アルム~アラ40女子がいきなり異世界の第三王子に転生して無意識に無双してプチハーレム状態なんだけど、私はBL要素が見たいの!!~

さいとう みさき

文字の大きさ
上 下
110 / 150
第四章:転移先で

4-6:旅は道連れ世は情け?

しおりを挟む

「それで、君って何者?」


 エルさんはそう言いながらソーセージをほおばる。

 エルフって肉とかも食べるんだ……
 いや、彼女はハーフエルフだからかな?


「エル殿、聞いてどうするつもりです?」

 しかしマリーが鋭い視線でエルさんを見る。

「ん~? 別に君たちを見ていて悪い人じゃなさそうだからだけど、魔人を使役するほどの人物なら相当のモノでしょ? 一応私は正義の味方だからあなたたちが何者で何の目的でこんなところをうろついているか気になったのよ」

 そう言いながらまたミード酒をくぴくぴと飲む。

 私はマリーに向かって無言でうなずく。
 するとマリーは小さなため息を吐いてから話出す。


「アルムエイド様は、イザンカ王国の第三王子、アルムエイド=エルグ・ミオ・ド・イザンカその人であられます。今イザンカ王国はドドス共和国と戦争となり、その戦火の中私たちは戦場から転移させられてここへ飛ばされたのです。そしてアルム様は……」


 マリーはそう言って悲しそうに私を見る。


「記憶を失っているのです。この私との甘い記憶も、小さなころからお世話させていただいたことも、あの時愛を語ってくれたことも!」


 いやちょっと待とう、マリーさん。
 私確か十歳だよね?
 その私が二十歳過ぎの大人のマリーさん相手に愛を語る?
 ちょっとそれ無理ないですかーっ!?


「ふーん、君って意外と年上が好きなんだ? まぁ、ガレントの王族とかも変態多いからなぁ~。王族ってみんなこうなの?」

「いえ、僕にそんな趣味はないです……」


 私がそう答えるとあっちでマリーが沈んでいる。


「まぁ、いいわ。そうか、イザンカか~。海の向こう、一番遠いこんなところにねぇ~。そりゃ難儀だわ。じゃぁそうすると君たちはそのイザンカ王国へ帰るつもり?」

「まぁ、よくわかりませんがそうなりますね。僕がその第三王子って言うなら……」

「ふーん……記憶、本当になくしているの?」

 エルさんはそう言ってまた瞳の色を金色に変える。
 そしてしばし私をじっと見てから言う。


「魂に何か枷がされているわね…… とはいえ、君の魂自体がやたらと強力で膨大な魔力を持っている。というか、これってどこからかものすごい力が流れ込んできている? うーん、ますます誰かさんと同じだわね……」


 エルさんはそう言って瞳の色をもとの青と緑の混ざった美しい色に戻す。


「あの、さっきから気になってるんですがなぜエルさんの瞳の色って変わるんですか?」

「ああ、これ? 『同調』って技なんだけど、先生に散々仕込まれたものなのよね~。魂の色とか大きさとか見えるし、マナの流れとか魔力の流れなんかも見えるのよ。だからそれをちょっといじるとこういう事も出来るの」

 そう言ってまたまた瞳を金色に変えてから手に持つフォークをさっといじると、スプーンに変わった。


「えっ? 手品??」


「違うって、スプーンに存在するマナをいじって形を変えたの。簡単なことなら私でもこのくらいできるんだけどね~」

 そう言ってもう一度手を触れると元のフォークに変わった。


「す、すごい!」


「どういたしまして。で、君の魂だけどその枷は多分この世界のモノには外せないわ。あの人なら…… うーんでも、今どこかに行っちゃったからなぁ」

 そう言ってまたフォークでソーセージを突き刺す。


「アルム様の記憶が戻るあてがあるのですか!?」


 あっちで沈んでいたマリーが復活した。
 目を輝かせ期待にエルさんを見る。

「いや、私じゃ無理よ。そうね、とりあえずうちに来ない? ベイベイの屋敷に戻ればお母さんの情報も入るかもしれないしね。それに、君たちもイザンカに帰りたいんでしょ? うちに来れば内緒でゲート使わせてあげてもいいわよ?」

「ゲート?」

 ゲートって確か、古代魔法王国時代に遠い場所を一瞬で行き来することができるやつじゃ?
 でも確か今は限られた場所にしかなくて、しかもそこから軍隊とか派遣されたら一大事だから各国が厳重に管理しているはずじゃ……


「まぁ、うちのシーナ商会には独自のゲートがあるからね。内緒だけど、君たち王族ならうちの商会ともゆかりがあるからね。第三王子が記憶なくしてこんなところをふらついているんじゃ、政局不安定にもなっちゃうしね。この辺じゃ風のメッセンジャーもないし、隣の冒険者ギルドも支店だから風のメッセンジャーないしね」

 うーん、シーナ商会?
 どこかで聞いたような……


「エル殿はシーナ商会の方でしたか……」

「まぁ、ママがね。で、どうする?」


 マリーは確認するようにエルさんにそう聞く。
 しかし、そのシーナ商会って、王族ともゆかりがあるんだ。


「はぁ、そうすると一緒にベイベイという町に行けばイザンカに帰れるっていう事ですか?」

「そういう事」

 そこまで言ってエルさんはまたまたミード酒をおかわりする。
 私はマリーを見てみると、しばし考えこんでからうなずく。


「では、エル殿に厄介になります。報酬はイザンカ王国に戻ってからしかる手続きをしてシーナ商会にお支払いします」

「いいって、そんなことしなくても。さっきのお礼よ。油断しちゃってもし怪我でもしたら大騒ぎだったもんね」

 エルさんはそう言ってにっこりと笑う。
 うーん、なんか流されて一緒にそのベイベイって町に行くことになったけど、ウェージム大陸からイージム大陸に行くのって確か一年以上かかるんんじゃなかったっけ?
 そう考えるとそのゲートを使わせてもらえるのはありがたい。
 それになんかいろいろと知ってるみたいだし、私の記憶を取り戻す方法もありそうだし。


「エルさん、それじゃぁお願いします」

「うん、泥船に乗ったつもりで任せて!」

「いや、泥船は……」


 この人本当に大丈夫だろうか?
 すごい人っぽいけどなんか不安になるなぁ。



 私はちょっと心配をしながらまたジュースを飲むのだった。 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る

イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。 《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。 彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。 だが、彼が次に目覚めた時。 そこは十三歳の自分だった。 処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。 これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

処理中です...