貴方なんか興味ありませんわ

curosu

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王子vs???

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「こいつ...何てことをテレシアにしているんだ...!」

蹴って吹っ飛ばした格好のまま叫ぶある人物。


「あら?スティー、なんでここにいるのかしら?」

私は噛みつかれて痛みがある部分を、取り出したハンカチで覆いながらスティーに質問をするが返答はなかった。

返答はなかったがスティーは慌ててこっちに来て噛みつかれた部分を確認したあと、容器に水を入れてきて別の布で拭き始めた。

良かった、血は出てないらしい。

顔が凶暴そうな表情をしているのに、私に触れる手は優しい。

私がスティーに手当てをされている間に、王宮の影さん達が王子を取り押さえていた。

レイとフェリナは...王子の護衛達を抑えながら説明中。

役割分担できているようでなにより...だけど、殺気は飛ばしたら不味いと思うわよ?

抑えなさい。


「くっ...離せっ!」

手当てを終えたスティーが私を抱き締めると、散々叫んでいた王子がスティーのことを睨む。

あら?そういえばスティー、全く変装をしてない素顔の状態なのね。

「スティー、やっぱり素の状態の貴方の方が良いわ。いまのままのほうが格好いいもの。」

思わずスティーの目を見ながらポロっと言ってしまった。

そんな言葉を聞いたスティーは物凄い勢いでこっちをガン見した後、とろけるほどに柔らかい微笑みを浮かべる。

あら、素敵な笑顔。


「無視するなっ!」

殿下の叫び声でハッといまの状況を思い出す。

二人で見つめ合っている場合じゃないわ。

レイとフェリナの生暖かい視線は無視よ、無視。


「先程はどうも、アクセラント第一王子殿下。」

スティーが低い声で威嚇するかのごとく殿下に話し掛けながら、私を自分の身体で隠すように抱き締めてくる。

身動きが出来ない。

「貴様!俺のテレシアから手を離せっ!」

「おっと、聞き捨てならない言葉が聞こえたな。テレシアはお前の物じゃない。表向きだけの癖になにを言っているんだ?」

凶暴そうな顔を浮かべているスティーに対し、なお殿下は食って掛かる。

「表向きだけじゃない。テレシアと添い遂げるのは俺だ!俺の唯一だ!」

叫ぶ殿下に対して、スティーは呆れてしまったらしい。

「殿下は王太子候補の中で有力候補でもないくせに、テレシアを唯一だなんて...傲慢だな。
テレシアは優秀な王太子に選ばれた者が褒美として賜る唯一無二の宝物だ。勿論、王太子に選ばれる者にテレシアの意向が必要不可欠だが。
有力候補でもないくせにテレシアに触れようなどと...。」

と、スティーはテレシアの手を取り口づけながら言う。

「それに唯一だというなら、なぜテレシアを大事にしない?なぜ、王太子候補でも有力になろうと努力しなかった?
テレシアは簡単に手にはいる宝物ではないとわかるだろう?
それから、テレシアに触りすぎだ。
触れて良いのは、有力候補であることとテレシアに許可を得た者のみなはずだ。
有力候補でないくせに自分勝手すぎる。」

...スティー、吐き捨てるように言いながら私の唇を親指で撫でたりぷにぷにしたりしないでくれないかしら?
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