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第十六章
第86話第十五最終章16-3抗う者
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16-3抗う者
それは見た事の無い真っ赤な装甲輝かせゆっくりと俺の前に立ち上がった。
形は少し違うがオリジナルのそれと酷似していた。
どう言う事だ?
まさか空から降りて来たのか?
いや、そんな事はどうでもいい。
こいつは俺が学園長を始末するのを邪魔しに入った。
だからこいつも敵だ!!
『ぐろろろろぉおぉぉぉぉっ!!』
俺は叫んでいた、出てくるその叫びは何時しか魔人のそれになっていたのも気付かずに。
『師匠、下がってください! こいつは私が倒します!!』
「赤い『鋼鉄の鎧騎士』、ティアナなのですね!!」
「え、ティアナって…… 女神様のあの伴侶と言われたティアナ姫? その転生者なの!?」
「ふう、間に合ったようだね。急ぎ君の姉上に連絡しておいたんだ。最も、本来はアルファードを止める為に復活したティアナ姫をよこすつもりだったみたいだけどね」
その赤い「鋼鉄の鎧騎士」は女の声だった。
そしてなんの話だ?
学園長もシャルもエリリアもこの赤い「鋼鉄の鎧騎士」を知っているのか?
だがそんな事はどうでもいい。
俺は強い。
そして邪魔する者は全て俺の敵だ!
『ぐろろろろぉっ!』
俺は叫びながら目の前の赤い「鋼鉄の鎧騎士」に拳を振るう。
並みの「鋼鉄の鎧騎士」ならその装甲を引き裂き中の素体だって簡単にぶち壊せる。
ぶんっ!
どごっ!
ぐぐぐっ、ばっ!!
なに!?
なんだこの力!?
俺の拳が盾で受けられ簡単に押し返される。
やはりこいつもオリジナルか?
しかしこの力、封印を解いた俺と同じか、いや、それ以上か!?
『魔人に取り込まれたオリジナルか…… 手加減は出来そうにないわね? 仕方ない、殺しはしないわ! ガレント流剣技四の型、旋風!!』
どんっ!
グルン
ぶわっ!!
そいつは素早い動きで回転してきてその遠心力を乗せた剣を振って来る。
そしてその動きは魔力もマナもそして物体もほとんどズレが無い、これでは先読みが出来ない。
まずい、このままこれを受けると!!
慌てて腕をクロスさせながら大きく飛び退くが、右腕に剣が届く。
ずばっ!
『ちっ! 浅い。感覚がまだ完全に戻ってない!!』
ごどんっ!
俺は大きく飛び退いて驚いていた。
俺の右腕が完全に切り落とされていた。
この体の芯にはオリジナルの「鋼鉄の鎧騎士」が有るはずだ。
どんなに強力な攻撃もどんなに強力な魔法も通用しないオリジナルのはずが!!
しかし目の前の地面に転がるのは俺の手だ。
『ぐぉろぉおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!』
こいつは危険だ。
こいつは強敵だ。
今まで出会ってきたどんな「鋼鉄の鎧騎士」よりもずっと強い!
俺は切られた手を振りその断面から剣を作る。
真っ黒な悪魔の剣。
魔人が持つ魂喰らいの大剣を!
『ぐろぉおおおおおぉぉぉっ!』
そして全力で目の前の赤いやつに斬り込む!
『魂喰らいの剣か、でもっ!』
ばっ!
スカっ!
大剣を振るって赤いのに斬りつけると奴は飛び上がり、そして空を飛んでいるだと!?
そんな、「鋼鉄の鎧騎士」が空を飛べるとでもいうのか!?
思わずそれを見上げる俺。
しかし赤いやつは空の上で叫ぶ。
『ガレント流剣技五の型、雷光!!』
ずばっ!
なに!?
いきなり上空から消えたと思ったら俺の後ろに姿を現し俺の左足を切り落としただとっ!?
なにが起こったんだ!?
どぉおおおぉぉん!
片足を失いバランスを失って倒れる俺。
しかしすぐに剣を杖代わりに起き上がると奴がもう目の前に迫っていた。
『ガレント流剣技六の型、逆さ滝!!』
『ぐろぉおおおぉっ!』
がきんっ!
パキーンっ!
ふわっ!
下から斬り上げられるその斬撃を何とか黒の大剣で受けるもその威力が殺せず折られ、剣ごと体が宙に浮かび上がる。
何と言う豪剣!
しかしまずい、宙に浮いた状態では何もできない!
『これでおしまいよ、ガレント流剣技九の型、九頭閃光ぉっ!!』
カッ!
