ?
そ、そうだ、不可抗力!不可抗力だ!
「ご、ごめん!今のは不可抗力で...。」
え?俺の声ってこんなに甲高い声だっけ?
「そうかい不可抗力かい...それなら仕方ないな。」
「え?なんで?おれが?」
山崎が言い訳を言っている間に
その警察官の服を着た男は悠然と立ち上がって言った。
「じゃあ、お詫びにこの身体をもらっていくぜ?いいな?」
山崎は一瞬頭が真っ白になった...
ん?もらっていく?俺の身体を?
どうやって?おれはここに...
いや、これは...俺じゃない!
これは...あ、そうか...え?なんで?
山崎は混乱した頭を整理しようとした...。
しかし無理だった!
そして混乱したまま叫んだ!
「おい!俺をかえせ!」
混乱している割には、的を射る言葉が出てきた。
「やだね」
カンタンに断わられた。
「貴様!何をしたかわかってるのか!」
「おまえこそ何をされたかわかってるのか?」
ぐぅ...。
ぐぅの音もでないとはこのことだ。
多分、身体を何らかの方法でのっとられた!それはわかる。しかし、なんでそんな事ができるのかなんて、わかるわけがない!
「うるさい!とにかく返すんだ!」
山崎は...いや既に女性の身体になっているので便宜上山崎ちゃんと呼ぶ事にしよう...
山崎ちゃんは旧山崎に飛びかかろうとした。
と、その時、耳を疑う言葉が発せられた。
「.......撃つよ?」
旧山崎は真顔でとんでもないことを言い放った。
「はっ?.......どういう.....」
「もし、力ずくで取り返そうとしたら撃つっていってるんだよ」
「な、な、なんだと!」
ふ、ふ、ふざけるな!
俺の身体をのっとってるだけでもとんでもないのに!
その上、発砲するだと!?
、、、、俺のせいになるじゃないか!
いやいや、そんなことは重要ではない、あまりの事に気が動転してるんだ。
山崎ちゃんは自分に言い訳すると、キッと旧山崎を睨んだ。
旧山崎は不敵な笑みを浮かべて拳銃のホルダーに手をかけた......その時。
「こんのーーー!!!」
旧山崎が気がついた時には遅かった。
例のホームレスが完全に死角から旧山崎にタックルを決めたので、二人共もんどりうって倒れた。
「ぐっ....ぐうう」
「イタタタタ」
2人の様子を見ていた山崎ちゃんはもちろんホームレスを応援していたのだが、
意に反して旧山崎が起き上がった
「ありがとう(ハァハァ)お巡りさん.......ようやく追いついたわ(ハァハァ)こういう場合.......撃っていいのよね?なんていうんだっけ?ほら?正当防衛でしょ?」
旧山崎の口調は女性のものだった.......
まさか.......またまた入れ替わったのか?
山崎は頭の中は混乱を極めた。
山崎ちゃんが混乱してフリーズしている間に旧山崎はホームレスに銃口を向けた
「おいやめろ!それは過剰防衛になる!」
声の口調と、今までの経緯で、おそらく中身が変わったであろう旧山崎を山崎ちゃんはたしなめた。
そのときホームレスがのっそりと起き上がって言った
「え?なに?なにやってるのよ!そいつが犯人よ!偽物よ!騙されないでお巡りさん!」
え?なんだと?
そんな事が...?
いや、たしかにこうなると、見た目では判断できない...どちらかが犯人でどちらかが被害者...。
でもどうやったらそれを知る事ができる?
俺はじっちゃんが名探偵でも、見た目が子供、頭脳は大人でもない...いや見た目は童顔だから子供っぽいとはよく言われるが.......。
「嘘つき!嘘つきはドロボウよ!そしてドロボウは死刑よ!」
結構めちゃくちゃな事をおっしゃる
「いや、ドロボウだから死刑って事はないでしょ?」
山崎ちゃんはたしなめた
「他の国なら死刑よ!しかも、人の身体を盗むなんて!人殺しより悪いわ!」
それは、なんとなくわかるが.......ん?
人の身体を.......盗む?
事ここに至って漸く山崎ちゃんにも全貌が見えてきた。
おそらく、今の俺、つまり紺のリクルートスーツに身を纏った女性がこの目の前のホームレス風の男に身体を乗っ取られたのではないか?
すかさずホームレスが口を開く
「みたでしょ?すぐに拳銃を振りかざして殺す殺すって!どう考えてもそいつが犯人でしょ!」
まぁ普通ならそうだが...普通なら。
旧山崎はふぅっと、空にため息をつくと、拳銃を山崎ちゃんに向けた。
山崎ちゃんはたじろいだ...まさか.......やっぱりこいつが犯人なのか?
「はい、返すわ」
旧山崎はそう言うと拳銃をくるりと回して銃口を自分に向けて渡そうしている、敵意はないという表明なのだろう。
「どうせ安全装置かなにか掛かってるんでしょ?あなたに返す、そのかわりその男を逃がさないで」
旧山崎は拳銃を山崎ちゃんに渡しながら話し続ける。
「そして、もしも、もう一度、私と入れ替わろうとしたら......私ごと撃って、あんな気持ちは2度とゴメンだもの...」
山崎ちゃんは拳銃を受け取りながらゆっくりと頷いた。
それを聞いていたホームレスはゆっくりと口を開いた
「なんだよ、そんなに俺の身体が嫌かよ、へっ!そういうオマエさんみたいな気ぐらいの高い女と入れ替わってめちゃくちゃハメを外そうとおもってたのになぁ」
もはや、嘘は通じないと思ったのか、女口調をやめたホームレスはニタニタと笑いながら旧山崎にそう言い放つと目線を山崎ちゃんに向けた。
「おい、あんた。まさか丸腰の相手を撃たないよな?それってたしか.......警察の規約違反だよな?」
そうだ.......そういえば、教官から何度も釘を刺されてたっけ?
あくまでも拳銃は威嚇のみ、よほどの緊急事態でもないかぎり拳銃は抜くな。
仮に抜くような事があっても安全装置は外すなよ。
そして発砲は絶対にするな!
場合によってはその場で警官を辞めてもらう.......と。
「そうだった、たしかに言われてた」
そう言いながら、山崎ちゃんはゆっくりと拳銃の安全装置を外した。
「え?......おい、なにしてるんだ?」
「なにって?」
パーーーン!
真っ青な空がまるで運動会の徒競走の合図の様な印象を銃声に与えた。
が、偽物ではない。
「逃げたら撃つ、脅しではない」
「・・・正気か?」
ホームレス風の男の声は心做しか震えていた。
「これは非常事態だ、俺はそう判断した、これ以上の非常事態はない」
もはや、その目に迷いも逡巡もなかった
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