貴方なんか興味ありませんわ

curosu

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スティー

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あの人はなんであんな所に座っているのでしょうね。

行きづらいじゃないですか。

あの人はわざとそうしたのでしょうけれど、こういう時は怒りたくなりますよね。

王子の近くで、王子の目線が行きやすい、私達の声が王子に聞こえてくるだろう場所のテーブルに座っているなんてね。

仕方ないから、王子に近づかないように遠回りして他のお客様に挨拶しながら向かいます。

「やっほー、シメリア。待ちくたびれたぞ。愛する俺の所に遅れてくるなんて...悪い子だな。お仕置きが必要か?」

「ご冗談を...。ゆっくり話せるようにお片付けしてきただけですわ。」

ゆっくり席に座りながら、相手をみて答えます。

この人はスティーという名の人物で、とても優秀で有能なのだけどとんだ食わせ者なのだ。

しかも、人を弄るのが好きだからタチが悪い。

「まだできてないのぉー?そんなんでよくやってるよねぇー。がんばれがんばれー。ぷくくっ。」なんて、人が必死にやってる横で茶化すことをよくしてくる人なのだ...本人は終わってるからなおさらムカつくのよね。

優秀じゃなかったら、切り捨てている所ね。

優秀だからこそ、私の側近をやってもらっているのだけど、飛び回ってることが多いから彼が私の側近だってことを知ってる人物は少ない。

彼自身も変装が得意だから、余計に私の側近だとわからないのよね...。

素顔はすごいイケメンなのに変装で隠しちゃうのよ...もったいない。

彼は私が面白い対象だから側近やっていると言い張っているけれども、私が与えた仕事を嬉々としてやっているのだから何か他にも理由があるのだろう。

本人が明かさないから気にしないことにしている。

私がやっている案件や公務に他の側近達よりも早く気がついて、影で手伝ってくれることもしばしばあるしね。

ツンデレかしら?


今回は踊り終わったあとの情報収集場だったのもあり、彼氏役でも演技してるのかしらね?

いつもと髪色も服装も違うわ。

それでも私が気がついたのは、事前に連絡貰っていたからなんだけどね。

「シメリア、俺を見つけたことは偉い...が、愛する俺からのお仕置き...いるだろ?」

スティーは連絡してくれるけれども、その時の気分で変装を変えているからすぐには分からないのよね。

私よりも少しだけ年上の男性なのに、変装でお爺さんになってるときもあるし...。

ニヤニヤと楽しそうにしているスティーに呆れ果てて、ため息をつきながら答える。

「確かにあなたのこと、愛しているけどね。お仕置きは...物によるわ。ほどほどでお願いね。」

愛する「側近」で、お仕置き=仕事等の報告ってことね。

言葉遊びとしてお互いに使っているけれど、普通に聞いたら勘違いするわよね。

狙ってやっているのだから本当に厄介な側近だこと。

「ほどほどだとお仕置きじゃないだろ?ちゃーんと喜ばせてやるからさっ!俺のこと、もっと愛してくれて良いんだぜ?」

大げさに両手を広げて笑顔で言う。


さっきから近くにいる誰かさんの視線がきつくなってきたことにお互い気がついているから、笑顔が黒くなってきたわ...。

その黒い笑顔、やめたほうがいいわよスティー...。

腹黒で意地悪なあなたにはお似合いだけどね。
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