202 / 221
第八章
第201話8-25守る者その三
しおりを挟む僕たちはラファールを足止めしているソーシャさんを残し先を急いでいた。
「とうとう次は三人目だね、この調子ならエルハイミねーちゃんのいる『女神の間』までたどり着けそうだ」
「でも油断は禁物よ? エマも変な事ばかり考えてないで急ぐわよ!」
「わ、私は変なこと考えていませんわぁ!」
「どうだかねぇ。エマって意外とむっつりスケベっぽいし」
「なっ!!」
僕は前を急ぎながらみんなに語り掛けるとセキさんから戒められた。
確かにまだ後二人もいる。
僕は気を引き締めアイミが開ける扉の中へと駆け込んだ。
『騒がしいと思ったらこんな所へ人間? 女神様からは何も言われていないのに、一体どう言う事かしら?』
その部屋に入ると大きなソファーに体を預け、けだるそうにしたやたらと胸の大きな女の人がいた。
ウリールやラファールと同じく白銀の四枚の羽根を持ち青味がかった銀色の長い髪の毛を体にまとわりつかせ、切れ長な目でこちらを見る。
ちょっとシェルさんを思わせるような感じの凄い美人で、セキさんにも負けないくらい胸が大きい。
「え、えーと、こんにちわ。あの、訳あってエルハイミねーちゃんい会いたいのですけど、通してもらえます?」
『あら、ずいぶんと礼儀正しい子ね? 好きよそういう子。でもね僕、ここは通せないの。女神様のお許しがなければ通してはいけない決まりなのよ』
「そこを何とかできないでしょうか?」
『ごめねぇ、それは出来ないのよ。それをしてしまうとこの私、ガリウルが女神様にお仕置きされちゃうのよぉ』
言いながらその女性、ガリウルと名乗った人は立ち上がる。
背丈はセキさんより少し高い。
そして背中の羽根をばっと開いて僕たちに向かって言う。
『悪い事は言わないわ、帰りなさい。今ならまだ間に合うわよ?』
「どうしてもだめですか……」
『だめね』
話し合いで何とかならないかと思ったけどやっぱり無理か。
「ならば力ずくでも通してもらいましょうか?」
ばっ!
セキさんはそう言っていきなりガリウルへと飛び込んでいく。
『ふう、仕方ない。同じ女性だという事に後悔するのね』
そう言いながらガリウルはセキさんに向かって手を向ける。
するとセキさんが飛び込むのをやめて大きく飛びさがった。
「なっ、何したの!? うわぁ、こ、これはっ!!」
「なっ!? セ、セキの胸がですわ!!」
飛び退いたセキさんの胸がやたらと膨れている。
それは更にどんどん大きくなってとうとう着ていた服がはじけ飛ぶほどになってしまった!
びりびりびりっ!
「な、なにこれぇっ!? 胸が大きくなっていく!?」
『私は女性に関する能力を司るのよ、女性が女性として健やかに過ごす事を願うわ』
そう言ってセキさんを見ながら笑う。
『ふふふふ、それだけ大きく成れば動けないでしょう? さあ諦めて大人しく帰るのね』
「くっ、胸がどんどん大きくなってもう手で押さえられない!!」
「セキっ! なんて羨ましいのですの!?」
「とは言え、こいつを倒さないと先に進めない! 退きなっ!!」
セキさんはどんどん膨れてしまう胸を手で押さえても更に大きくなってゆき既に両手で押さえきれない程になっている。
エマ―ジェリアさんがそんなセキさんを心配しているとミーニャはセキさんの代わりにガリウルに飛び込む。
しかしガリウルは慌てずミーニャに手を向けるとミーニャも慌てて飛び退く。
「くっ! お、お尻が!!」
『うふふふふ、もの凄く安産型にしてあげる』
ミーニャは飛び退いたその場にいきなり尻もちをつき、動きを止める。
そして驚いた事にミーニャのお尻がどんどん大きくなっていき、とうとう着込んでいた水着のような皮の服がはじけ飛ぶ。
「きゃぁっ! ちょ、ちょっとソウマ君見ちゃだめ! 恥ずかしいっ!!」
「でもミーニャのお尻が姉さんを越えどんどん大きくなっていくよっ!」
「だから見るなぁっ! こんな事でお尻が大きくなるなんて嫌ぁーっ!!」
涙目になっているミーニャ。
しかしそのお尻はどんどん大きくなって行き座り込んだが最後、もう立ち上がれないくらいに大きくなっている。
そしてそれはセキさんも同じ事でその胸はまだまだ大きくなってとうとう床にまで達してしまった。
「うわぁ、お母さんやお母様よりおっきい!」
「いや、タルメシアナちゃんあれは大きいってもんじゃないよ? ほとんど肉塊になっているよ!」
セキさんもミーニャも胸もお尻も大きくなってしまい、身動きが取れなくなっている。
しかし、それなら僕が!
