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親友との再会 そして強敵

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「……ふぅ」
 
 敵が完全に息絶えた事を確認した時田は一息つく。
 
「……光?」
 
 すると、お里が助けた者の存在が、時田であることに気がついた。
 
「本当に……光なの?」
「……えぇと……」
 
 時田は振り返り、お里の顔をしっかりと見る。
 お里は涙を浮かべていた。
 
「……久しぶり?」
「光!」
 
 お里は時田に抱きつく。
 時田もお里を抱き返す。
 
「光が帰って来るって聞いて、すぐに帰ろうと思ってたんだけど……後をつけられてることに気が付いて……行く手を塞がれたり、気がついたらこっちの方に誘導されてて……とにかくありがとう……助けてくれて! でも……」 

 お里は死体を見る。
 お里が何を言おうとしているのかを察した時田はお里の言葉を待たずに言葉を返す。

「……ううん。大丈夫。気にしないで。この時代、誰かを守るためなら綺麗事なんて言ってられないからね」
「光……」
 
 そこで、時田はとあることに気が付く。
 
「そういえば、十兵衛様にお使いを頼まれてたんでしょ? それがその?」
「え? ええと……そうだけど……」
 
 お里は荷物を後ろに隠し、何処か歯切れが悪かった。
 それに、時田は少し気になったが、その心配は後に回さざるを得なくなる。
 
「二人共伏せろ!」
 
 どこからともなく響いた声に従い、声の聞こえた方へ迷いなく二人は飛び込む。
 振り返ると、そこには刀を振り切った男が立っていた。
 
「ち……外したか」
「大丈夫か!?」
 
 すると、康高が飛び込んで来る。
 
「助かりました……それにしてもあの男、全く気配がしませんでした」
「あぁ。かなりの手練れだ。油断はできないぞ」
 
 時田は男がもうひとりいることをすっかり忘れており、間一髪の所で助かった。
 
「二人は?」
「足跡を追って二手に分かれている。あそこに二人倒れているということは残りはあの……ん? 二人倒れてる? まさか……」
「……私が殺しました。守るためには、仕方か無かった」
「そうか……」
 
 康高は時田とお里の前に立ち、刀を構える。
 
「ここから先は俺に任せろ。二人はそのまま……」
「……いえ、私も手伝います」
 
 時田は銃を取り出す。
 しかし、それは弾が入っていない。
 
「弾込めまでの時間稼ぎをお願いします。その時間稼ぎさえ済めば、勝てます」
「……成る程、分かった」
 
 しかし、二人の会話は敵に聞こえていた。
 
「そんな時間、与えるわけがなかろう!」
「くっ!」
 
 男はすぐさま、時田を狙う。
 しかし、康高がそれを防ぐ。
 
「ちっ……やっぱり強いな……」
 
 時田は急いで弾込めをする。
 しかし、康高のわずかな隙を突いて、時田に迫る。
 男の刀の一突きが時田に迫るが、間一髪、それを躱す。
 
「くそっ!」
 
 康高がすぐさま時田達の前に立ち、二人を守る。
 そして、今度は康高が仕掛ける。

「おら!」
「はっ! そんなものか!」

 康高の一撃は難なく躱されるが、時田の弾込めまでの時間稼ぎには充分であった。
 
「すいません! 今終わりました」
「よし! やってくれ!」
 
 康高は退き、時田は男に狙いを合わせ引き金を引く。
 轟音が轟き弾は男へと向かうが、その先に男はいなかった。
 男は時田が狙いを合わせていることに気が付くとすぐさまその場に伏せ、時田の銃弾を躱してしまったのだ。
 
「な!? 躱された!?」
「撃たれると分かってさえいれば躱しようもあるからな!」
「……いや、大丈夫だ。お前の策の通りだな」
 
 男は再び立ち上がり、時田を狙う。
 すると、男の背後から二つの影が忍び寄る。
 
「っ!?」
 
 その気配に男も気づいたが、一瞬遅かった。
 
「はぁっ!」
 
 男の背後から現れた小次郎が刀を突き刺す。
 男はなんとか立ち上がりかわそうとするも、小次郎の刀が肩に刺さる。
 結局立ち上がる事は出来ず、仰向けに倒れてしまう。
 
「ぐっ……」
「覚悟!」
 
 すると、小次郎の背後に隠れていたお冬が銃を構えており、その引き金を引いた。
 銃弾は真っ直ぐに男の心臓を貫く。
 
「が……」
 
 男は動かなくなった。
 康高が近づき死亡を確認すると、口を開いた。
 
「なんとかなったな。時田殿の策の通りだ」
「ええ。銃をみられていたので簡単には当たらないだろうと思い、あとから来るであろう二人にとどめを任せました。理解してくれて助かりました」

 時田の言葉に小次郎が返す。

「実はもう少し前からついていたのですが、康高殿こちらに気づき、その視線で狙いが分かりました。何とか間に合って良かったです」
「凄い……」

 お里が言葉を漏らす。
 時田はお里に手を貸し、お里を立たせる。
 
「……今後は、私達が全力でみんなを守るから、安心して。さて、明智城に戻りましょうか」
「……うん」
 
 時田ら一行は、明智城へと戻って行くのであった。
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