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川と手首
しおりを挟む清流に横たわり
流れにその身を預けていると
投げ出した手首にゆっくりと
切り込みが入っていく
光を乱反射する透明な水分に
私の生暖かな鉄分が
煙のように傷口から這い出て
水流に囚われ混ざり出す
体から出て行く魂が
冷たい水温と混ざり合い
徐々に自我が
薄れて行くのを感じる
それらはせせらぎと共に
流される間に見えなくなって
わたしの小さくなりつつある呼吸音も
せせらぎの一部になっていった
私の中にあった要素は
全てこの川の要素となり
私を納めていた体すらも
いつしか透明に変わって
光を完全に透過する私は
誰の目にも止まることなく
永遠に続くこの川の
水となって流れ続ける
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