悪魔の誓い

遠月 詩葉

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リベート

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「ここが、リベート…。」

今朝宿屋を出発した私達は、次の街であるリベートに足を踏み入れていた。その活気の良さに人酔いしてしまいそうだ。

「リベートは商いが盛んですからね。田舎町にずっと居た身にとっては、気圧されそうになります。」
「あはは、私も。」

セインと話しながら依頼所へと向かう。何処だって一番情報が集まるのはあそこ。こんなに賑わっているのだから、もしかしたら今度こそリュセの情報があるかもしれない。

「えっと、ここだよね。」
「はい、早速入ってみましょう。」

木の扉を開けた瞬間、不躾に刺さる遠慮のない視線。もう慣れたものだが、相変わらずの洗礼に思わずため息が溢れてしまう。

「すみません、人を探しているのですが…。」
「うん?」

受付にいた紳士然とした男性に話しかける。写真を取り出して、弟について尋ねた。

「この子について、何か知りませんか?」
「はあ、写真だけじゃ何ともね…。」
「えっと、持ち手が銀色のレイピアを持っていると思います。」
「悪いけど、何処にでもある様な代物を目印にしても見つかる確率は低いと思うよ?せめてもう少しまとまった情報を出して貰わないと。」
「そう、ですよね…すみません。」

やはりダメか。無意識に俯いた私の背に、たまたま居合わせた男性の声がかかった。

「オススメはしないが、どうしてもってんなら情報屋を雇えば良いんじゃないか?」
「え…?」
「ちょっとガンター、止めなさい。」

ガンターと呼ばれた男性は、受付の人に待ったをかけられて頭をポリポリ掻くが、尚も言い募る。

「でもよ旦那、チマチマ表で探した所で結果は分かりきってるだろ?その点裏に精通している情報屋はあらゆる手を尽くして依頼を遂行してくれる。まぁ、その分金はかかるがな。」
「その話、詳しく教えてください!」

藁にもすがる思いで、ガンターと呼ばれた男性に勢いよく近づいた。

「あ、ああ…。何でも、この街の路地裏に店を構えてるらしいんだがな。情報なら何でも売ってくれるって話だぜ。まあその分、自分の情報も誰かに必要とされれば躊躇なく売られるらしいが。金もかかるし危険だから、さっきも言ったようにオススメはしない。でも、どうしてもって言うなら…。」
「ありがとうございます!早速行ってみます!」
「あ、おい!」

呼び止める男性の声にも意識が向かないまま、そのまま私は踵を返し路地裏へと急いだ。
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