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第七章
第166話7-21レッドゲイル
しおりを挟むレッドゲイルはイザンカ王国の首都、ブルーゲイルの姉妹都市として建設された場所だった。
人類最古の都市であるブルーゲイルは伝説では魔法王ガーベルが起ちあげた国家の都市で、人類に魔法を初めて普及させた場所でもある。
歴史が古く、そして最初に魔法が発展した国と言う事で全てを魔法に頼っている所が有るそうだ。
そんな古い国家の首都に何かが有った時の為に、そしてこの過酷な地で魔法により生活が良くなり人口が増えたためにレッドゲイルが作られた。
「鋼鉄の鎧騎士」はそれまでの魔道兵器の概念を一変するものだったらしい。
もともとはアイミたちの様なマシンドールが国境の警備をしていたらしいけど、様々な脅威から国を守るためにガレント王国が最初の「鋼鉄の鎧騎士」を作ったそうだ。
そしてそれにはしっかりとエルハイミねーちゃんとミーニャの前世、先代の魔王事イオマと言う人が関わっていて、十二体の最初のオリジナルが作られたそうだ。
そしてエルハイミねーちゃんが関わっていたこともあり、その十二体は後の「鋼鉄の鎧騎士」とは比較にならない程の力を秘めていたらしい。
特に姉さん、ティアナ姫専用機は空でさえ飛べて赤竜の姿だったセキさんとも戦い、女神様を焼き払う事が出来る炎にさえ耐えられたらしい。
今各国にある「鋼鉄の鎧騎士」はそのオリジナルのコピーで素材も原動力である魔晶石核もオリジナルには遠く及ばず、各国が独自の技術を織り込みそれぞれの国の特徴を持った機体になっているそうだ。
今の時代、戦争はほとんど無いけどいざこざが有った場合は「鋼鉄の鎧騎士」同士が出向き戦争の勝敗を決める事が多いらしい。
「とまぁ、オリジナルだったら今のあたしでも苦労するかもしれないのよ」
「セキが言う程ですの?」
「オリジナルならばね。でも、それを扱えるほどの人間がこの時代にいるかどうかね?」
馬車の中で「鋼鉄の鎧騎士」についてセキさんとミーニャが詳しく教えてくれる。
そうすると僕たちの村に有ったあの鎧を着ていない「鋼鉄の鎧騎士」って今ある他の国の「鋼鉄の鎧騎士」より強いって事?
「ミーニャ、村に有った『鋼鉄の鎧騎士』もオリジナルなの?」
「ああ、あの子もそうだけど、十二体のうちで一番弱い子よ? 連結型魔晶石核だって一個しか載せていないし…… あれ? そう言えばガレント王国に渡した最後の十二体目の子もそうだったっけ?」
「まあ何はともあれ、オリジナルじゃなきゃまだ何とかなるわね? ミーニャも手伝ってよね?」
僕の質問にミーニャは思い出しながら答えてくれるけど、セキさんはミーニャにも手伝ってくれることを要求する。
ミーニャは一瞬嫌そうな顔するけど、僕もセキさんを手伝うというと渋々同意した。
「さて、あと半日も馬車を走らせればレッドゲイルだが、ラーミラスお前さんはエマ―ジェリアと一緒に居ろ。下手に前になんか出るんじゃないぞ?」
リュードさんは馬を走らせながらそう言って来る。
ぴこっ!
なんかアイミもラーミラスちゃんを見てぐっとこぶしを上げる。
まるで任せろと言っている様だ。
「だが、そうすると問題は傭兵部隊の『鋼鉄の鎧騎士』だな。イザンカの傭兵部隊は中古や古くなった『鋼鉄の鎧騎士』を持った騎士崩れの連中が傭兵としてイザンカに雇われているが……」
「出元の判らない機体が多いって事?」
リュードさんはセキさんのその言葉に無言でうなずく。
「どこの国のか分かればその癖も分かっている。しかし傭兵崩れになるやつはその機体の外装を変えたり、追加で変な武装しているやつもいる。伝説では呪われた機体だってあるらしいからな」
「何それ? 「鋼鉄の鎧騎士」が呪われるてるって? あたしが魔王として復活するまでに何が有ったのよ?」
「そう言えば、神殿に有った古文書にもその話はありましたわね? なんでもそれを制する為に女神様が直々にティアナ姫の転生者に力を与えそれを退けたとかでしたわね?」
なんか色々あるみたいだね?
でもリュードさんの言う通りその傭兵部隊の「鋼鉄の鎧騎士」ってのが要注意なんだ。
「もうじき見えて来るぞ! って、やっていやがるな!!」
馬車は森を抜け平原に出た所で遠くに城壁の街が見えて来た。
そして街道の先にある平原には砂埃を立ててあからさまに人より大きな鎧たちがうごめきあっている。
「レッドゲイルだ! しかしまだ陥落していない。城壁の外で攻防戦がくり広がれている様だな!!」
リュードさんはそう叫び真っ直ぐにその戦場へと馬車を向かわせるのだった。
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ありがとうございます。
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ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
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