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第十二章:留学
12-30大魔導士杯第二戦目その1
しおりを挟む昨日は何故かお祝いで豪華な晩御飯だった。
「う~ん、今日は第二戦目かぁ、『体力』を使うって話だから朝ごはんもちゃんと食べたし準備万端かな?」
「えっへへへ~またマーヤ母さんのお重お弁当だぁ~」
家を出て会場へと向かっている。
会場には既にヤリスとアニシス様がいてこちらを見つけると手を振ってくれている。
「おはようリル、ルラ! 今日はいよいよ二戦目よ!」
「おはようございますですわ、リルさんルラさん。今日も頑張りましょうですわ」
二人してそう挨拶をしてくれる。
私もルラも挨拶をかわして聞く。
「おはようございます、ヤリス、アニシス様。今日は『体力』の試合だって聞きましたけど、何するんでしょうね?」
「おはよう~ヤリス、アニシス様!」
二人に合流して一緒に控室に向かう。
控室に着いたらルラは大事そうにお弁当をテーブルの上に置いてニコニコとしている。
「今日もとんかつ入っているんだって~。えへへへへ~マーヤ母さんのとんかつって冷めても美味しんだよねぇ~」
「こらこら、今は試合の事に集中しなさいよ、ルラ」
お気楽にお弁当の方に気を取られているけど、体力勝負はルラの十八番だからなぁ~。
しかしここにはもう一人やたらとやる気になっているお人がいました。
「うふふふふふ、今日は別に力を開放しても問題無いわよね? もともとこれが普通の私なんだから」
ヤリスはそう言ってぴょこんとこめかみの上に三つづつトゲのような癖っ毛を生やす。
そして瞳の色がうっすらと金色になり全体的に少し光り始める。
「前から気になっていたのですが、ヤリスは覚醒状態をずっと押さえていますがやはり常に意識しないといけないのですの?」
やる気になっているヤリスにアニシス様は首をかしげながら聞く。
するとヤリスは上目遣いで口に人差し指を当てながら言う。
「う~ん、何時もの押さえてる姿はもう慣れたから、特に意識しなくても維持できますね~。シェル様からコツを教えられた最初の頃はうまく行かずに寝ちゃったら覚醒状態になって寝返りでベッド壊したりと結構大変でしたからね」
寝返りでベッド壊すって、覚醒者ってそんなに危ないの?
エルハイミさんはあの時普通の女の子にしか見えなかったのに、覚醒した子孫って女神様の力が制御できないんじゃ危なっかしい。
その為のアフターケアでシェルさんが色々と動き回っているらしいけど。
「さてと、それじゃ準備も出来たし行きましょうか、第二回戦!」
やる気満々なアニスにくっついて私たちはステージへと向かうのだった。
* * * * *
『さぁさぁやってまいりました【大魔導士杯】第二回戦! みんな準備は良いかぁ!?』
わぁああああぁぁぁぁぁ!
舞台に行くと既に会場は満席になっていた。
なんか昨日より更に熱気が上がっている様だった。
「なんか観客席の熱気が凄いですね?」
「う~ん、裏では賭けもやっているからかしらね?」
観客席を見ながらそう言う私に覚醒者の姿のままのヤリスはそう言う。
しかしなんか昨日より男性がやたらと多いように感じるのは気のせいだろうか?
と、ここで司会が入る。
『本日は第二回戦、【体力】の勝負となりますがその前に参加者はお着換えをしてもらいます! 衣装はこちら生徒会実行委員会で準備してますので各チーム、委員会のスタッフの指示どうり着替えをしてもらいましょう!!』
「着替え? ああ、流石に制服姿で体動かすのは良くないってことかな?」
この学園の制服は対魔処理がされていてとても優秀だけど、スカートの丈とか短いから激しい運動をしたら中が見えちゃうかもしれない。
そう言う意味では確かに運動着に着替えるのは必要かぁ……
「いやちょっと待って、まさか運動着って伝説のブルマ姿になれとか言うんじゃないでしょうね?」
ふとこの世界で無くあちらの世界で伝説となっているあの下着姿同然の「ブルマ」姿の体育着を想像してしまった。
生前の私の学校は勿論短パンにはなっていたけど、体育の女の先生なんかの時代はブルマだったらしい。
下着の上にピッチピッチの下着のような物を更に穿くその姿は色々と問題があり私の時代では全滅していた。
どちらかと言うとエッチなイメージが強いのでそう言ったのが好きな人にはあの当時でも大人気ではあった。
アニメとかでもブルマ姿を見るたびに思う、ないわぁ~って。
しかしここは異世界、そんな物は存在しないと信じたい……
でもソルミナ教授の薄い指南書の本の件もあるしなぁ……
ほんとシェルさんとエルハイミさん何やってるんだか……
「あれ? ちょっと待って、あっちの世界の薄い本が存在するって、じゃあエルハイミさんたちってあっちの世界とこっちの世界を行き来しているの!?」
私はなんかとんでもない事に気付いた。
確かに女神様だけどまさか異世界の往来が出来るだなんて……
「はい、出来ましたよ。流石に素材がいいから可愛いわねぇ~」
いきなりスタッフの女性の声が聞こえて来た。
「う~ん、お姉ちゃんこの胸のリボンひらひらで邪魔だよぉ~」
「私のは上下が分割ですのね?」
「私のも上下分割だけど、これって胸が揺れすぎない?」
はっ!?
いつの間にか着替え室に実行委員会の人に誘導されて着替えをされていた!?
と言うか、下着姿見られちゃったってこと?
ううっ、不覚。
まさか物思いにふけっている間に着替えさせられるとは……
私は着替えさせられた自分の姿を見て……
見て……
「な、なんじゃこりゃぁぁッ!?」
そこには可愛らしいワンピースの水着姿の私がいたのだった。
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