赤いやつの持つ大剣が光ったと思ったら一気に九つの光が発せられそれが俺に迫る。
宙で慌てて折れた黒の大剣を振るうも足場のないここではその光の一つ二つを防ぐのがやっとだった。
がきん、かぎんっ!
ガっ、ガガガガガガッ!!!!
それは俺の「鋼鉄の鎧騎士」の血肉を剥ぎ、吹き飛ばし、残りの腕も足も切り落とし、そして頭をその剣先で突き刺した!
『ぐろぉぎゅぽっ!』
ずぼっ!
最後に俺が叫んだ声は口に突き刺された剣で掻き消え叫ぶことすらできなくなってしまった。
そして両手両足の無くなった俺の「鋼鉄の鎧騎士」は目の前にいるあの赤い「鋼鉄の鎧騎士」に剣で突き刺されたまま宙ぶらりんに吊るされる。
『ふう、何とかなったわね。さあ、もうどうしようもできないでしょう? 大人しくしなさい』
その女の声は俺にそう告げて俺に完全に敗北を味あわせる。
「そんな…… 俺の『鋼鉄の鎧騎士』がこうも簡単に……」
どくんっ!
その脈動が大きく鼓動する。
―― マダダ、マダキサマノタマシイヲツカエバフッカツデキル!! ――
「鋼鉄の鎧騎士」の中で呆然とする俺の耳元にその声が聞こえて来た。
体を這ずるこのぬるぬるとした蛇のようなモノが更に俺に巻き付く。
そして更に俺の身体から魔力と魂を引っ張り出そうとする。
『そこまでですわ。異界の者よ! これ以上この世界で好きにはさせませんわ!!』
ぶわっ!
その瞬間身体が光で包まれる。
なんだこれは!?
しかし不思議と恐怖は感じない。
温かく、心地よいその光……
まるでこれは……
―― グワァアアアアアァァァ、コ、コノセカイノメガミダト!? ――
『大人しく自分の世界に帰るなら許しましょう。そうでないなら全ての世界から消し去りますわ!!』
―― オノレェ、オノレェエエエエエェェェェェ ――
俺の心の奥深くまで突き刺さっていた何かが離れていく。
いや、魂にまで伸びていた手が消えて行く。
壊れたその胸の扉の隙間から天より降りてくる光がのぞき見えた。
それは俺を串刺しにしているあの赤い「鋼鉄の鎧騎士」の肩に降り立つ。
金色に輝くその女性はとても美しかった。
それが俺が見た最後の光景だった。
それは見た事の無い真っ赤な装甲輝かせゆっくりと俺の前に立ち上がった。
形は少し違うがオリジナルのそれと酷似していた。
どう言う事だ?
まさか空から降りて来たのか?
いや、そんな事はどうでもいい。
こいつは俺が学園長を始末するのを邪魔しに入った。
だからこいつも敵だ!!
『ぐろろろろぉおぉぉぉぉっ!!』
俺は叫んでいた、出てくるその叫びは何時しか魔人のそれになっていたのも気付かずに。
『師匠、下がってください! こいつは私が倒します!!』
「赤い『鋼鉄の鎧騎士』、ティアナなのですね!!」
「え、ティアナって…… 女神様のあの伴侶と言われたティアナ姫? その転生者なの!?」
「ふう、間に合ったようだね。急ぎ君の姉上に連絡しておいたんだ。最も、本来はアルファードを止める為に復活したティアナ姫をよこすつもりだったみたいだけどね」
その赤い「鋼鉄の鎧騎士」は女の声だった。
そしてなんの話だ?
学園長もシャルもエリリアもこの赤い「鋼鉄の鎧騎士」を知っているのか?
だがそんな事はどうでもいい。
俺は強い。
そして邪魔する者は全て俺の敵だ!
『ぐろろろろぉっ!』
俺は叫びながら目の前の赤い「鋼鉄の鎧騎士」に拳を振るう。
並みの「鋼鉄の鎧騎士」ならその装甲を引き裂き中の素体だって簡単にぶち壊せる。
ぶんっ!
どごっ!
ぐぐぐっ、ばっ!!
なに!?
なんだこの力!?
俺の拳が盾で受けられ簡単に押し返される。
やはりこいつもオリジナルか?
しかしこの力、封印を解いた俺と同じか、いや、それ以上か!?
『魔人に取り込まれたオリジナルか…… 手加減は出来そうにないわね? 仕方ない、殺しはしないわ! ガレント流剣技四の型、旋風!!』
どんっ!
グルン
ぶわっ!!
そいつは素早い動きで回転してきてその遠心力を乗せた剣を振って来る。
そしてその動きは魔力もマナもそして物体もほとんどズレが無い、これでは先読みが出来ない。
まずい、このままこれを受けると!!
