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写し身
しおりを挟む朧月の光に
薄桃色の花が一つ
照らされていた
ぼんやりと生えているその花を見て
私は無性に腹が立った
荒々しい歩みでその花に近づくと
細く弱々しい茎を引っ掴んで
花びらを乱雑に千切った
千切っては捨てて
千切っては捨てて
千切っては捨てて
千切っては捨てた
足下には
無惨に転がった花びらと
滑稽に禿げ上がった花だったもの
もしまた生えてきたら
その時もこうしてまた
千切って捨ててやろう
二度と希望など
持てないように
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