「もう止めてください、こんな事したらセキさんたちがかわいそうじゃないですか!」
『あら? 女性は子孫を残す為にその体を豊満にした方が良いのよ? 胸を大きくして子供にお乳を与え、お尻が大きく成れば子供を産むのも安産になる。良い事づくめでしょ?』
そう言いながらガリウルは笑う。
やっぱりダメだ、この人もここを通してはくれない。
僕はショートソードを引き抜き構えるとその僕の前にエマ―ジェリアさんがすいっと出る。
「確かに女性は子孫を残す為に豊満である事は良い事ですわ。でもモノには限度と言うものがありますわ!!」
言いながらエマ―ジェリアさんは瞳を金色にして魔力を高める。
何故だろう、何時もよりその魔力が大きく膨れ上がる。
「こんなので女性が幸せになれるはずはありませんわ!!」
『何この娘? ああ、それだけ貧相だから子作りには向いていないって事ね? ふう、これじゃぁなびく男なんていないでしょうに、可愛そう』
「誰が貧相ですのぉっ!!」
どんっ!
エマ―ジェリアさんの魔力がさらに高まる。
一体どう言う事っ!?
『ならあなたも大きくしてあげる、潜在能力を高め、女としての魅力を伸ばすがいい!』
「えっ!?」
そう言ってガリウルはエマ―ジェリアさんに手を向ける。
一瞬嬉しそうにするエマ―ジェリアさん。
でも、このままではエマ―ジェリアさんも胸が大きくなって動けなくなる!?
僕が慌ててエマ―ジェリアさんの胸を見ると、あの胸がもごもごと動き出している!?
「そんな、エマ―ジェリアさんの胸が! 大きくなっちゃうっ!」
「そこっ! なんか言い方が引っかかりますわ! って、しまったですわぁっ!!」
『ほーっほっほっほっほっ、さあ巨乳になりなさい、あなたもね!!』
エマ―ジェリアさんは自分の胸を押さえる。
しかしその胸はもごもごとうごめきながら服を持ち上げ始めるのだった!!
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
妹に陥れられ処刑決定したのでブチギレることにします
リオール
恋愛
実の妹を殺そうとした罪で、私は処刑されることとなった。
違うと言っても、事実無根だとどれだけ訴えても。
真実を調べることもなく、私の処刑は決定となったのだ。
──あ、そう?じゃあもう我慢しなくていいですね。
大人しくしてたら随分なめられた事態になってしまったようで。
いいでしょう、それではご期待通りに悪女となってみせますよ!
淑女の時間は終わりました。
これからは──ブチギレタイムと致します!!
======
筆者定番の勢いだけで書いた小説。
主人公は大人しく、悲劇のヒロイン…ではありません。
処刑されたら時間が戻ってやり直し…なんて手間もかけません。とっととやっちゃいます。
矛盾点とか指摘したら負けです(?)
何でもオッケーな心の広い方向けです。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる