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まぁ、早く家に帰るか……。1度あるものは2度あるとも言わなくもないし、次はきっと契約を結んでみせるんだから!
家まで駆け足で帰る事にしよう。既に夕方だ。家族は心配しているだろうし。
私の家は村の端っこにあるため迷宮から徒歩20分ほどの距離にある。走ったら6~8分で着くでしょ。
……3分後……
ゼーハーゼーハー
3分間走ったトゥニは膝に手を着いて激しく息をしている。
こんなに体力がないなんて、やっぱり体力作りしなきゃいけないかなぁ……。
まぁとにかく歩こう……。
少し息を整えたトゥニは家に向かって歩き出した。
トュニが歩き出して10分、あと少し歩けば家に到達する距離に彼女はたどり着いた。夕方の暗闇の中薄く光る我が家が少し遠くに見える。見慣れた光に少しずつ歩く速度が早くなる。
遂に家の前にトゥニはたどり着いた。
「スー……かあさーん!!とうさーん!!ただいまーーー!!」
両親に家のドアを開けて大声で帰宅したと叫んだ。もちろん、大声で。
「おかえり!」
母の声が足音ともに近づいてくる。
リビングのドアから顔を出したのは向日葵のような髪の色の中年の女性。女性の肩には10cmはあるだろうミツバチが止まっている。彼女は私の母だ。ちなみにミツバチの名はハニーという。
「いつもより遅かったわね。どうかしたの?心配したのよ?」
「迷宮でちょっと、迷っちゃってさ」
「そうなの、どこも怪我はないわね?」
「うん」
母はやはり心配していたようだ。私がちゃんと帰ってきた事に安心している。
「トゥニーーーー!!!!」
上から声がしたと思ったら、ドダダダダと階段をかけ下りる足音がする。父だ。
「心配したんだぞ!!!」
父は私を見つけるなり、駆け寄りしっかりと抱きしめた。どうやらかなり心配していたようだ。
まぁ父が私に執着する理由は他にもあるのだけど。
「ん?トゥニ、この糸は……」
父は抱きしめている手を弛め、一点を凝視している。
「なに?どうしたの?」
その視線を辿るとどうやら父は私のバッグを見ているようだ。
よく見るとバッグには蜘蛛のはく糸のような物が付いていた。
「……なにこれ」
トゥニはバッグをゆっくりと床に下ろした。すると、バッグの口から先程助けた薄紫色の蜘蛛がひょっこりと顔を出した。
「あら!トゥニ、あなた契約蟲を見つけてきたのね!」
「違う、この個はさっき怪我しちゃってたから助けた子で……。着いてきちゃったんだ」
「そうなの、でもこんなに懐いているのだから契約してしまえばいいんじゃない?」
まぁ、確かにさっき少し考えたことだけど……。……でも、そっかこれが運命?なのかもしれないもんね。
「じゃあ、私この子と契約する!」
確か契約方法は……確か、自らが使用する契約印を決めてそれを思い浮かべながら契約する蟲に触れる。それが蟲に契約を持ちかけるということ。
もし蟲がその契約を受け入れれば、その体に契約印が刻まれ契約は成功だったはず。
契約印は学校の授業で考えた物があったのだけど、玄関の花瓶にいけてある濃紫の小さな花が目に飛び込んできた。名も知らない花だけど、とても気に入ったのだ。これにしよう。
トュニは契約の手順の通り、蜘蛛に契約を持ちかけた。
家まで駆け足で帰る事にしよう。既に夕方だ。家族は心配しているだろうし。
私の家は村の端っこにあるため迷宮から徒歩20分ほどの距離にある。走ったら6~8分で着くでしょ。
……3分後……
ゼーハーゼーハー
3分間走ったトゥニは膝に手を着いて激しく息をしている。
こんなに体力がないなんて、やっぱり体力作りしなきゃいけないかなぁ……。
まぁとにかく歩こう……。
少し息を整えたトゥニは家に向かって歩き出した。
トュニが歩き出して10分、あと少し歩けば家に到達する距離に彼女はたどり着いた。夕方の暗闇の中薄く光る我が家が少し遠くに見える。見慣れた光に少しずつ歩く速度が早くなる。
遂に家の前にトゥニはたどり着いた。
「スー……かあさーん!!とうさーん!!ただいまーーー!!」
両親に家のドアを開けて大声で帰宅したと叫んだ。もちろん、大声で。
「おかえり!」
母の声が足音ともに近づいてくる。
リビングのドアから顔を出したのは向日葵のような髪の色の中年の女性。女性の肩には10cmはあるだろうミツバチが止まっている。彼女は私の母だ。ちなみにミツバチの名はハニーという。
「いつもより遅かったわね。どうかしたの?心配したのよ?」
「迷宮でちょっと、迷っちゃってさ」
「そうなの、どこも怪我はないわね?」
「うん」
母はやはり心配していたようだ。私がちゃんと帰ってきた事に安心している。
「トゥニーーーー!!!!」
上から声がしたと思ったら、ドダダダダと階段をかけ下りる足音がする。父だ。
「心配したんだぞ!!!」
父は私を見つけるなり、駆け寄りしっかりと抱きしめた。どうやらかなり心配していたようだ。
まぁ父が私に執着する理由は他にもあるのだけど。
「ん?トゥニ、この糸は……」
父は抱きしめている手を弛め、一点を凝視している。
「なに?どうしたの?」
その視線を辿るとどうやら父は私のバッグを見ているようだ。
よく見るとバッグには蜘蛛のはく糸のような物が付いていた。
「……なにこれ」
トゥニはバッグをゆっくりと床に下ろした。すると、バッグの口から先程助けた薄紫色の蜘蛛がひょっこりと顔を出した。
「あら!トゥニ、あなた契約蟲を見つけてきたのね!」
「違う、この個はさっき怪我しちゃってたから助けた子で……。着いてきちゃったんだ」
「そうなの、でもこんなに懐いているのだから契約してしまえばいいんじゃない?」
まぁ、確かにさっき少し考えたことだけど……。……でも、そっかこれが運命?なのかもしれないもんね。
「じゃあ、私この子と契約する!」
確か契約方法は……確か、自らが使用する契約印を決めてそれを思い浮かべながら契約する蟲に触れる。それが蟲に契約を持ちかけるということ。
もし蟲がその契約を受け入れれば、その体に契約印が刻まれ契約は成功だったはず。
契約印は学校の授業で考えた物があったのだけど、玄関の花瓶にいけてある濃紫の小さな花が目に飛び込んできた。名も知らない花だけど、とても気に入ったのだ。これにしよう。
トュニは契約の手順の通り、蜘蛛に契約を持ちかけた。
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