アルム~アラ40女子がいきなり異世界の第三王子に転生して無意識に無双してプチハーレム状態なんだけど、私はBL要素が見たいの!!~

さいとう みさき

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第三章:イザンカ王国

3-24:知らせ

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「アルムくぅ~ん、お茶しましょうよぉ~」


 もうじきロールアウトする第二ロットの三体の起動実験を始めるころアプリリア姉さんとエナリアがお茶とお茶菓子を持ってやってきた。


「ぷはぁ~! アプリリアちょうどいいところに来た! もう魔力なくなって限界だったのよね~。甘いものある?」

 隣で今日の分の魔晶石に魔術付加をしていたエシュリナーゼ姉さん二十歳は大きく伸びをして椅子の背にもたれかかる。
 カルミナさんに匹敵する胸が大きく揺れるけど、うわやましくなんかないもん!!


「アプリリア、エナリア来ましたわね? 今日のお茶菓子は何かしら?」

「ミリアリア姉さんの好きなアップルパイですよ。今日のはエナリアが手伝ってくれた自信作です」

 慣れたもので最近はみんなでお茶会している。
 エナリアも最近はお菓子作りに協力してやたらと献身的だ。


「お、お兄様私も頑張って手伝いました。どうぞ!」


 エナリアはそう言って切り分けたアップルパイを私に差し出す。
 シナモンの香りがふわっとして、アップルを甘く煮込んだ香りとバターをふんだんに使った生地の香りもとてもいい。

「ありがとう、それじゃぁさっそく」

 そう言ってフォークで切り分けて口に運ぶのをエナリアは真剣な表情で見ている。

「ぱくっ! もごもご…… うん、おいしいねこれ!」

「本当ですかお兄様!? よかったぁ、これで私もお兄様のいいお嫁さんになれますよね?」

 相変わらずそんなことを言ってくるおませなエナリアさん八歳は、ぱあっと明るい表情でそう言う。
 いろいろと期待した瞳で。

「いいお嫁さんにはなれると思うよ……」

 一応、お世辞でもこう言っておくしかない。
 兄は妹に甘いというのはどうやらどこの世界でも同じようだ。


「それで、どうなんですか? 新型は」

「うーん、素体はできましたわ。あとは起動テストをして問題がなければ外装をつけて二体を急ぎレッドゲイルへ搬入ですわね。残りはブルーゲイルの防衛用ですわ」

 レッドゲイルにはエイジのオリジナルの「鋼鉄の鎧騎士」がある。
 旧型も五体あるから、二体送付すると合計で八体体制になる。
 砦の五体を含めれば国境での防衛は最大十三体となる。

 もしドドスが半数の二十五体を投入しても新型がいればしのげるだろう。


「そういえばキャノンタイプとタンクタイプはどうするの?」

「各一体ずつ国境の砦へと輸送中ですわ。レッドゲイルには中距離支援型のキャノンタイプを一体搬送中ですわ。雑兵などはこれでかなりの数を減らせますわね」

 すでに旧型に関しては三体が改修を始めていた。
 中距離支援型と長距離支援型。
 各機体には魔光弾を発射できる装備がなされている。
 さらに魔晶石を大量に投入できる有利点から連続発射が出来るようになったので、対魔装備がなければかなりの脅威になる。
 少なくとも【炎の矢】フレアアローよりも強力な魔光弾だ、その威力はファイアーボールに匹敵する。

「残りの二体も、もうじき出来上がりますわ。そちらはこちらの防衛にキャノンタイプとタンクタイプを一体ずつですわ。ですが……」

 ミリアリア姉さんはロールアウト寸前の素体の奥を見る。
 そこには長い筒状の物が二本ある。


「予定では四号機と五号機にはこれをつけようと思いますわ。大火力の魔光弾が別途魔晶石で使える魔光弾ランチャーをですわ」


 それは先日ミリアリア姉さんが急に思いついた案だった。
 魔光弾は基本「鋼鉄の鎧騎士」には効かない。
 それはほとんどの「鋼鉄の鎧騎士」が対魔処理をされているからだ。
 それだけでなく、場合によっては防御魔法の付加されている個体もあるから、事実上「鋼鉄の鎧騎士」を普通の方法で倒すのは至難の業である。

 しかし何にも例外がある。
  
 ミリアリア姉さんは魔晶石の使用量を度外した大火力の魔光弾を使えば、その対魔防御を上回れば相手の「鋼鉄の鎧騎士」を倒せるのではないかと思っている。
 なので、魔力を外部から供給する魔光弾ランチャーを作成した。


「でもまだあれってテストしてないよね?」

「理論上では通常の『鋼鉄の鎧騎士』の対魔処理を上回りますわ。よほどの対魔処理でなければ持たないはずですわ」


 確かに一度に十数個魔晶石を使うこれは、下手をしたら伝説の魔術、【竜切断破】を凌駕するかもしれない。
 この【竜切断破】は名前のごとく竜でさえ一刀両断にできる魔法。
 賢者か何かでもないと使えないといわれる超上級魔法だ。

 もしそれを凌駕できるなら、事実上【爆裂核魔法】より上になる。


「まぁ、ぶっちゃけ使ってみないと分からないってことよね? ミリアリアはいつも詰めが甘いわよね?」

「まっ! エシュリナーゼ姉さんのようにいつも感覚だけで物事を進めるのは理にかなっていませんわ! 先日だって無理して魔力切れ起こしたではないですの!」

「あ、あれは、行けると思ったのよ! 防御系の魔術付加がいけたから……」


 そして始まるいつもの喧嘩。
 私はあきれて小さくため息を吐きながらマリーが追加で入れてくれたお茶を飲んで魔光弾ランチャーを見る。

 なんか、前世の世界でそんなテレビアニメがあったような……
 あまり深く考えないようにしてまたアップルパイをほうばるのだった。


 * * * * *


「完成しましたわ!!」


 数日後、第二ロットの新型「鋼鉄の鎧騎士」がロールアウトした。
 予定通り、四号機と五号機にはあの魔光弾ランチャーを装備させている。

 が、ここでシューバッド兄さんが慌ててやってきた。



「大変だ! ドドスの軍隊が国境の砦に攻撃を仕掛けてきた!!」




 その知らせにここにいるみんなが一斉に緊張に包まれるのだった。

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