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第十二章:留学

12-34大魔導士杯第二戦目その5

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 大魔導士杯第二戦目の一戦目が終わった。
 蓋をお開けてみれば男性観客が多い理由も良く分かった。


 そんな危険な競技に二戦目が始まろうとしている。

「今度はどことどこ?」

「スィーフチームとイザンカチームの対決のようですわね?」

 控え席で二戦目が何処かを確認していると水上都市スィーフとイザンカ王国のチームの対戦となるようだ。
 双方国の名前を背負っているあたり、国の面子をかけた戦いになりそうだ。

「いいですわねぇ~スィーフチームは勿論イザンカチームのシャスミナさんやエルモアさんの水着姿もそそりますわぁ~」

「う~ん、エルモアは私も好みかも」


 スィーフチームのお姉さん方はしっかりとハイレグのビキニでその豊満な肉体を披露してくれている。
 アニシス様なんかよだれを垂らしてそれを見ているけど、ヤリスは可愛い系が好みの様でイザンカチームのエルモアさんにその熱い視線を注いでいる。
 エルモアさんは黄色いワンピースでフリフリがついているけどしっかり揺れるくらいあるからうらやましい。

「始まるね~」

 そんな両チームの様子を見ているとルラが試合開始になる事を告げる。


『よろしいですか? それでは二戦目はじめっ!!』

 司会のメリヤさんのその声で一斉に両チームとも駆け出す。


 まずは摩擦の少なくなった場所を駆け抜けるけど、何とスィーフチームは身体能力を向上させる呪文を唱えて全員がカモシカのようにそのトラップの上を飛び越える。
 この辺は知っていれば確かに簡単にクリアー出来るだろう。
 
 そしてイザンカチームも同じく身体強化魔法で難なく最初のトラップをクリアーする。

 すると何故か観客の中からため息が漏れるけど、なんで?
 

「最初の障害は知っていれば簡単に回避できますわね。ちょっと残念ですわ」

「う~ん、クラーケンに凌辱されるエルモアの姿は見たかったかも」

「いや、皆さん無事なんだからそっちを喜ぶべきなんじゃ……」

 心の声が駄々洩れのアニシス様とヤリスに思わず突っ込みを入れてしまう私。
 本当にブレないな、この二人は。

 などと思っていると両チームとも次の障害に差し掛かる。
 お次は壁上りの後の【重力魔法】がかかったエリアだ。
 【浮遊魔法】を使った魔道研究チームも引き寄せるほど強い力場だから、浮いてそこを通り過ぎる事は難しそうだ。

 となると、また身体能力を強化する魔法を使ってここを抜けるしか無いのかな?

 私がそう思っていると、何とスィーフチームのお姉さん方は壁の横からプールに入りそれを避けるように泳ぎ始めた!?

「そうきますの? しかしあれでは海洋生物に襲われる危険性もありますわよ?」

 アニシス様のその言葉に私も思わずうなずく。
 確かにプールに落ちても失格にはならない。
 そして魔法を使ってあの重力場を超えるのはそこそこ大変に感じる。

 スィーフのお姉さん方は見事な泳ぎでどんどんと壁とトラップの場所を過ぎて行く。
 
 対してイザンカチームは予定通り壁を上ってその一番上でみんなして【強化魔法】を唱えている。
 どうやらオーソドックスにこの【重力魔法】の力場を無理矢理超えるつもりのようだ。
 確かに距離的には泳ぐよりそちらの方が速いだろう。

 ここは両チームとも別々の戦法をとった感じだけど、果たしてスィーフチームって問題無いのだろうか?

「あ、スィーフチームがプールからあがるよ!」

 ルラは指差しそう言うとスィーフチームのお姉さん方が無事【重力魔法】のエリアを越えてまた浮いている足場に上がり始めた。
 
 ぴちぴちのお肌にきらめく水滴が彼女たちの魅力を更に際立たせる。
 濡れた髪の毛がうなじにまとわりつき、健康的なその肢体にきらめく水滴が流れる。
 豊満な胸はビキニに包まれていてもその豊かさを誇張するかの如く揺れ動き、その胸元の谷間にはごつごつした筒状の物が挟まれていたりする。
 いや、下の方にも何やら挟まっていたりする?

「あら、何かしらこれ?」

 リーダーのミリンディアさんは自分の胸に挟まれているそのごつごつした筒状のモノを何と両の胸でグイッと挟んでみる。
 するとそれはうねうねとうごめき始めた!?

「んっ、ちょっと動かないでよ」

 そう言ってそれを挟まれた胸から取り出そうと握ると……

 
 ぎゅっ!

 びくん、どびゅぅるるるるるるぅっ!!


 なんか白いの出たぁっ!?

「きゃっ? なにこれ、生臭くてねばねばぁ~」


 いや、何なのよあれっ!?
 ごつごつした筒状の物はミリンディアさんに握られるとたまらないかと言うように何か白いねばねばの液体を吐き出したぁ!!


