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第六章

第141話6-11ミーニャ大激怒

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 「フェンリルさん、やっぱりあなた気に入りません! こうなったらあなたを倒してソウマ君をあたしのモノにします!!」


 ミーニャはそう言って姉さんに対して啖呵を切った。

 「ミーニャ、どうやらきついお灸をすえないといけないようね? いいわ、容赦しないからね!!」

 姉さんもそう言って瞳の色を金色に変える。
 そしてなぎなたソードを引き抜きながらミーニャに対峙する。

 『魔王様、ここは我が』


 「引っ込んでなさい、麒麟! フェンリルさんはあたしの手で屈服させそしてソウマ君との仲を認めさせなきゃならないの! この十二年間ずっと頭が上がらなかったけどそれも今日まで! 今日こそフェンリルさん、あなたを倒す!!」


 すぐにミーニャの傍らに控え進言する麒麟を叱責し、ミーニャは手を上にあげ空間から槍を引っ張り出す。
 そして構えたと思ったらすぐに姿を消した!?


 きんっ!


 ががががっ!

 キンッ、キンッ!!


 音のした方を驚き見れば既に姉さんも姿を消し、剣と槍がぶつかり合う音だけがしていた。


 「早いっ!」

 「魔王も負けていない!?」

 「お、おいぃぃっ! 主よ何処だぁッ!?」


 シェルさんやセキさんは見えている様だけどリュードさんや僕は姉さんたちの姿が完全に見えない。
 
 「ちっ、これでどうだ?」

 リュードさんは瞳の色を金色に変え誰も見えないはず虚空を見るけどその首の動きがせわしなくあちらやこちらを見ている。
 そして気付く、シェルさんもセキさんも同じく瞳の色を金色にして同じように首をあちらこちらに向けるけど、その動きはリュードさんより少ない。


 「ううぅ、ソ、ソウマ君見ましたの/////?」

 「はい? (姉さんたちは)流石に見えませんよ‥‥‥」

 「う”っ、や、やっぱり見たのですわね? わ、私の恥ずかしい所を!? もう、もうお嫁にいけませんわぁっ! 責任とってくださいですわ! 私を辱めた責任を!!」


 エマ―ジェリアさんは姉さんたちの姿を探す僕にガシッと両手で首根っこを掴んで揺さぶる。

 
 うわっ! 
 せっかくだんだんと姉さんたちの姿らおぼろげに見え始めていたってのに!!


 「って、ソウマ君? あなた、その瞳の色はですわ‥‥‥」

 「え?」


 エマ―ジェリアさんに言われ僕は思わずエマ―ジェリアさんを見てしまった。
 瞬間エマ―ジェリアさんの体が二重に見えた気がしたけどまた元に戻ってしまった。


 「もとに‥‥‥ 戻ったのですの‥‥‥?」


 じぃいいぃっとエマ―ジェリアさんは僕の瞳を覗き込んでいた。
 うーん、何だったのだろう、さっきのは?



 「あーっ! ソウマ、エマ―ジェリアさんと何しているのよっ!?」

 「隙あり!」


 がんっ!! 

 どしゃぁっ!!


 姉さんの叫び声が聞こえたと思ったら直ぐに何かにぶつかる音がして床に姉さんが叩き付けられた!!

 「うわっ、姉さんっ!?」

 「つぅううぅぅ、油断したぁ。よくもやってくれたわね、ミーニャ!!」

 姉さんはそれでも元気に立ち上がる。
 が、それを見ていたミーニャの動きが止まる。

 いや、見ているのは姉さんじゃ無く僕を見ていた。


 「なななななな‥‥‥」


 「ミーニャ?」

 「あ、あれですわ?」



 どぉぉおおおおおぉぉぉぉんッ!!!!  
 


 「そこの女ぁっ! 何あたしのソウマ君にキスしようとしているのよぉっ!!!!」



 ミーニャはそう叫びそして体中からとてつもない魔力を放出している。


 「うわっ! 何この魔力量!?」

 「くっ! 赤竜のあたしが押されている!?」

 「なんじゃこりゃぁッ!?」

 「くうううぅぅ、ミーニャっ、あなた!!」

 ぴこぴこ!
 

 ミーニャの放出するその魔力にみんな気圧される。


 「これ程とは!!」

 「アガシタ様、これって!?」

 「面倒ですね? 僕が動きましょうか?」

 アガシタ様も思わず声を上げる程だ、メイドさんたちもアガシタ様をかばうようにアガシタ様とミーニャの間に入る。
  

 『おおっ! 魔王様が、魔王様がぁっ!!』

 『すごい! こんなに魔力を放出しているなんて!!』

 『ああっ! 魔王様とても素敵ですぅっ!!』


 麒麟やリリスさん、ソーシャさんも感嘆の声を上げている。
 


 「そこの女ぁっ! 殺してやるっ!」 


 
 ドンっ!!

 ミーニャが叫んだと思ったらその場から姿を消す。
 そして同時に僕は何かを感じてエマ―ジェリアさんを引き寄せかばう。


 どすっ!!


 「ぅあぁ‥‥‥」


 「えっ!? そ、ソウマ君ですわ!?」

 「ちょっ、ソウマ君っ! なんでその女をかばうのよっ!!!!」



 引き寄せかばったエマ―ジェリアさんを狙うミーニャの槍が深々と僕に刺さっていたのだった。

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