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カネール
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嘘であって欲しかった。貴方が関与しているかもしれないって言うのは私の勘違いで、なんだかんだ全く関係ない安全な所で暮らしてるって思っていたかった。
「なんで…。」
そう呟いたのは私か、それとも彼の方か。
聞きたいことは沢山ある。何故そちら側についているのか。何故いきなり消息を絶ったのか。何故…攻撃魔法しか使えなかったはずの貴方がそれを扱えるのか。
「リュセ…っ!」
フードを被っていて顔は見えないが、間違えるはずない。だって、その手に持っているレイピアは、両親が誕生日に彼に贈ったものだから。
『これは我が家に代々受け継がれているものだ。お前も、扱えるように精進しなさい。そして…いつか子供が出来たら渡してあげなさい。』
『ありがとう!にしてもかっけぇなぁ!』
『こらリュセ!家の中で振り回さないの!』
『ちぇ、良いじゃんちょっとくらい。』
『良くない!』
在りし日の光景がチラつく。何か温かいものが頬を撫でる。それが何か認識できぬまま、私は彼に一歩近づいた。
「リュセ…何でこんなことしてるの…?何でいきなり姿を消したの?」
「…っ、全部!全部お前のせいだろ!?」
「え…。」
何かが決壊した様に、リュセはフードを取り、頭を掻きむしりながらこちらを睨んだ。その目に宿っているのは、憎悪にしか見えなかった。
「姉ちゃんは昔から攻撃魔法なんて使えなかった!けど何故かあんな事になって…俺は親戚に引き取られた。でもな、皆俺を疑ってたんだよ!本当はお前がやったんじゃないか。何か両親に恨みでもあったのか。そうやって何度も何度も問いただしてきやがって…っ!どれだけ俺じゃないって言っても、違う親戚の家に行っても変わらなかった。誰も俺の言うことなんて信じちゃくれない!それどころか、俺の事を悪魔憑きではないかって言い始めた!」
「そんな…。」
知らなかった。皆私の事を疑っているとばかり思っていた。いや、事実私の周りにいた人間は私が犯人だと思っていた。まぁそれは半分正解な訳だが。でも、まさかリュセにまで疑いの目が向けられているなんて考えつきもしなかった。だって、真実を知っている私の中で、弟は紛うことなき被害者だったから。
「そんな中、あいつに出会った。あいつは俺達の家系に纏わる真実を教えてくれた。」
「真実…?」
「それを聞いて、もう何もかも嫌になった。あぁ、俺に流れる血は…人間は、こんなに醜いんだって。」
「どういう…。」
「姉ちゃんが知る必要はない。けど…これ以上邪魔をしないでくれ。お前は何も知らない。無関係だ。だから…何処か遠い所で、俺の見えない所で、静かに暮らしててくれよ…。」
そう訴えかける彼の瞳は、こころなしか潤んでいる気がする。分からない…私には、彼の考えが、心が分からない。
「…とにかく、ここにはもう用はない。どうせ魔毒水晶は全部取り除いちまったんだろ?」
「ま、待って!」
「…さよなら。」
踵を返すリュセを追いかけようとした途端、彼の足元に魔法陣が浮かび上がり、その瞬間光と共に跡形もなく消え去った。
「リュセ…リュセ…!」
また、また何も出来なかった。届かなかった…!泣き崩れる私に労る様な視線を投げかけている二人を気遣う事も出来ないまま、私はひたすらに涙を流していた。
「なんで…。」
そう呟いたのは私か、それとも彼の方か。
聞きたいことは沢山ある。何故そちら側についているのか。何故いきなり消息を絶ったのか。何故…攻撃魔法しか使えなかったはずの貴方がそれを扱えるのか。
「リュセ…っ!」
フードを被っていて顔は見えないが、間違えるはずない。だって、その手に持っているレイピアは、両親が誕生日に彼に贈ったものだから。
『これは我が家に代々受け継がれているものだ。お前も、扱えるように精進しなさい。そして…いつか子供が出来たら渡してあげなさい。』
『ありがとう!にしてもかっけぇなぁ!』
『こらリュセ!家の中で振り回さないの!』
『ちぇ、良いじゃんちょっとくらい。』
『良くない!』
在りし日の光景がチラつく。何か温かいものが頬を撫でる。それが何か認識できぬまま、私は彼に一歩近づいた。
「リュセ…何でこんなことしてるの…?何でいきなり姿を消したの?」
「…っ、全部!全部お前のせいだろ!?」
「え…。」
何かが決壊した様に、リュセはフードを取り、頭を掻きむしりながらこちらを睨んだ。その目に宿っているのは、憎悪にしか見えなかった。
「姉ちゃんは昔から攻撃魔法なんて使えなかった!けど何故かあんな事になって…俺は親戚に引き取られた。でもな、皆俺を疑ってたんだよ!本当はお前がやったんじゃないか。何か両親に恨みでもあったのか。そうやって何度も何度も問いただしてきやがって…っ!どれだけ俺じゃないって言っても、違う親戚の家に行っても変わらなかった。誰も俺の言うことなんて信じちゃくれない!それどころか、俺の事を悪魔憑きではないかって言い始めた!」
「そんな…。」
知らなかった。皆私の事を疑っているとばかり思っていた。いや、事実私の周りにいた人間は私が犯人だと思っていた。まぁそれは半分正解な訳だが。でも、まさかリュセにまで疑いの目が向けられているなんて考えつきもしなかった。だって、真実を知っている私の中で、弟は紛うことなき被害者だったから。
「そんな中、あいつに出会った。あいつは俺達の家系に纏わる真実を教えてくれた。」
「真実…?」
「それを聞いて、もう何もかも嫌になった。あぁ、俺に流れる血は…人間は、こんなに醜いんだって。」
「どういう…。」
「姉ちゃんが知る必要はない。けど…これ以上邪魔をしないでくれ。お前は何も知らない。無関係だ。だから…何処か遠い所で、俺の見えない所で、静かに暮らしててくれよ…。」
そう訴えかける彼の瞳は、こころなしか潤んでいる気がする。分からない…私には、彼の考えが、心が分からない。
「…とにかく、ここにはもう用はない。どうせ魔毒水晶は全部取り除いちまったんだろ?」
「ま、待って!」
「…さよなら。」
踵を返すリュセを追いかけようとした途端、彼の足元に魔法陣が浮かび上がり、その瞬間光と共に跡形もなく消え去った。
「リュセ…リュセ…!」
また、また何も出来なかった。届かなかった…!泣き崩れる私に労る様な視線を投げかけている二人を気遣う事も出来ないまま、私はひたすらに涙を流していた。
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