「あれは…… ナマコですわね! 下処理をしっかりして甘酢でいただくとコリコリとした食感が素晴らしい珍味ですわ!」

「あれがナマコなんだ、初めて見たわ。でも何と言うか凄いビジュアルね?」

「あわあわあわあわ……」

「うーん、ねばねばいやだなぁ~あたし」


 アニシス様はあれがナマコだと言った。
 私も少しは知っているけど、確か海にいるナメクジみたいなやつで刺激を与えると白い何かを吐き出すって聞いた事がある。
 ミリンディアさんはその白濁の白い物体を顔にかけられ、そして体中にもそれをぶっかけられている。

 
 ぉおぉぉぉおおおおぉぉぉぉぉぉ……


 途端に観客席の人たちも変な声を上げる。


「きゃっ! なんか出たぁ~」

「んはぁっ、白いので汚されちゃったぁ~」

「凄い、まだまだ出るのねぇ?」


 ミリンディアさんのその惨状に目が行っていたけど、他の三人も同じように何故かナマコを刺激してしまい体中白濁の液で汚されていて変なポーズまで取っている!?


 ぅぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!


 今度はなんか観客席から喜びの混じった声が上がる。
 そして男性客は何故かみんな前かがみ。

 あなたたちって……

 私は思わずジト目でその光景を見ていると、スィーフチームの面々は体にかかった白濁の液体をぬぐい捨てすぐに次の障害へと進む。

 と、そこへ身体【強化魔法】重力場を何とか通り抜けたイザンカチームがやって来た。
 スィーフチームとの差はそれほどない。

 が、ここでアクシデントが起こる。


「のわっ!?」

「きゃっ!!」

「ふべっ!」

「うわっ!」


 イザンカチームが先ほどスィーフチームがプールからあがった場所でみんな豪快に転げて中にはプールに落ちるものもいた。
 何が起こったのだろう?


「あれは! さっきのぬちょぬちょぐちゃぐちゃの白くて生臭い液で足を滑らせたのね!!」

「なるほど、身体の【強化魔法】がかかったままあのぐっちょぐっちょんの白い液で彼女たちを汚したものが残っていてそれに力が増した足で踏みつければ滑るのも道理ですわ!」


 いや言い方ぁっ!
 二人とも何生々しい言い方してるのよ!?

 思わず顔を赤くしてしまう私に更に変な悲鳴が聞こえる。


「いやぁ、くっついて来ないでぇ!!」

「や、やめろ! そこはダメなんだぁ!!」


 プールに落ちたエルモアさんとガーヴィさんはちっちゃいクラーケンに襲われていた。

「【強化魔法】が継続しているのでクラーケンが寄って来たのですわね? あぁ、エルモアさんが凄い事にですわ!!」

「うわっ、あんなところに入り込まれてる! 凄い、エルモアがあんなに嫌がっているのに容赦ないわねクラーケン!」

 そこっ!
 なに楽しそうにらんらんとした目で実況しているのよ!

 早々に魔法を止めてクラーケンを引っぺがせばいいのにパニクっているのか余計に身体を強化したその力でクラーケンを引きはがそうともがくエルモアさんとガーヴィさん。
 しかしそれは逆効果で、とうとうエルモアさんのワンピースに張り付いていたクラーケンを引っ張るとビミョーんと水着も伸びてその中身がちらりと見えてしまった。


「いいですわ! 頑張るのですわクラーケン!!」

「あの小ぶりなのが良いわね!! 可愛らしいそれを撫でまわしたいわ!!」

「そうじゃないでしょうに! ああぁ、エルモアさんがぁ!!」


 パニクっている二人に対して浮き場の残りの二人は転んだ拍子にあの白濁の液が体中にまとわりついている。

「ううぅ、生臭いぃ~」

「なんで俺がこんなめに」

 リーダーのシャスミナさんは涙目で白濁の液に汚され、ビキニと言う事もありそれは凄い光景になっている。
 そして更にイケメンなパブロフさんもぴっちりの三角海パンにあの白い液を体にまとわりつけているから、それを見た女性陣から黄色い声が上がる。



 どよっ!


 だがそんな惨状に更に凄い事が起こっていた!!


「はぁん、これ結構食い込むわね?」

「んっ、でも良いかもぉ~」

「ミ、ミリンディア今のうちよ、ああぁん、この締め付けすっごぉ~いぃ♡」


 おおおおぉぉぉぉぉぉ~!


 何とスィーフチームは三人があの縄に捕らわれていて、その仲間たちをリーダーであるミリンディアさんが足場にしてこの障害を過ぎる。
 あられもない姿の三人を足場にしてでもこの障害を乗り越えるとは!

 仲間を犠牲にしてでもリーダーであるミリンディアさんはゴールを目指す。
 そしてとうとうゴールをする。


『勝者スィーフチーム!!』


 うぉおおおおおおぉぉぉぉっ!


 結果この勝負スィーフチームの勝ちとなった。
 何と言う気迫。
 何と言う覚悟。

 これが国の威信を背負う戦士たちの戦いなのか!?


「ふっふっふっふっふっ、いよいよ次は私たちの番ね」

「そうですわね、『エルフは私の嫁チーム』として、そして祖国のティナ国に対してやらなければなりませんわね!」

 ヤリスもアニシス様もやたらとやる気になっている。
 そんな二人を見ながら私はものすごく心配になって来るのだった。

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