慌てて腕をクロスさせながら大きく飛び退くが、右腕に剣が届く。
ずばっ!
『ちっ! 浅い。感覚がまだ完全に戻ってない!!』
ごどんっ!
俺は大きく飛び退いて驚いていた。
俺の右腕が完全に切り落とされていた。
この体の芯にはオリジナルの「鋼鉄の鎧騎士」が有るはずだ。
どんなに強力な攻撃もどんなに強力な魔法も通用しないオリジナルのはずが!!
しかし目の前の地面に転がるのは俺の手だ。
『ぐぉろぉおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!』
こいつは危険だ。
こいつは強敵だ。
今まで出会ってきたどんな「鋼鉄の鎧騎士」よりもずっと強い!
俺は切られた手を振りその断面から剣を作る。
真っ黒な悪魔の剣。
魔人が持つ魂喰らいの大剣を!
『ぐろぉおおおおおぉぉぉっ!』
そして全力で目の前の赤いやつに斬り込む!
『魂喰らいの剣か、でもっ!』
ばっ!
スカっ!
大剣を振るって赤いのに斬りつけると奴は飛び上がり、そして空を飛んでいるだと!?
そんな、「鋼鉄の鎧騎士」が空を飛べるとでもいうのか!?
思わずそれを見上げる俺。
しかし赤いやつは空の上で叫ぶ。
『ガレント流剣技五の型、雷光!!』
ずばっ!
なに!?
いきなり上空から消えたと思ったら俺の後ろに姿を現し俺の左足を切り落としただとっ!?
なにが起こったんだ!?
どぉおおおぉぉん!
片足を失いバランスを失って倒れる俺。
しかしすぐに剣を杖代わりに起き上がると奴がもう目の前に迫っていた。
『ガレント流剣技六の型、逆さ滝!!』
『ぐろぉおおおぉっ!』
がきんっ!
パキーンっ!
ふわっ!
下から斬り上げられるその斬撃を何とか黒の大剣で受けるもその威力が殺せず折られ、剣ごと体が宙に浮かび上がる。
何と言う豪剣!
しかしまずい、宙に浮いた状態では何もできない!
『これでおしまいよ、ガレント流剣技九の型、九頭閃光ぉっ!!』
カッ!
赤いやつの持つ大剣が光ったと思ったら一気に九つの光が発せられそれが俺に迫る。
宙で慌てて折れた黒の大剣を振るうも足場のないここではその光の一つ二つを防ぐのがやっとだった。
がきん、かぎんっ!
ガっ、ガガガガガガッ!!!!
それは俺の「鋼鉄の鎧騎士」の血肉を剥ぎ、吹き飛ばし、残りの腕も足も切り落とし、そして頭をその剣先で突き刺した!
『ぐろぉぎゅぽっ!』
ずぼっ!
最後に俺が叫んだ声は口に突き刺された剣で掻き消え叫ぶことすらできなくなってしまった。
そして両手両足の無くなった俺の「鋼鉄の鎧騎士」は目の前にいるあの赤い「鋼鉄の鎧騎士」に剣で突き刺されたまま宙ぶらりんに吊るされる。
『ふう、何とかなったわね。さあ、もうどうしようもできないでしょう? 大人しくしなさい』
その女の声は俺にそう告げて俺に完全に敗北を味あわせる。
「そんな…… 俺の『鋼鉄の鎧騎士』がこうも簡単に……」
どくんっ!
その脈動が大きく鼓動する。
―― マダダ、マダキサマノタマシイヲツカエバフッカツデキル!! ――
「鋼鉄の鎧騎士」の中で呆然とする俺の耳元にその声が聞こえて来た。
体を這ずるこのぬるぬるとした蛇のようなモノが更に俺に巻き付く。
そして更に俺の身体から魔力と魂を引っ張り出そうとする。
『そこまでですわ。異界の者よ! これ以上この世界で好きにはさせませんわ!!』
ぶわっ!
その瞬間身体が光で包まれる。
なんだこれは!?
しかし不思議と恐怖は感じない。
温かく、心地よいその光……
まるでこれは……
―― グワァアアアアアァァァ、コ、コノセカイノメガミダト!? ――
『大人しく自分の世界に帰るなら許しましょう。そうでないなら全ての世界から消し去りますわ!!』
―― オノレェ、オノレェエエエエエェェェェェ ――
俺の心の奥深くまで突き刺さっていた何かが離れていく。
いや、魂にまで伸びていた手が消えて行く。
壊れたその胸の扉の隙間から天より降りてくる光がのぞき見えた。
それは俺を串刺しにしているあの赤い「鋼鉄の鎧騎士」の肩に降り立つ。
金色に輝くその女性はとても美しかった。
それが俺が見た最後の光景だった。
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