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第八章

第205話8-29強敵

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 「ドラゴン百裂掌!!」

 「ふむ、クロエよりは強力だが隙が大きすぎるぞセキ!」

 
 セキさんがドランゴン百裂掌を放つもなんと鬼神はそれをことごとくなぎなたソードで弾いている。
 そして最後の一手をガシッとつかみ横に放り投げる。


 「ショーゴさん!」


 ミーニャは魔力を高め手を鬼神に向けるけど、どんっ! と言う大きな音がして一瞬でミーニャの目の前まで鬼神が飛び込んでいた。

 「って、操魔剣!?」

 「良く分かったな、魔術師は魔法を使う瞬間が一番手薄になる」


 どっ!


 「ぐっ!」

 ミーニャのお腹に鬼神の拳が入りミーニャは呻いてそのままその場に崩れ落ちる。


 「ミーニャ!!」


 「当て身だ、気を失っただけだ」

 そう言いながら鬼神はミーニャをゆっくりと床に寝かせる。
 しかしいくら油断したからってあのミーニャが一撃だなんて信じられない。


 「くぁ~っ、よくも吹き飛ばしてくれたわね、ショーゴ!」

 「体がでかくなった分力はあるが隙も大きくなっているぞ、セキ」

 「ならばこれはどう!? 赤光土石流拳!!」


 カッ!


 どがっがっがっががががっががががぁっ!!!!

 先ほどのドラゴン百裂掌なんてもんじゃない怒涛の拳の嵐がまるで土石流の様に鬼神に迫る。
 しかし鬼神は慌てず飛び上がり、そして空中で何とその姿を変えた!?


 「むん、転身! とぉっ!!」


 飛び上がると同時に衣服が破け、その下からまるで皮の衣服のような黒地のモノが全身を覆い、所々金属のようなモノで補強をする。
 そして頭も見た事の無い異形の兜に変わって行きその顔もマスクで隠れる。

 首元だけマフラーのような布が残っていて風も無いのにそれがなびいていた。


 「変身したの!? ショーゴっ!!」

 「来い、セキっ!!」


 セキさんは伸ばした爪に炎をまとい、煉獄相竜牙で鬼神に切り込む。
 それを鬼神はなぎなたソードで弾き、セキさんのお腹に拳を叩き込む。


 「ぐっ! で、でもっ!!」


 ぱしっ!


 セキさんは叩き込まれた拳をお腹にその腕を掴む。
 そして鬼神が逃げられないように片手でその拳を掴んだままもう片方の腕を引き上げる。


 「これなら逃げられないわ! 喰らいなさい!!」

 「甘いな、肉を切らせて骨を断つのは良いが詰めが甘すぎるぞ、セキっ!!」


 言いながら何と鬼神はその場で掴まれた拳になぎなたソードを放してもう片方の拳を叩き込む。


 「ガレント流無手三十六式が一つウォーハンマ―!!」


 どっ!


 拳の上に拳をぶつけ竜族であるセキさんの強靭な肉体に対して衝撃波を叩き込んだ!?
 しかもこれって、ガレント流無手体術!!


 「ぐっ!」


 見た目は地味でもその一撃は確実にセキさんに通ったようで衝撃波によりセキさんは思わず掴んだ鬼神の手を離してしまいよろよろと後ろに下がる。


 「竜族は強靭な肉体を持つが、同じ生物。その衝撃波が内臓に伝達すればいくら竜族でもただでは済まない。セキよ竜族である傲慢が裏目に出ているぞ?」

 「くうぅ、やってくれるわね、ショーゴ!!」


 言いながらそれでもセキさんは燃え盛る爪で鬼神を切り裂きに行く。
 しかしここで鬼神は腰から何か小さな箱のようなモノを取り出し腰正面のベルトにそれを装着させる。


 「ストライクモード!!」


 カッ!


 鬼神が光り、あっという間に金色のプロテクターを身にまとっていた。
 そしてそのプロテクターでセキさんの燃え盛る爪を防ぐとなんとセキさんの爪が折れてしまった!?


 パキーンっ!!


 「くっ! ストライクモードまで復活してるの!? オリハルコンの鎧じゃいくらあたしの爪でも歯が起たない!!」

 言いながら一旦距離を置くセキさんに鬼神は躊躇なく飛び込む。
 そしてくるっと目の前で回転してセキさんの脳天にかかと落しをする。


 「三十六式が一つ、バトルアックス!!」


 まさかそこから回転かかと落しが来るとは思わなかったセキさんはその攻撃をもろに受けてしまった。


 どがっ!


 「がはっ!!」


 頭を打たれ流石によろめき倒れるセキさん。
 僕は思わず声を上げる。


 「セキさん!」


 「強靭な肉体に頼り過ぎだぞ、セキ」

 ぐったりと倒れて目は開いているモノの身動き一つ出来ないセキさん。
 そんなセキさんに鬼神はそう言う。


 「セキさん!! まさか死んじゃったんじゃ!?」

 「軽い脳震とうだろう。しばらくは動けない。そろそろ諦めてもらえたかな?」


 言いながら鬼神は落ちているなぎなたソードを拾い上げる。
 そしてそれを僕に向けた。


 「それでも僕はあきらめない!」

 「その意気や良し! かかって来い少年!!」



 僕はショートソードをかざして鬼神に突っ込んで行くのだった。
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